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隠れGMナタネ及び交雑種の拡大調査



グループ名 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 天笠 啓祐 さん
URL http://www.gmo-iranai.org/
助成金額 30万円

隠れGM ナタネ調査の様子

1 次検査の様子

1 次検査の検査キット

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 遺伝子組み換え(GM)作物は、日本では作付けされていないものの、輸入される形が種子であることから、こぼれ落ちなどによって輸入港周辺や油工場周辺、その輸送経路などで自生しており、その汚染が拡大しています。  これまで毎年、全国で市民がGM作物の中でもっとも汚染がひどいナタネを対象に、検査キットを用いてその実態を調査し、引き抜きなどを行ってきました。  しかし、最近になって、簡易検査(蛋白質)では陰性を示すが、PCR法(DNA)による検査では組み換え遺伝子が検出されるという「隠れGMナタネ」が増加してきました。 また、すでにGMナタネはセイヨウカラシナやブロッコリー、ハタザオガラシなどと交雑を起こし始めており、野生植物や農作物への広がりが懸念される事態となっています。しかし、その実態はなかなか見えてきません。  そのため、今回の調査では、その隠れGMナタネと交雑種にターゲットを絞った特別の調査を行いたいと考えています。

中間報告

2012年10月の中間報告から
日本では、遺伝子組み換え(GM)作物の商業栽培は行われていません。しかし、輸入するGM 作物は大豆、ナタネ、トウモロコシなど、種の形で入ってくるため、輸入港周囲でこぼれ落ちて自生する現象が起きています。私たちは、2005年から各地の市民に呼び掛けて輸入港周辺及び油糧会社への輸送路周辺のGMナタネ自生調査を行っています。簡易検査キットを用いて実態を調査してきましたが、GMナタネの自生の拡大は年々確認されています。さらに最近になって、簡易検査(たんぱく質)では陰性ですが、PCR法(DNA)による検査では陽性を示す株「隠れGMナタネ」が確認されるようになりました。また既に、GMナタネはセイヨウカラシナやブロッコリー、ハタザオガラシなどと交雑を起こし始めており、野生生物や農作物への汚染が懸念される事態となっています。  こうしたことから、従来のGM ナタネ調査とは別に、隠れGMナタネと交雑種に焦点をあてた調査を行い、GMナタネによる汚染が生物多様性を脅かしている実態を明らかにしています。今年度の調査活動としては、3月に博多港箱崎埠頭、4月に鹿島港飼料団地入口付近、5月に三重県四日市市、7月には博多港箱崎埠頭のセイヨウナタネの採取を行い、それぞれPCR検査を行ってきました。 また、7月に福岡で「GMナタネ自生調査報告会」を開催し、隠れGMナタネ及び交雑種調査結果の報告を行いました。同じく7 月には院内学習会「広がる遺伝子組み換え汚染〜急げ国内法改正」、9月には院内学習会「MOP6で何が議論されるか」を開催するなどして、GMナタネ自生拡大及び隠れGMナタネの調査報告も行っています。  このような活動を通じて農水省、環境省に、GM生物の環境への影響規制法「カルタヘナ国内法」を実行力のあるものに改正することを要求していきます。  10月に開催されたカルタヘナ議定書第6回締約国会議(MOP6、インド・ハイデラバードで開催)に参加し、サイド・イベントでGM ナタネ自生拡大及び隠れGM ナタネについて報告しました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 輸入された遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生による遺伝子汚染が起きています。私たちはこの実態を明らかにすべく、全国の市民に呼びかけて調査を行ってきました。2011年に初めて、簡易キットによる一次検査(たんぱく質)(※1)で陰性(遺伝子組み換えでない)と判定されたにも関わらず、二次検査(DNA)(※2)による検査で陽性と判定されたナタネが見つかりました。私たちはこれを「隠れGMナタネ」と表現し、これまでとは違い、潜行拡大する恐れのある大きな問題だと考えました。  2012年は、3月13日に福岡市箱崎埠頭周辺、4月4日に茨城県鹿島港周辺、5月20日に三重県四日市港及び国道23号線沿い、7月8日に再び福岡市箱崎埠頭周辺、11月28日に再び三重県四日市港及び国道23号線沿いを調査しました。その結果、一次検査で陰性のものを二次検査したところ、全体のサンプル数36検体で、その内8検体が隠れGMナタネでし た。これにより、かなり一般的に広がっていることが確認されました。  同時にGMナタネが自生の多い場所で、外見上、明らかにキャノーラ(※3)ではなく、雑草や交雑種と思われるものを2検体検査したところ、1検体から組み換え遺伝子が検出されました。いったん交雑を起こすと、汚染はキャノーラ以外に拡大しやすくなるため、この検査も継続し、抜き取りを行う必要があることが確認されました。  これまでGMナタネ同士が交配しているケースでは、隠れGMナタネは検出されておらず、非GMナタネとの交雑が起き、繰り返すうちに、隠れGMナタネが誕生したと思われます。  そこで、隠れGMナタネの原因について、専門家による検討会を持ちました。そこではジェネティック(内的)な原因と、エピジェネティック(外的)な原因の2つに分けて検討しました。現段階では確定したことは言えないものの、エピジェネティックな原因が有力視されました。組み換え遺伝子は、ナタネにとって不要なものであり、遺伝子の発現を制御する何らかの要因が働くと思われるからです。この原因追及は、これからの大きな課題として、今後も取り組んでいきます。 (※1)免疫クロマト法。検体を砕いたものを試験管に水とともに入れ、試験紙を浸すことで、試験紙の色が変化し、特定のたんぱく質の有無が見分けられる。 (※2)DNAを抽出・精製してPCR法により増幅させ、電気泳動によりDNAの解析を行う。 (※3)カナダで開発されたナタネで、現在、遺伝子組み換えのものが95%を占める。カナダのGMキャノーラはすべて除草剤に対する耐性を持つ。

その他/備考


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