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オリンピックの開催で開発が予定されている神奈川県逗子市小坪大崎の藻場およびそこに生息する動植物の調査



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 大久保 奈弥 さん
URL
助成金額 50万円

小坪大崎での生物調査の様子。

小冊子『神奈川県逗子市 小坪海岸の生物102種』

高木基金「市民科学 研究成果発表会 2017」での発表の様子(大久保奈弥さん)

研究の概要

2014年12月の助成申込書から
 神奈川県逗子市小坪大崎海岸は、逗子市で唯一残された自然海岸であり、環境省のモニタリング1000によると、県内第5位の広大な藻場を持つことが知られている。この豊かな藻場は、水産資源のゆりかごとして高い生物多様性を生み出している予想され、地元の漁業にも大きく貢献している。  しかしながら、2020年のオリンピック・パラリンピックセーリング競技を開催するため、現在、神奈川県、逗子市、地元企業により、小坪大崎の藻場海域にディンギー1000隻を停泊させるための漁港開発と防波堤(150m長x2)を設置する計画が案として提出されている(添付記事)。もし、防波堤の建設がスタートすれば、工事の堆積物や海流の影響により、この海域に生息する日本最北限の可能性があるサンゴイソギンチャク群集を始め、隣接する貴重な歴史的遺産の和賀江島を含む鎌倉市材木座や由比ヶ浜の砂浜海岸が大きく浸食される恐れがある。また、開発企業の計画書に、工事により漁業資源が減少する恐れがあると書かれてあるように、漁場である藻場の上に防波堤を建設するため、当然、本海域における生物のゆりかごが破壊され、資源量は大きく減少し、地元漁業者の収入が低下することは必至である。  そこで、逗子市小坪大崎の藻場環境と、そこに生息する動植物を保全することを目的として、当該海域の生物調査を行う。

中間報告

2016年10月の中間報告から
 神奈川県逗子市小坪大崎海岸は、逗子市で唯一残された自然海岸であり、環境省のモニタリングサイト1000によると、県内第5位の広大な藻場を持つことが知られています。この豊かな藻場は、水産資源のゆりかごとして高い生物多様性を生み出していると予想され、地元の漁業にも大きく貢献しています。しかしながら、2020年のオリンピック・パラリンピックのセーリング競技を開催するため、現在、神奈川県、逗子市、地元企業により、小坪大崎の藻場海域において漁港の開発と防波堤(150m長×複数)を設置する計画が案として提出されています。  そこで、逗子市小坪大崎の藻場環境と、そこに生息する動植物を保全することを目的として、当該海域の生物調査を行うことにしました。まずは、5月に地元の市民や専門家らを含めた総勢30名あまりで、小坪大崎の砂浜海岸に生息している生き物の調査を行いました。その結果、動植物合わせて102種の生物が見つかり、同定リストとしてまとめました。  次に、本海域の鎌倉側で、より開発の影響が大きいと考えられる和賀江島沖の調査を行いました。  6月には、和賀江島の海中調査をスキューバ潜水にて行いました。その結果、和賀江島の岸側はウミウチワやミゾオゴノリなど、内湾的な環境を好む海藻が多く、砂地ではアマモ場が形成されていました。また、岸側の投石帯(水深1〜2m位の場所)は、アイゴ幼魚の保育場となっていました。  さらに、和賀江島の沖側にはアラメやジョロモク、オオバモクが主構成種となった藻場が形成されており、サザエやアワビ類、ウニ類などの育成場となっていました。また、アミ類のスウォームも各所で確認されました。8月には、これまで和賀江島に打ち上げられた海藻の同定も行いました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 神奈川県逗子市小坪大崎海岸は、逗子市で唯一残された自然海岸であり、環境省のモニタリングサイト1000によると、県内第5位の広大な藻場を持つことが知られています。この豊かな藻場は、水産資源のゆりかごとして高い生物多様性を生み出していると予想され、地元の漁業にも大きく貢献しています。しかしながら、2020年のオリンピックセーリング競技を開催するため、現在、神奈川県、逗子市、地元企業により、小坪大崎の藻場海域において漁港の開発と防波堤(150m長×複数)を設置する計画案が出されています。そこで、逗子市小坪大崎の藻場環境と、そこに生息する動植物を保全することを目的として、当該海域の生物調査を行いました。  まず、2016年5月に、地元の市民や専門家らを含めた総勢30名あまりで、小坪大崎の砂浜海岸に生息している生き物の調査を行いました。その結果、動植物合わせて102種の生物が見つかり、同定リストとしてまとめました。  次に、小坪大崎の海中調査を行おうとしましたが、地元漁協関係者に配慮し、本海域の鎌倉側であり、より開発の影響が大きいと考えられる和賀江島沖の海中調査へと変更しました。6月に、和賀江島の海中調査をスキューバ潜水にて行ったところ、和賀江島の岸側はウミウチワやミゾオゴノリなど、内湾的な環境を好む海藻が多く、砂地ではアマモ場が形成されていました。また、岸側の投石帯(水深1〜2m位の場所)は、アイゴ幼魚の保育場となっていました。さらに、和賀江島の沖側にはアラメやジョロモク、オオバモクが主構成種となった藻場が形成されており、サザエやアワビ、ウニなどの育成場となっていました。また、アミ類の群れも各所で確認されました。8月には、これまで和賀江島に打ち上げられた海藻の同定も行いました。  2017年6月、調査結果を元にして作成した小冊子『神奈川県逗子市 小坪海岸の生物102種』を発行しました。小坪周辺のカフェなどに置いていただいているほか、地元の小学校と保育園でも配付されています。また、小坪大崎海岸で確認された生物のリストは、「海の生き物を守る会」のウェブサイト(http://e-amco.com)でも掲載しています。

その他/備考


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