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原発被災者生活再建のための政策研究



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 藤原 遥 さん
URL
助成金額 30万円

訪問先一覧

高木基金「市民科学 研究成果発表会 2017」での発表の様子(藤原遥さん)

研究の概要

2014年12月の助成申込書から
 福島原発事故の発生から5年目に入り、政府は避難区域の解除を行い、被災地域住民の帰還を促す動きを強めている。その先頭を走ってきたのが双葉郡川内村である。川内村では帰還政策が急速に進められてきた反面、住民の帰還は進まず、住民は多様な居住形態を余儀なくされているのが現状である。  申請者はこれまで川内村における復興政策の財政分析を行ってきた。その間に、自主財源の乏しい川内村では国の復興財源に頼らざるをえず、村内の復興事業を行うことができても、自主財源で避難者の生活再建のための十分な支援事業を実施することが困難であることが明らかになった。そのため、実質的に避難者に対する支援政策は受け入れ自治体に委ねられている状況にある。しかし、受け入れ自治体は行政サービス以外の独自の支援事業を自主財源で費用負担しているため、自治体によって実施できる事業が異なり、財源確保の状況によって事業の継続が困難になる場合も考えられる。  こうした状況を踏まえ、本研究では、受け入れ自治体と避難者を対象にした現地調査を通じて支援政策の全体像を捉え、そこから避難者の生活再建のための包括的な支援政策の構築とその費用負担のあり方について検討することを目的としている。  そして、研究成果を公表することを通じて、国の統一的かつ包括的な生活再建のための支援政策が欠如している問題を指摘するとともに、新たな支援政策の提案につなげたい。そのために学術論文を執筆し、学術誌への投稿、学会での発表を積極的に行っていく予定である。

中間報告

2016年10月の中間報告から
 本研究では、受け入れ自治体と避難者を対象にした現地調査を通じて支援政策の全体像を捉え、そこから避難者の生活再建のための包括的な支援政策の構築とその費用負担のあり方について検討することとしました。  原発被災者を受け入れる自治体の中には、自主財源を充当し、独自の支援政策を実施する県や市町村があります。その中で特に際立った独自の支援政策を展開している新潟県、山形県、岡山県の3県に着目し、行政や民間支援団体、同地域に避難している原発被災者に聞き取り調査をおこなっています。  2016年4〜8月の間には、新潟県と岡山県を訪問しました。新潟県では、新潟県中越地震の経験を活かした支援政策について聞き取りをしました。岡山県では、移住促進政策として住宅・雇用・教育の支援をおこなう自治体を訪問調査しました。残りの半年は、現地調査を継続的に実施するとともに、各県の支援政策を整理して、研究報告や論文投稿を積極的におこなっていく予定です。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2015年度は、高木基金の助成を受けて、川内村の復興行財政を分析しました。財政の側面では、復興関連予算がインフラ整備事業に偏重し、他方で避難者支援は広報誌の送付などに限られていたことが明らかになりました。住民が広域に避難していることから、避難元の自治体が避難者に対して直接支援をすることは現実的に困難な状況にあります。そうした中で、避難先の自治体や民間支援団体が避難者支援にあたっていますが、避難先によって対応が異なっています。  それを踏まえ、2016年度の調査研究では、政府・福島県・受け入れ自治体における避難者支援事業を把握し、そこからこぼれ落ちる避難者のニーズを捉え、現行の避難者支援策の問題点を明らかにすることを目的としました。調査対象は、新潟、山形、岡山の3県で、行政、民間支援団体、避難者に聞き取り調査をしました。調査研究から、次の2つの問題点が明らかとなりました。  第1に、子ども被災者支援法で定められた支援策が具体化されず、財政的裏付けがなされていないため、受け入れ自治体の財源調達の状況によって支援事業に差異が生じていることです。避難者は住宅、就業、心のケア等包括的な支援を必要としていますが、支援主体の財源確保が困難な場合はそのニーズに十分に対応することが難しくなります。  第2に、子ども被災者支援法に定められている避難者の必要に応じた長期支援が保障されていないことです。2016年度に自主避難者の住宅無償提供が打ち切られ、2020年度には復興期間が終了します。避難者は、放射能による影響が長期におよぶことから継続的な支援を求めています。  以上の問題点を克服し、国は子ども被災者支援法に即した包括的・継続的な支援策を提示し、その財政措置をすることが必要です。長期的な支援制度について検討するうえで参考になるのが、新潟県中越大震災の復旧・復興対応のために新潟県が創設した復興基金だと考えています。今後は避難者を含めた被災者支援のための基金制度について検討していく予定です。

その他/備考


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