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日米共同の最初の原子力輸出事例である台湾第4原発に関する社会学的研究



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
2014年度会計報告[pdf]
代表者氏名 鈴木 真奈美 さん
URL
助成金額 50万円

第四原発建設地から南へ40km に位置する宜蘭県の飲食店に展示されていたバナー。「No More Fukushima」とある。このバナーは台湾のあちこちで見かける。2014年6月。

研究の概要

2013年12月の助成申込書から
 日本政府は原子力プラント輸出の実現に向けて強力な取り組みを進めている。本研究は輸入した側の社会がその原発建設計画にどう反応し、それが当該計画の行方にどのような影響を及ぼしうるかを、台湾第4原発ケースを事例に、社会学的視角から考察するものである。
 同原発は1996年に台湾電力から米・GE社が受注し、同社の下請けとして日本の日立・東芝が原子炉(ABWR)本体を供給した。これは日本の原子力産業にとっては最初の、そしてこれまでのところ唯一の原子炉輸出例であり、歴史的に重要な意味を有する。しかし日本ではこの事例に関する社会科学的研究はほとんどなされてこなかったようである。そこで本研究は、同計画のあらまし、日米連合が受注した経緯とその後の経過、そして同計画をめぐる世論や市民運動の展開について、一次資料や台湾人研究者による先行研究、利害関係者への聴取などに基づき論述し、さらに今日的(とくに世界と日本の)視点から分析と考察を加える。
 同計画が打ち出されたのは30年以上前の戒厳令下であった。民主化の進展につれて世論の趨勢は建設中止を求め、福島原発事故後は同計画を推進してきた国民党内部でも意見が分かれるようになった。日本政府は原子力輸出を通じて世界に「貢献」するとしている。しかし同事例が示す現実は「貢献」とはかけ離れたものである。本研究はその実態を明らかにし、原子力輸出政策をめぐる国内議論を高める一助になることをめざす。

中間報告

2014年10月の中間報告から
 台湾の馬英九政権は2014年4月、台北市近郊に建設中だった第四原発計画を凍結し、その運転の可否については全国レベルの公民投票(国民投票に相当)にかけると発表しました。福島原発事故後、台湾では「原発ゼロ社会」の早期実現を求める声が高まり、第四原発計画の中止を訴える大規模なデモが繰り返されてきました。馬政権は凍結を打ち出すことで、事態の鎮静化を図った格好です。公民投票がいつ、どのような形で実施されるかについては、まだ定かではありません。原子力を含む今後のエネルギー政策は、2015年1月以降に開催予定の全国エネルギー会議で検討されるといいます。
 本研究は同原発計画に対する台湾社会の反応と政策の変遷を、文献調査や関係者への聴き取り調査を通じて描出することを課題とします。台湾では2014年前半、建設凍結を含め重要な出来事が続きました。そこで6月に訪台し、関係者にインタビューなどを行いました。取材の成果は一般誌等に寄稿しました。今後は、これまでに収集した資料・文献や聴き取り調査の内容を整理・分析し、不足部分を特定します。それを踏まえ、台湾及び日本においてさらに調査を進める予定です。

【参考】 鈴木真奈美「立ち往生する台湾第4原発──民意は「反核」「非核」から「廃核」へ」、『世界』2014 年9 月号、岩波書店。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 この研究では、台湾政府による第四原発輸入・建設計画の政策決定過程を、国際関係と市民社会の2 つの視座から描き出すことを目的としています。そのための方法として、台湾内外における文献調査・分析、同じく関係者やキーパーソンへの聴取に加え、政策決定に影響を及ぼしうるイベント(例えば、台湾政府主催による全国エネルギー会議、原発廃止を求める市民団体主催の集会など)の傍聴などを組み合わせることで、より具体的な描出を試みました。
 台湾第四原発は日本のメーカーによる初の原子炉輸出例であり、台湾における同原発の政策決定過程を記録することは日本の原子力史にとって重要な意味を持ちます。また、日本政府と原子力産業界が進める新たな輸出計画を検討する上でも、同原発建設計画の事例研究は意義があると思われます。
 2014年6月初めに訪台し、第四原発に関する近況を取材するとともに、翌年に台湾で実施する調査研究の準備をしました。
 この訪台の成果を、『世界』2014年9月号(岩波書店)に「立ち往生する台湾第4原発─民意は「反核」「非核」から「廃核」へ」として寄稿しました。2015年1月から3月にかけて台湾に滞在し、資料収集、関係者聴取などを実施しました。この期間、台湾中央研究院社会学研究所訪問研究学員として、同研究所を拠点に調査研究を進めました。
 また、2015年7月に開催された日本平和学会春期研究大会自由論題部会「日本の原発輸出計画と輸入側社会への影響─アジアの事例を中心に」の報告者として、インドネシア、ベトナムへの原発輸出問題に取り組んでいる研究者とともに、台湾への輸出事例について発表しました。
 今後の取り組みとしては、米国公文書館にて原子力をめぐる米台関係について公開されている外交文書を入手すること、台湾を再訪し、台湾・日本・米国で収集した資料、聴取した内容について、公文書等での確認、関係者への再聴取などの作業を進めること、不足しているデータや証言を集めることなどを計画しています。これらの調査・研究は最終的に学術論文としてまとめる予定です。

その他/備考


日本平和学会2015年度春季研究大会自由論題部会「日本の原発輸出計画と輸入側社会への影響─アジアの事例を中心に」での鈴木さんの報告レジュメ『日米共同の最初の原子炉輸出例である台湾第四原発とその現状』(2015年7月)

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