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放射能市民測定室・九州(Qベク) |
研究成果発表会配布資料[pdf] 研究成果発表会配布資料[pdf] |
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大木 和彦 さん | |
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http://q-bq.com/ | |
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40万円 |
Qベクエアーサンプラーパーツ一覧
ABM-100とそれを組み込んだQベクエアーサンプラーのテストの様子。
北部九州調査でのフィルターの様子
フィルター(左)、オートラジオグラフィー(右)の画像。ホットパーティクルの存在を示している。
高木基金成果発表会。ABM-100とそれを組み込んだQベクエアサンプラーを動かす大木さん(上)と、Qベクエアサンプラーを持った大木さん(下)。
2013年12月の助成申込書から
私たち、放射能市民測定室・九州(以下Qベク)は2012年6月に設立されました。福島第一原発事故後、食べ物や飲み物の放射能汚染による内部被曝を心配し、食の安全を求める市民に支えられながら、食品を中心に放射能検査を行ってきました。しかし、2012年9月から北九州市で開始された震災瓦礫の焼却は、私達に、放射性浮遊塵という、もうひとつの内部被曝源について考えさせるきっかけとなりました。
食べ物だけでなく、空気についても調べてゆく。そのために独自の安価なエアーサンプラーを開発し、市民が生活する空気環境を市民自らが調べられるようにする事を決めました。当初は、段ボール箱に小加工したものが考案されましたが、研究の結果、市販の樹脂製規格建材を応用し、強力なブロアーとの組合わせで基本形が完成しました。
その後、ブロアーの回転数を無段階に調整する回路を組込む事で、稼動時の騒音に対処して、より多くの市民が利用出来る様に改善をしてきました。
今後、流量計を組込み、吸引量を連続表示する事で、より精確な汚染濃度を割り出せるように改善を計画しています。Qベクエアーサンプラーの構造に最適な流量計の調査研究から着手したいと考えています。
又、PM2.5など特定の粒径の浮遊物を捕捉するためのプレフィルターを装着できるように工夫する計画です。更に、シンチレーションカウンターでのフィルター計測手法の研究や、複数のエアーサンプラーを適切に配置した市民による空気環境調査の働きかけなどを予定しています。これらの計画を通して、Qベクエアーサンプラーを市民が空気環境を監視するツールとして育ててゆきたいと考えています。
2014年10月の中間報告から
私たち、放射能市民測定室・九州(以下Qベク)は2012年6月に設立されました。福島第一原発事故後、食べ物や飲み物の放射能汚染による内部被ばくを心配し、食の安全を求める市民に支えられながら、食品を中心に放射能検査を行ってきました。しかし、2012年9月から北九州市で開始された震災瓦礫の焼却は、私たちに、放射性浮遊塵という、もうひとつの内部被ばく源について考えさせるきっかけとなりました。
食べ物だけでなく、空気についても調べてゆく。そのために独自の安価なエアーサンプラーを開発し、市民が生活する空気環境を市民自らが調べられるようにすることを決めました。当初は、段ボール箱に加工したものが考案されましたが、研究の結果、市販の樹脂製規格建材を応用し、強力なブロアーとの組み合わせで基本形が完成しました。
●流量計の組み込み
Qベクエアーサンプラーの筒内気流は毎分90lでも毎秒約20cm の微風となっており、微小流量に対する精度が高い流量計が必要になります。様々ある計測方式の中から、熱式質量流量計とタービン流量計のいずれかと定め、専門家の意見を聞いた結果、熱式を採るには、直管長が短く、きれいな層流を得るためにバイパス路を要することから、タービン式に決定しました。市販の風量計(風速計)が応用可能ですが、積算機能がついた物がないため、プロペラタイプの受風部のみ市販品を用い、瞬間及び積算の流量表
示はRaspberryなどの安価なボードコンピューターにさせようということになりました。
●環境調査
北部九州10 ポイントで調査を行い、北九州市の専門機関(環境科学研究所)で分析中です。
●エアーサンプラーの普及活動と福島訪問
高木基金の助成を受けるようになり東北各地からの問い合わせが増えました。福島県南相馬で放射能汚染の監視活動を継続的に行っている方と懇意になり9 月初旬に現地を訪ねました。東京大学名誉教授の鈴木譲さんや京都大学の河野益近さんの調査活動に接し、「水・空気・土壌」を調べることの大切さを再認識しました。
完了報告・研究成果発表会資料より
●Qベクエアーサンプラーへの流量計の組み込み
Qベクエアーサンプラーは、つまみの操作でブロアーの吸引量を変える可変回路を組み込んでいますが、長期間回し続けることでフィルターが目詰まりし、流量が低下します。その時々の実流量を表示することができれば、日に一回程度のつまみの調整で正確な流量での長期稼動が可能になります。
そこで、AAB 社のABM-100というタービン式の流量計を組み込むこととしました。これは回転子の信号をスマートフォン(iPhone、Android)に送り、流量の計算、結果の表示
などを行う業務用の機械です。これにより流量の計測を簡便に行うことが可能になりました。
●エアーサンプラーの活用
南相馬訪問をきっかけに、必要最低限の台数を残して東北に提供しました。今後は、必要なフィルターの供給やメンテナンス等で被災地を支えていきます。
●オートラジオグラフィーによるフィルターの一次判定
福島第一原発の廃炉工事現場で、2台のQベクエアーサンプラーが動いていますが、そのような猛烈な環境を別にすれば、現在の福島の空気環境は風や車両の通行によって巻き上げられたものが中心で、その平均濃度は数mから10mBq/m3程度と思われます。このレベルでは、NaIシンチレーターでは検出できません。そのような折に、山口市の医師が、X線フィルムを使ったオートラジオグラフィーで、南相馬市で40日間吸引したフィルターの可視化を試みてくれました。結果は、フィルター上のホットパーティクルの存在を見事に示していました。
これを受け、吸引後に回収されたフィルターを片端からゲルマニウム半導体検出器に掛けるのではなく、一旦、可視化して判断をするといった合理化が可能になりました。
●今後の取り組み
これから各地で原発の廃炉作業が始まります。作業に伴う空気汚染の監視のために、交流電源の使えない無人の場所で、長期間エアーサンプラーを回し続けるためにソーラーパネルによる駆動を研究したいと考えています。