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放射能汚染・低線量被ばく地における放射能測定の活動と記録



グループ名 いわき放射能市民測定室たらちね 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 織田 好孝 さん
URL http://www.iwakisokuteishitu.com/
助成金額 50万円

甲状腺検診の様子

甲状腺の超音波画像。特に何も見当たらない正常な甲状腺。

甲状腺の超音波画像。結節とのう胞が見られる。

地域別検診回数

地域別受検者数

研究の概要

2012年12月の助成申込書から
 広大な面積のいわき市は避難準備区域に匹敵する地区を含め、すべてが低線量被ばくにより汚染されています。そこで暮らす30余万の市民の健康を守るために「たらちね」は継続的放射能測定を行い、汚染地帯で被ばく量を抑えながら暮らすための日常食生活の安全基準の目安を導き出します。  また、外部被曝を避けるために空間・土壌・海水・水・砂浜などの環境測定を行い、汚染の実相を明らかにします。  さらに福島県内で子どもを育てている保護者が最も心配しているヨウ素被ばくによる甲状腺ガン検査を市民レベルで実施します。  これらの測定結果はWebで公開し市民に安全に暮らすための資料として提供します。  私たち大人が残してしまった負の遺産を、未来を担う子供たちに可能な限り残さないように継続的に活動を続けます。  以上の活動を通じて、国の現在の放射能対策では、県民の健康を守れないことを明らかにします。そして安全神話の下に進めてきた原発推進政策の誤りを認めさせ、核エネルギーから自然エネルギーへの転換を要求しその実現を目指します。

中間報告

2013年10月の中間報告から
 2011年3月11日の東日本大震災により、東京電力福島第一原子力発電所が事故を起こしました。原子炉の中の核燃料は3月11日の時点でメルトダウン、メルトスルーするという恐ろしい状況に陥り、さらに翌12日の水素爆発、15日の黒煙を伴う大爆発へと事態は悪化の方向へと進みました。その爆発により大量の放射能が降り注ぎ、混乱の中で多くの子どもたちが被ばくをしました。爆発時の初期の被ばくと、生活の場に降り注ぎ放射線を放つ放射性物質による被ばくと、子どもたちは被ばくを重ねることとなり、その健康被害が心配されています。  たらちね甲状腺検診プロジェクトでは、医師が子どもたちの甲状腺の検診を行い、病巣の早期の発見と、今後の対応、心配する保護者へ説明をし、見守ることを続けながら、子どもの未来を守っていくという目的があります。2013年3月17日にプロジェクトが開始され、実質的には2013年4月から動き出しました。4月〜8月の検診での、2011年3月11日に18歳以下であった被検者の測定人数は約1,600名、それ以上の年齢の被検者を合わせると2,100名を超えます。  検診の担当医師は全国から有志を募り、現在5名の医師がボランティアで検診を行っています。検診に使用する機器は、GE社製のLOGIQ e Expertと日立アロカメディカル社製のHI VISION Aviusです。どちらも福島県の県民健康調査の甲状腺検診で使用している機器と同機種であり、画質も同等です。検診場所は、測定室のあるいわき市を中心に、郡山、二本松、福島、伊達など遠方にも出かけ、各地の子どもたちの検診を行っています。  現在、検診の結果をたらちねのホームページにあげる準備を行っています。それは、日常の中で、子どもたちが被ばくを重ねることを防止するための注意喚起につながればとの願いからのものです。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2011年3月11日の東日本大震災により起きた福島原発の事故の被ばく被害から子どもをはじめとする地域住民の心身の健康を守るために、いわき市民の手で2011年11月13日「いわき放射能市民測定室 たらちね」を開所しました。  2012年3月からは「たらちね甲状腺検診プロジェクト」を開始し、チェルノブイリ事故の時に子どもたちが多く発症をした甲状腺疾患に備えた検診活動を始めました。2013年度は1年間で3,186名の受検者がありました。  検診は、専門の医師によるもので、福島県全域を活動の範囲としています。たらちね甲状腺検診プロジェクトでは、のう胞・結節の大きさだけでなく、数、硬さ、形、場所、中身の様子について詳細に記録し、検診直後にその写真と報告書を受検者に手渡しており、受検者が自分自身のデータを自分で管理できるようになっています。このことは、当然のことと思われますが、福島県が行っている検診では、自分自身のデータを得るためには情報開示の煩雑な手続きを行う必要があり、簡単には得られないのが現況です。  受検者は、検診中に医師から甲状腺についての詳細な説明を聞くことができます。そのことにより、健康に不安を感じている受検者やその保護者が正しい知識を得、病気に備える心構えを持つことができ、漠然とした不安な気持ちから、知識を得ることにより安心を実感している様子が見られます。この活動が健康面の維持の他に、人々の精神的な支えにもなっていることがわかります。  検診は有志の医師によるボランティア協力を得て行っています。医師は全国から駆けつけていただいていますが、志のある医師のみなさんがいるということと同時に、福島県近隣の地域からの協力医師が不足しているということも意味しています。検診にかかる経費の内訳は、医師の旅費宿泊費が多くを占め、医師は診療報酬をまったく得ずに検診活動を行っています。  2013年度の検診活動の中で、放射能の被ばくによる健康被害について確たる結果は得られていませんが、今後長きにわたり人々の心と身体を守るために必要な活動であると考えます。

その他/備考


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