高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

これまでの助成研究・研修

トップページ  > これまでの助成研究・研修 > 助成事例の詳細


食品、土壌などの放射能調査による市民生活の安全向上と記録



グループ名 高木仁三郎記念ちょうふ市民放射能測定室 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 藤川 泰志 さん
URL http://chofu-lab.org/
助成金額 30万円

「夏休み子ども放射能測定教室」の様子

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 シンチレーション式スペクトロメータによる食品、土壌、焼却灰、堆肥などの放射能調査を行うことによって、市民生活における放射能汚染の実態と内部被曝の可能性について解明していきます。行政との協同により、学校・保育園の給食食材の調査を頻繁に行い、その安全性を高めながら、汚染の有無、数値を記録して、品目や産地による汚染の状況を解明して、少しでも汚染の少ない農作物の生産と流通に寄与していきます。そのことによって福島県をはじめとする被汚染地帯の農業生産を支えます。  市民自身がデータを持つことによって、市民独自の放射能基準(規制値)の策定を目指します。軽度汚染食品を市民が受け入れる基準についての合意を目指します。食用に適さないもの、学校・保育園などの給食用を含む子どもや幼児の食用には適さないが大人は受け入れて消費すべきものを区別して流通させることを目指します。  地域で生産される家庭菜園の作物、堆肥、あるいは焼却灰に対する不安にも応えます。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 5月中旬に測定器(NaIシンチレーション式)を搬入してから「自主測定」を続け、7月の正式オープン以後は市民からの依頼の受け付けも始めて、合計で約100件の測定をしました。市内の土壌の検査は、30か所に及び、各所の放射線量の比較検討をしています。最高値で2,400Bq/kgを検出しています。また歩行者の通行量がたいへん多い歩道沿いの壁に生えていた苔が2,600Bq/kgもの高い値であることも発見しました。  一方、市内で売られていた桃に4Bq/kgの放射能が含まれていることを計測して、シンチレーション式の測定器としては、精度の高い測定ができていることを確認しました。国産バレンシアオレンジの測定では、19Bq/kgを検出して、保育園の給食などで使用されることがないように出荷先との意見交換をしました。市内で生ごみや落葉を堆肥にしてゴミの減量を目指すグループと提携して、出来上がった堆肥の測定を続けています。堆肥の基準値より低いものの、100Bq/kgを超える数値が検出されており、対策を練っています。稲作をしているグループもあり、今年の新米の測定も始めています。  名古屋の市民測定所「C−ラボ」が調整した「基準米」を使って測定器の精度を検証する試みに、2番目の測定所として挑戦しました。この「基準米」は、微量から高濃度までの4段階に汚染玄米をブレンドして専門機関のゲルマニウム半導体検出器で厳密に測定したもので、これを自分たちで測定して、結果を比較するのですが、高い放射能になるにしたがって低めに計測される傾向があるものの、おおむね納得のいく数値を出すことができました。  いわき市の市民測定所「たらちね」から、天然のきのこの放射能が高いとの注意喚起があり、高尾なとで売られているきのこの測定をしてみようと考えましたが、売り物のきのこは入手できず、裏高尾の山中で数種の野生きのこを採取して測定しました。60Bq/kg程度の汚染があり、今後もホットスポット地帯である奥多摩の天然きのこを計測していきたいと思います。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2012年5月にキャンベラ社のNaI放射能測定システムを購入し、食品と土壌の放射能測定を開始しました。市民からの依頼と、独自調査、研究において、250検体の測定を行いました。  狛江市の一般家庭の庭で実った「ゆず」から5.6Bq/kgを検出したことから、広く市民に呼びかけて柑橘類を集めて、調査を行いました。半数を超える試料からセシウムを検出して、小さな子供たちが食べないように市民に広報しました。また、調布市と狛江市の環境政策課にデータを添えて提出しました。  きのこの放射能調査は、長野県から採取してきた天然きのこを計測したことから始まりました。試料が足りなかったため高めに判定したのですが、3900Bq/kgの数値が出て、すぐに「CRMS(市民放射能測定所)世田谷」に持参してゲルマニウム半導体検出器で再測定をしました。そこでの測定値3065Bq/kgを、長野県の森林管理課に通報しました。この調査は、「朝日新聞多摩版」において市民のきのこ狩りにおける注意喚起の記事として掲載されました。  東京の天然きのこも計測してみる必要があると考えて高尾山で採取したものを計測してみると、64.6Bq/kgでした。その他に、きのこでは狛江市産の「原木しいたけ」から10Bq/kgを検出しています。これは、ハウスの中での栽培で、原木は今回の事故以前から置いてあるものだそうです。きのこの場合はハウス内でも空気の入れ替えだけでこれだけの放射能汚染をしてしまうことがわかりました。  2012年の8月には「夏休み子ども放射能測定教室」を行いました。自分で放射能を測定し、放射能を自分の目で確認して、結果を持ち帰ってもらいました。参加した中学生はこの体験を夏休みの「自由研究」として学校に提出したそうです。放射能災害は無かったことにしたいという空気が作られていますが、放射能との闘いはこれからが本番だといわざるを得ません。このような子どもを対象とした学習活動にも力を入れていきます。

その他/備考


HOME助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い高木基金について
ENGLISHサイトマップお問い合わせ 個人情報の取り扱い