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福島原発事故をインドの地図にあてはめる──惨事と結果の意味を問う



グループ名 【インド】 Fukushima in Fatehabad:What a Nuclear Accident at Delhi's Doorstep will mean.[]
代表者氏名 クマール・スンダラム さん
URL
助成金額 30万円

安倍首相インド訪問の際、日印原子力協定に抗議するゴラクプール原発立地地域の人々。

ゴアプールでの原発反対集会

研究の概要


 福島原発事故についてインドで伝えるのは、事故そのものが進行中であることと、インドの状況が多様であるため容易ではありません。とはいえ、インドのように人口密度が高く、独立規制組織や公的専門家の不在に加え、多くの人が貧困と情報不足の状態にある国で同じような事故が起これば、被害はさらに大きくなる可能性があります。  本調査研究では、インドの首都ニューデリーから210kmの位置に建設中のゴラクプール原発(2020年運転開始予定)で、福島第一原発と同様の事故が起きた場合のケーススタディを実施し、福島原発事故の影響や意味をインドの状況に照らし合わせて広く訴えることを目指します。ケーススタディでは、福島原発事故の初期対応、避難、事故収束への試みや除染活動、避難者の支援や復興など、事故のそれぞれの段階を考慮します。なお、重水炉であるゴラクプール原発と福島第一原発との炉型の違いも考慮します。  調査研究の第1期では、ゴラクプール原発とそれに関わる問題についての短いパンフレットを作成します。第2期では、同原発で同様の事故が起きた場合のさまざまな条件を盛り込んだ事例研究を行います。第3期では、その研究をさらにインドの状況に合ったものにするために専門家と協議します。第4期では研究で得た知見をセミナーや出版物、インターネットの掲示板などを通じて広めます。

中間報告


結果・成果

2017年9月最終報告書のサマリーより
インド・ハリヤナ州のファテハバド地区で現在建設中のゴラクプール原子力発電所(以下、ゴーラクプル原発)は、首都ニューデリーからわずか150kmの場所にあります。 この原子力発電所はこれまでのところインド製最大の原発であり、各700MW容量の原子炉4基を擁し、総容量は2800MWです。 2011年のフクシマ事故以降初めて建設された新しくかつインド最大の内陸型原発で、前首相のシン首相は、2014年1月に起工式に参加しています。なお、中国や他の国々では、内陸部の原発建設を一時停止しています。 将来の事故のバックアップとしてはもちろん、通常運転においても必要不可欠な冷却用水は、ゴラクプール原発の場合、バクラ・リンク運河に依存していますが、半径200km以内にそれ以外の大きな水源はありません。つまり、事故が起きた場合、復旧不可能なダメージを受ける可能性があるのです。水供給について最初からこうした問題があるのに加え、地域内の気候変化や水需要の増加による影響があれば、近隣の州との社会的衝突や緊張を招くことにもなります。 人口密度が非常に高いインドにおいて、福島で起きたような原発事故が起これば、影響拡大は必至で、事態は複雑化する可能性が高く、94万人以上の人口を抱えるファテハバド地区での緊急避難やその後の生活再建は、官僚らの混乱や無責任さも手伝い、大きな試練に見舞われることになるでしょう。 また、概して、独立した立場の原子力や公共政策の専門家がいない状態で、適切な緊急時対応もなければ、情報が与えられずひどく貧しい人々は、あらゆる重大事故に対して対応不能に陥るでしょう。 この報告書は、事故の様々な段階での日本の対応とそこからの学びを元に、インドで福島事故と同様の事故が起きた場合の仮説的事例研究を提示しています。 福島事故の経験と教訓 ―初期緊急対応や避難から、事故の収束、地域の除染、避難した人々の救済、生活再建まで?を、本仮説的研究に使用し、ファテハバドで同様の事故が起きた場合のシミュレーション結果を分析しています。 この報告書では、独立した立場にある専門家やコラプール地域の活動家が示唆する点から、福島事故と同様な事故がファテハバドで起きれば、大規模な破壊がもたらされると結論づけています。 影響住民は少なくとも50万人に上り、そのような規模の災害に対処するためのインフラ支援やガバナンスの機能不全のために、放射線影響の拡大は深刻になるでしょう。 ※レポート全文(英語)は本ページ上部にある”Fukushima in Fatehabad:What a Nuclear Accident at Delhi's Doorstep will mean.”からご覧頂けます。

その他/備考


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