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米国政府・政界・学界等における原子力エネルギー政策の検証:連携の可能性を求めて



グループ名 新外交イニシアティブ 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 猿田 佐世 さん
URL http://www.nd-initiative.org/
助成金額 80万円

鈴木達治郎・猿田佐世編『アメリカは日本の原子力政策をどうみているか』岩波書店

猿田佐世『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』集英社

ブックレット「アメリカは日本の原子力政策をどうみているか」出版記念シンポジウム(2017年2月28日)

高木基金「市民科学 研究成果発表会 2017」での発表の様子(猿田佐世さん・久保木太一さん)

研究の概要

2015年12月の助成申込書から
 日米の原子力エネルギーをめぐる外交パイプを拡げるべく日本の原子力政策に影響を与える米国の対日政策や米国内の原子力・再処理の現状について調査し、報告書にまとめ、両国で働きかけを行う。  米国の対日原子力政策について、日本では米原発推進派の声が多く報道される。例えば、 福島事故後、民主党政権が「2030年代に原発ゼロ」 との閣議決定を行おうとしたが、「米国」の反発があって見送られたと報道された。他方、「再処理を続けつつ原発を続ける」ことに米国から強い反発の声があった事実はさほど報道されなかった。実際には、米国では原発は経済的観点から既に過去のエネルギーとの位置づけである。また、日本の使用済燃料の再処理については多くの米政府関係者・研究者等が懸念を示している。日本で報道される「米国の声」に偏りがあることが伺える。  本研究では、これまで取り組まれてこなかった日米の原発・再処理慎重派へ情報と討論の場の提供を行い、日本の原子力政策を検討するための新たな意見や提言を作り出すことを目指す。また、メディア報道の恣意性などの問題についても指摘・分析し、日米に存在する情報の流通を是正する。 具体的には、原発や使用済み燃料再処理について再考を求める立場の米議会・政府関係者、シンクタンク・大学研究者等の見解を報告書にまとめ、メディア報道やシンポジウムを通じて、日本社会に発信し、今後の原子力政策についてより多面的に検討が進められるよう促す。なお、2018年の日米原子力協定の満期のタイミングを良い機会と位置付け調査・発信を強化していく。

中間報告

2016年10月の中間報告から
 本調査は、原子力エネルギーにおける日本と米国の関係を明らかにすることを目的として、米国における現在の原子力エネルギーのシステムや今後の方向性、原発や使用済み燃料再処理を巡っての関係者の見解、それらの点についての日本に対する意見などを、米国連邦議会・米政府関係者、シンクタンク・大学研究者等の見解を中心に調査分析するものです。  また、原発・再処理推進以外にどのような立場が米国にあるのか、特に米国政府の政策決定に影響を与えうる米国連邦議会・米政府関係者、シンクタンク・大学研究者等を中心に調査を行った上で、日本で原発に慎重な立場を取る人々がそれらの米国のカウンターパートとどのような連携を持ちうるのか、具体的働きかけも行いながら、調査・分析を行います。  2015年6月に訪米し、多くの元政府関係者や研究者と面談を行った結果をまとめ、補充調査も踏まえ分析を行ってきました。それを元に、日米の原子力協力の歴史や原子力システムについての情報をさらに集めながら、報告書を完成させ、岩波ブックレットとして2016年10月20日に出版しました。また、インタビュー結果なども収録した単行本も来年度以降に出版予定です。こうした活動を通じ、2018年度に満期を迎える日米原子力協定の改定に向けて世論喚起を していきたいと思います。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 本プロジェクトでは、日本の原子力政策に多大な影響を及ぼす米国の対日原子力政策や米国国内の原子力・再処理の現状について調査し、原子力エネルギーをめぐる日米外交のパイプを拡大すべく、両国で働きかけを行っています。2016年度はプロジェクトを開始してから、3年目に当たります。  米国では原発は既に斜陽産業とも認識されており、米国にも原発に慎重な議員や専門家、市民団体も存在します。特に日本の使用済み核燃料の再処理・プルトニウムの大量蓄積については、大統領補佐官を含む多くの政府関係者・研究者等が直接あるいは間接に懸念を示してきました。  本研究では、日米の原発慎重派、再処理慎重派へ情報と討論の場を提供し、脱原発・脱再処理に向けた新たな影響力を作り出すことを目指しています。また、日米関係についてのメディアの恣意的な情報選択という問題点についても指摘・分析し、情報の流通を是正することをも目的としています。  2016年度の一番の成果は、日米において進めてきた3年間の調査研究の成果を、書籍(鈴木達治郎・猿田佐世『アメリカは日本の原子力政策をどうみているか』岩波書店、および、猿田佐世『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』集英社)により発表したことです。その成果を基盤に、シンポジウムを開催し、また、講演依頼を受けたり、取材を受けて新聞や雑誌に記事が掲載されたりするなど、世論喚起にも尽力しました。今後は、さらに調査を続けると共に2018年の日米原子力協定の満期にむけ、日米においてさらなる発信を強化していきます。

その他/備考


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