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福島第一原子力発電所の事故原因と推移過程に関する、運転データと客観的事実にもとづく詳細検討



グループ名 もっかい事故調 研究成果発表会配布資料[pdf]
2014年度会計報告[pdf]
代表者氏名 田中 三彦 さん
URL
助成金額 100万円

もっかい事故調主催のシンポジウム「全文公開「吉田調書」から見えてきたもの」(2014 年10月15日開催)の様子。左より、伊東良徳(弁護士)、上澤千尋(原子力資料情報室)、佐藤暁(原子力コンサルタント)、添田孝史(サイエンス・ライター・元朝日新聞科学医療部記者)、田中三彦(元国会事故調委員)、澤井正子(原子力資料情報室)。

福島第一原発1 号機4階IC付近の破壊状況。新潟県技術委員会の現地調査にて。

高木基金の成果発表会で、新潟県技術委員会での現地調査の様子を報告する田中さん。

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 2011年3月11日発生した福島第一原子力発電所のメルトダウン事故は、現在も継続し、いまだ収束のめどもない状態である。福島第一原発の事故原因については、今日までいわゆる「政府事故調」、「国会事故調」、「民間事故調」が、調査を行い報告書を作成しているが、三者の原因究明の結果は一様ではなく大きく論点が食い違っているものもある。原子力利用によって福島第一原発事故という史上最大級の大過酷事故を起こした国として、日本政府には徹底的な事故原因の究明と検証を行う義務がある。国会事故調の報告書では、その点に関していくつも重要な提言が行われている。しかし、その提言は今日まで、ほとんど実行されていない。
 このような状況の中で、2013年5月から原子力規制委委員会は、「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」を開催し、当事者である東京電力からのヒアリングを中心に事故原因の分析作業を行っており、対立する有力な意見を持つ識者(国会事故調関係者ら)には接触交渉さえない。このような手法では、真に科学的、客観的な事故原因の究明は期待できない。さらにこの検討会の内容が、国際原子力機関(IAEA)への日本政府の報告書の中心的役割を果たす可能性も高く、事故原因が事実と異なったり、ゆがめられた内容となることに大きな危惧を覚えるのは、私たちだけではないだろう。「3/11 に何が起こったのか」、真実を明らかにすることは、日本の市民科学者としての使命でもある。
 私たち「もっかい事故調(もう一回事故調)」は、限られたデータや不十分な情報による困難性を抱えながらも、福島第一原発の本当の事故原因を解明するための作業を行う。この調査研究活動は、放射能放出の実態や、汚染や被曝の状況を解明する作業とも密接に関連するものであり、事故の全体像を明らかにする第一歩である。本年度は主として、1号機の挙動と水素爆発の原因ならびに津波と全交流電源喪失の関連性について調査・検討する。
 調査・検討には、おおむね、重要な情報を共有している元国会事故調の委員(田中三彦)と協力調査員が当たるが、アメリカ、ドイツ等の科学者らと協力し、グローバルな意見交換を同時に行いながら、作業をすすめる。全体の調査・検討には相当な月日が必要と考えている。
 報告書は、日本語版、英語版を作成する。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 2011 年3月11日発生した東電福島第一原発事故は、現在も継続し、いまだに収束の目途は立っていません。原子力の利用によって福島第一原発事故という原発史上類を見ない大過酷事故を起こした当事国日本には、事故原因を徹底的に究明する義務があります。これに関して、国会事故調は、報告書の冒頭で、「独立調査委員会の活用」を提言していますが、その提言は実現していません。
 国会事故調に委員として参加した田中三彦を中心とする「もっかい事故調」は、「福島第一原発の各号機で何が起きたのか」を、中立的、科学的視点から、できる限り詳細に明らかにすることを目的として、調査研究を行っています。また事故と事故対応について、組織的・社会的背景等についても検討します。作業は、国会事故調において主として事故の直接的原因の調査に当たったワーキンググループ1のメンバーが中心に行っていますが、必要に応じて国内外の専門家・研究者等の協力も求めています。全体の調査・検討には相当な月日が必要と考えています。報告書は日本語版だけでなく英語版も作成し、事故原因について海外への発信を行う予定です。
 調査は最初に、1号機のメルトダウン事故発生・進展の経過について、1号機の事故時の挙動、電源喪失と津波との関わり、水素爆発の原因等についての解明から開始しています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
2014年度は19回の検討会を開催し、資料の収集と分析、調査研究、データの解析等の作業を続けてきました。これらの成果は、雑誌『科学』(岩波書店)などへの論文発表、講演会、集会等を通じて社会に広く公表しています。
 伊東良徳は、『科学』電子版2014年3月号「再論・福島原発1号機の全交流電源喪失は津波によるものではない」において、福島第一原発の敷地に津波が到達した時刻と非常用ディーゼル発電機を含む交流電源設備が停止した時刻の前後関係について、記録された写真、波高計のデータおよび原子炉の運転データを用いた解析を丹念に行っています。その結果、1号機は津波が建屋に到着する以前に全交流電源喪失(SBO)状態に陥っていることが分かり、少なくとも1号機についてはSBO が起きた原因が津波でないことがあきらかになりました。
 2014年4月28日に行われた新潟県技術委員会の福島事故検証課題別ディスカッションの会合において、伊東良徳と東京電力がそれぞれの説明を行う機会がありました。やりとりの中で、東京電力の説明では現場で撮影された写真と矛盾することがはっきりと浮かび上がりました。
 田中三彦は、『科学』2014年9月号から11月号の「ゆがめられている事故原因究明の道」と題した3回の連載において、国会事故調の提言内容とその後の経過について説明をしたあと、特に1号機の原子炉建屋4階部分のすさまじい破壊の様子をどうとらえるかについて検証を進めています。1号機の原子炉建屋4階には非常用復水器(IC)が設置され、関連する配管が何本も通っており、いずれかの配管から水素が漏えいした可能性があり、それが水素爆発に至ったとみています。この点に関して、田中三彦が委員を務める新潟県技術委員会は、検証のため、現地調査を2015年2月21日に実施しました。4月28日に開かれた新潟県技術委員会の福島事故検証課題別ディスカッションにおいて、爆発現象の専門家が会合に参加し、4階で爆発が起きたという推論を支持したことで、4階で爆発が起きたらしいことが有力なものとなってきています。
 佐藤暁は、『科学』2014年8月号から「原子力発電所の安全審査と再稼働」と題する現在も連載中の記事の中で、原発の規制基準・安全基準、事故シナリオの選定、シビアアクシデント対策、耐震設計などの国際比較などを通じて多岐にわたって重要な問題を提起し続けています。
 これまでは福島第一原発1号機の事故経過の解明が中心となってきましたが、2/3/4号機で何が起きたのかについても調査を始めており、随時まとめの作業を行っていく予定です。

その他/備考


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