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地域環境における有害性VOC発生源と分布の探求―続き



グループ名 化学物質による大気汚染から健康を守る会 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 森上 展安 さん
URL http://www.npovoc.org/
助成金額 40万円

ケムキーTLDモニター

簡易クロマトグラフ

高木基金「市民科学 研究成果発表会 2017」での発表の様子(津谷裕子さん)

研究の概要

2015年12月の助成申込書から
 この揮発性有機化合物による大気汚染についての継続研究は、非常に毒性の高い有機化合物が急速に種類と発生源を変化させて居住環境に広がり、住民の健康に重大な影響を及ぼしていることを明らかにしてきた。住民を含むすべての関係者は、原因化合物とこの問題の重要性を科学的に理解するように変わらなければならない。ごみ処分場からばかりでなく、家電器具や柔軟剤、医療器具からさえも毒性の高いイソシアネートおよびシアン化水素が放出されて環境を汚している。それらは化学分析器で検出が困難であるため、被害者の苦しみは著しいにもかかわらず公には無視されてきた。しかし我々はケムキーTLDモニターを使って、それらを観察できる。加えて、JMS社製簡易VOCモニター1000でクロマトグラフの時間変動を観察することで、原因物質飛来源を考察している。これからこの調査を継続して事例を積み重ね、説得性のある科学的根拠を確立して社会を動かして被害を防ぎたい。調べるべき材料を構成している化合物グループ中の原因化合物を確かめなければならないので、例として数種の柔軟剤が分析される。さらにまた、発生源から飛来した浮遊微粒子をデジタル顕微鏡で調べる。これまで協力的な多くの市民グループに、健康影響化学物質についての情報を発信してきた。2015年度には、茨城県医療生協やまちづくりの会放射能測定グループなどの支援で土浦市議会に提言した。グリーン連合と共に国会議員との懇談会にも出席し、この問題を説明した。この研究によって確かめられた資料を用意して、行政各所に提案しようと計画している。

中間報告

2016年10月の中間報告から
1.柔軟剤等日用品からの汚染  香料が苦痛との訴えのある地域で、被害者を中心として、室内と室外の汚染種類と濃度の変化を調べ続けるとともに、柔軟剤・消臭剤の市販品12種類について蒸発気体の分析を繰り返し継続して行いました。柔軟剤の香りは地域に広く観察され、室外で汚染化合物種類と濃度の時間による変動並びに室内への侵入による健康影響との関係および洗濯物に付着しての汚染の伝播も観察されました。クロマトグラフを見ると臭いが苦しい地域の大気汚染と柔軟剤揮発成分は通常汚染にかなり共通した化合物がありました。実験方法によって異なった結果もあったので、方法を検討しながら調査を繰り返す予定です。  文献資料の調査によって、当研究で発見した健康有害性が強いイソシアネートが、確かに柔軟剤香料成分の徐放性付与の目的で使われていることも確認しました。また、これと同様なイソシアネートによる徐放性付与の加工と応用が、繊維、衣料をはじめ、広範な日用品のために開発・生産され始めたことを確認しました。 2.土木建築・農薬などに伴う大気汚染の測定  今期は建築汚染例の測定チャンスはまだ得られませんでしたが、田植えシーズンから去年までとは違う特徴の有害汚染が広域的に観察されました。クロマトグラフで連続測定した汚染の種類は今まで経験したものとは全く違い、TVOCはわずかな上昇があるが通常汚染の自動車排気ガス成分は相対的に著しく減少し、代わりに毒性ガス分析器(ケムキー)ではイソシアネートが今までになく高濃度で、24時間長期間観察されました。クロマトグラフは建築・土木材料汚染および柔軟剤汚染の場合と全く異なりました。環境観察によると、除草剤散布後の草の枯れ方が従来のように一斉でなくて数週間経過中に徐々に枯れます。クロマトグラフの連続観察結果も従来の除草剤散布時のように、有機溶媒による顕著なVOC増加が短時間だけで終了していたのとは全く異なって、揮発溶媒の増加は殆ど見られません。柔軟剤とも共通の徐放技術が応用されているイソシアネートも含む水系農薬が使用されたと推定ました。なお、この観察と並行して今年から新たに発症したアレルギー的または病名不明の住民の訴えを聞きました。 3.廃棄物処理施設周辺での大気汚染観察  千葉県内の産廃処理施設周辺の健康被害環境の連続測定を継続して行っています。休日にはクロマトグラフによる汚染濃度は著しく減少しますが、化合物種類は週日と変わらず、汚染化合物が地域に長く残留していることが分かりました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 これまで揮発性有機化合物(VOC)による大気汚染についての研究を継続してきたことにより、実際の大気・空気の汚染が従来知られていた化合物の種類と異なり、欧米では40年以上前から特段に希薄な濃度でも発症率が高いとされてきた危険物質を含んでいるなど、日本では知らされていなかった新しい問題があることを見いだしました。  2016年度は、以下のような活動を行いました。 A.環境における有害大気原因物質の測定と分析 ((1)柔軟剤中の香料や農薬、建築材料、廃棄物処理に伴う地域環境の被害原因空気汚染の追究、(2)開発輸入した手のひらサイズTVOC計およびSpO2計でのデータ収録の検討) B.症状発現と環境汚染の関連調査(Aの(1)に同じ) C.被害状況の把握と対策指導、化学物質に関する必要基礎知識の指導(Aの(1)に同じ) D.啓発活動 ((1)セミナー実施(3回のセミナーを実施)、(2)活動内容を記録した会報の発行(6月、8月、2月の計3回発行)、(3)ホームページ、フェイスブック等で一般市民と情報を共有し意見を交換(通年)、(4)国際会議「イソシアネート環境と健康」(2013年アメリカ国立保健研究所)での発表と、他の100の発表テーマの概要和訳(会報3月号およびホームページ掲載))  最近までの調査結果で、広範な用途の新しい高性能合成樹脂のポリウレタンの原料および分解生成物のイソシアネート類が特段に希薄でも発症率が高い悪性アレルギー物質で死に至る場合もあることから欧米では国を挙げて対策を強化しているにもかかわらず、調査した健康被害がある地域では、イソシアネートが同じく毒性が強い含窒素有機物も伴いながら環境空気に蔓延している事実を見出しました。2016年度は、そのイソシアネートが製品の付加価値を高める目的で、今まで以上に広範な物品に使用され、予期しなかった被害が一層広がっていることが確認されました。例えば、従来は土木・建築材料の新しい有害物だけに見いだされていたイソシアネート類などの含窒素毒性有機化合物が、各種農薬、香り、プリンタインク、医療材料までに大量に付与されて、それとは知らずに苦痛を受ける被害者が各所から声を上げ始めています。一方、医療関係者や環境研究者はまだ気づかずに旧来の汚染物質だけを認識し検討しています。 血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーター

その他/備考


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