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福島原発事故被災地(南相馬市)における飲食物の放射能汚染の調査研究



グループ名 特定非営利活動法人チェルノブイリ救援・中部 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 池田 光司 さん
URL http://www.chernobyl-chubu-jp.org
助成金額 50万円

放射能測定センター・南相馬「とどけ鳥」

放射性セシウムの水への移行のしにくさ

玄米〜白米〜炊飯の過程における放射性セシウム数値の変化

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 本調査研究は、福島原発事故により強い放射能汚染を受けた南相馬市において、市民の手による体内被曝低減を試みるものです。また、本調査研究を通して、市民の間に前向きな連帯をつくり出し絆を深めることも大きな目的の一つです。  体外被曝については、課題はまだあるものの、空間線量の情報の提供および除染活動の推進により、市民の関心も高く、空間線量が自然に減少することとあいまって、今後低減の方向に向かっていくと考えられます。一方、体内被曝については、チェルノブイリ原発事故被災の経験から、体外被曝よりも健康への影響が大きいと考えられるにもかかわらず、十分な取り組みがされていません。行政や報道機関から飲食物の放射能汚染レベルの公表はあるものの、サンプリング数が十分とは言えず、情報の提供の仕方も断片的で一方的であるため、市民が情報に振り回されて不安を取り除けていないのが実情です。  そこで本研究では、市民自らの手で飲食物のモニタリングを行い、その結果を受けて体内被曝を低減する対応策を検討し、実践へとつなげていきます。特に、水の問題を最優先として取り組みます。また、市民の連帯を作りだすために、調査研究の成果を市民の暮らしに則した形で分かりやすく提供することに挑戦して、アイデア募集や意見交換を行っていきます。  なお、本調査研究については、現地での調査・研究活動は現地市民団体であるA&S福島が行って、チェルノブイリ救援・中部は技術面および資金面での援助を行います。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 南相馬市は福島原発事故により強い放射能汚染を受けましたが、多くの市民は汚染された地で暮らさざるを得ない状況にあります。そのような状況の中、健康への影響で最も懸念されるのは、飲食物の摂取による体内被曝です。  そこで本調査研究では、市民自らの手で体内被曝を防ぐために有用な情報を見い出して広く共有することをねらいとし、飲食物の汚染レベルのモニタリング、分析および分析結果の情報発信を行っています。具体的には、本年6月に南相馬市に放射能測定センターを開設して、市民ボランティアを募って、市民から持ち込まれる飲食物の測定および自主的なモニタリング調査を行っています。また、測定結果は、「とどけ鳥」と名付けたホームページとブログで随時公表しています。  8月末までの測定数実績は、食品316、水338です。測定を重ねる中から、放射能に汚染されやすい食品と汚染されにくい食品の傾向がつかめつつあります。また、水は、本助成金の対象となる水道水のモニタリングの他、井戸水の測定も行っていますが、いずれも検出限界4〜10Bq/kg以下です。  さらに、土壌の測定も行っており(測定数580)、食品や水との関係で有用なデータも得られています。  今後は以下の課題に取り組みます。 (1)食品の測定数をさらに重ねて統計的に傾向をつかむ。 (2)水の測定の検出限界を下げる。 (3)土壌汚染と食品汚染との関係をつかむ。 (4)食材の部位や調理方法との関係をつかむ。 (5)分析結果をより分かりやすい形で公表する。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 以下の調査研究を、2012年6月に開設した「放射能測定センター・南相馬(通称:とどけ鳥)」にて行いました。 1.水のモニタリング 1)水道水のモニタリング  南相馬市の水道水の水源は5つあります。2012年6月〜2013年5月の1年に亘るモニタリングにおいて、5水源とも放射性セシウムは検出限界(30分測定:検出限界5〜6Bq/kg)以下でした。水源が地下水であること、河川調査などにより土壌中の放射性セシウムが水に移行しにくいこと(河川調査などから)から、放射性セシウムが含まれる可能性は低いと考えられます。ただし、1水源は検出限界以下ながら平均で2Bq/kg近くあり、今後精査が必要です。(その後の分析により、天然ラドンの娘核種である放射性ビスマスが原因と判明しました) 2)河川の汚染度調査  市内を流れる5つの河川の汚染度を2回にわたり調査しました。川底の土の汚染は、ばらつきはあるものの、全体的には上流が高く下流が低いという傾向を持ちました。また、川底の土の汚染が平均して数千Bq/kg以上あっても川の水(澄んだ状態)は検出限界以下(30分測定:検出限界4〜6Bq/kg)でした。 3)井戸水の汚染度調査  井戸水の測定が標準化された2012年10月以降、標準に沿って測定した85検体いずれも検出限界以下(30分測定:検出限界4〜6Bq/kg)でした。 2.食材のモニタリング  市民から測定依頼のあった食材を中心に汚染度を調査し、その調査結果を米、野菜、豆類、果物、きのこ、海藻、魚類、畜産物の品目毎にグラフにしてまとめました。詳細は、ホームページで公開しています。平均値でみると放射性セシウムの取り込みやすさに傾向が見られるものの、同一品目内の検体間のばらつきが大きく「この品目の食材は安全である」と言い切るのは困難です。  また、米の汚染については、土壌の汚染と必ずしも比例しないこと、放射性セシウムは糠に多く含まれること、白米にして炊くと大幅に放射性セシウムを軽減できることが確認できました。

その他/備考


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