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隠れ遺伝子組み換え(GM)ナタネおよび交雑種の拡大調査



グループ名 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 天笠 啓祐 さん
URL http://gmo-iranai.org/
助成金額 40万円

タンパク質を 検査する簡易検査キットによる一次検査。

市民によるGMナタネ自生調査の様子。

2013 年7月6日に東京で全国報告会の様子。

研究の概要

2012年12月の助成申込書から
 遺伝子組み換え(GM)作物は、日本では作付けされていませんが、輸入される形が種子であることから、こぼれ落ちなどによって輸入港周辺や搾油工場周辺、その輸送経路などで自生しており、その汚染が拡大しています。  2005年以来、GM作物の中でも、最も汚染の広がりがひどいナタネを対象に、毎年全国各地の市民が検査キットを用いてその実態を調査し、引き抜きなどを行っています。  GMナタネはすでに、在来ナタネやセイヨウカラシナ、ブロッコリー、ハタザオガラシなどと交雑を起こし始めており、野生植物や農作物への広がりが懸念される事態になっています。しかも、最近になって、一次検査の簡易検査(たんぱく質)では陰性を示すが、二次検査のPCR法(DNA)による検査では、組み換え遺伝子が検出されるという「隠れGMナタネ」が増加してきました。  しかし、その実態は見えてきません。そのため、汚染の拡大とその進行具合を調査するため、昨年に引き続き、隠れGMナタネと交雑種にターゲットを絞った特別の調査を行いたいと考えます。

中間報告

2013年10月の中間報告から
 遺伝子汚染の調査として、遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査を行っている過程で、奇妙な現象に出会いました。調査の方法は、一次検査として、ナタネを採取して組み換えたDNA から産出されたたんぱく質を検出するキットで陽性か陰性かを判断します。その中から反応があいまいなものが出た場合、二次検査として分析センターに出してPCR法によるDNA判定を行います。奇妙な現象というのは、2011年に初めて、一次検査ではっきり陰性と出たものでも、二次検査で陽性のものが見つかったことです。私たちはこれを「隠れGM ナタネ」と表現しました。そして、これまでとは違い、汚染が潜行拡大する恐れのある大きな問題だと考えました。そこで高木基金の支援を受け、本格的な調査に乗り出しました。  昨年の調査では、場所を限定しサンプル数も少なかったものの、福岡県博多港と三重県四日市港周辺で隠れGMナタネが見つかりました。今年は調査地点を昨年の3か所から9か所に増やし、調査を行いました。サンプル数も昨年の36から、61に増やしました。しかし、検出されたのは、昨年同様、博多港と四日市港周辺だけでした。このことから、隠れGMナタネが成立するのは、以前から汚染が深刻で、世代交代を繰り返していることが必要前提条件ではないかと思われます。なお私たちの調査結果を受けて環境省が明らかにしたところでは、国立環境研究所でも同様の現象を確認しているとのことでした。  また、GMナタネの自生が多い場所で、雑草や作物との交雑種と思われるものも調査しています。いったん交雑を起こすと、汚染はナタネ以外に拡大しやすくなるため、この検査も継続する必要があります。今春は、三重県で行った調査で、ハタザオガラシとの交雑種と思われるものを発見し、一次検査で陽性と判断しましたが、二次検査では陰性と判定されました。今秋も、継続して調査を行います。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 日本では現在、遺伝子組み換え(GM)作物の栽培はされていませんが、輸入したGM 作物の種子の落ちこぼれなどにより道路脇などに自生が広がっています。  これまでの調査の結果、汚染が住宅街や河川敷など、思いがけないところまで広がっていることや、GM ナタネ同士の交雑が起きていたり、本来1 年草のナタネが多年草化していたり、カラシナ、ブロッコリー、雑草のハタザオガラシなどと交雑を起こしていることが分かりました。また東日本大震災の影響で石巻港が使えなくなり、輸送ルートが大きく変更したことにより、汚染の範囲が拡大したことも確認されました。  調査を進めていくうちに、2011年に初めて、タンパク質を検査する簡易検査キットによる一次検査で陰性でも、DNAを見る二次検査(PCR検査)で陽性のものが見つかりました。つまり、簡易検査キットが反応するタンパク質が作られないか、作られたとしても少ない個体が存在しました。これを私たちは「隠れGM ナタネ」と表現しましたが、これまでとは違い、潜行拡大する恐れのある大きな問題だと考え、2012年から本格的な調査に乗り出しました。  2013年は、3月から6月にかけて、調査箇所を広げて、9カ所でサンプルを採取し、一次検査で陰性のものを二次検査(PCR検査)をしたところ、その内、三重県四日市港及び国道23号線沿いで採取した15検体中7検体、福岡市箱崎埠頭周辺で採取した22検体中3検体の計10検体が陽性と判定され、「隠れGMナタネ」と確認されました。この調査で示されたことは、隠れGM ナタネの自生が見つかる場所は、汚染が進行しているところであり、多年草化や世代交代を繰り返しているところだということです。  このような調査活動の結果を受けて、各地でGMナタネ自生調査報告会を持ち、2013 年7月6日に東京で全国報告会を行いました。さらに9月9日および2014年2月13日には国会議員会館内で農水省・環境省の担当者に同席を求め報告会を持ちました。この院内集会の際に、私たちは環境省に対して原因究明に関して「共同調査」を求めました。それを受けて環境省は、2014年度から共同調査を開始することになりました。国による取り組みは、国立環境研究所が追検査を行うとともに、その原因解明のためにシークエンス解析(全塩基配列の解析)を行う予定です。

その他/備考


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