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福島第一原子力発電所の事故原因と推移過程の詳細検討および原発の安全性に関する規制基準の日欧米の比較調査



グループ名 もっかい事故調
代表者氏名 田中 三彦 さん
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助成金額 50万円

研究の概要

2015年12月の助成申込書から
 「もっかい事故調」は、「福島第一原発の各号炉で何が起きたのか」を中立的・科学的視点から、できるかぎり詳細に明らかにすることを目的として調査研究をおこなっている。  東京電力の福島第一原発事故は、現在もいろんなかたちで継続しており、熔融燃料(炉心デブリ)の回収や汚染水の処理とその副産物(いわゆる「スラッジ」)の長期保管など、手探りで方法・手段を開発しながらの対応に追われている。使用済み燃料も多くはプール(建屋内プールと共用プール)に残されたままで、次の手がすすまない。事故の原因・推移についても、データ不足や調査の困難さのため未解明の問題を数多く抱えている。  私たちの調査研究の作業は、国会事故調において事故の直接的原因の調査に当たったワーキンググループIのメンバーが中心にすすめている。必要に応じて国内外の専門家・研究者等の協力も求め、成果を論文やブックレット(計画中)などにまとめたり、シンポジウムや学習会を開いたりするほか、新潟県技術委員会への対応もおこなっている。  全交流電源発生の時間と津波の襲来や、原子炉建屋内での水素爆発発生過程など、これまで得られている成果は、福島第一原発1号炉に関する作業に偏ったものであったが、2・3・4号炉で何が起きたのかについても調査をすすめており、随時まとめの作業をおこなっていく予定である。東京電力の提示しているいわゆる「未解明問題」とは違ったものとなるだろう。  同時に、福島第一原発事故が起きたあとの、安全面に関する各国の規制基準・技術基準について、調査し比較する作業をドイツのエコ研(Oeko-institut)との共同のプロジェクトとして検討をすすめている。新基準にもとづく審査中の原発について、設計基準事故やシビアアクシデントのシナリオ選定の問題点などを具体的に指摘してゆく作業もおこないたい。

中間報告

2016年10月の中間報告から
 「もっかい事故調」は、「福島第一原発の各号炉で何が起きたのか」を中立的・科学的視点から、できるかぎり詳細に明らかにすることを目的として調査研究をおこなっています。  東京電力の福島第一原発事故は、現在も様々なかたちで継続しており、次の手が進みません。事故の原因・推移についても、データ不足や調査の困難さのため未解明の問題を数多く抱えています。  全交流電源喪失発生の時間と津波の襲来や、原子炉建屋内での水素爆発発生過程など、これまでの私たちの調査研究で得られている成果は、福島第一原発1号炉に関する作業に偏ったものでしたが、2・3・4 号炉で何が起きたのかについても調査をすすめており、随時まとめの作業をおこなっていく予定です。それは、東京電力の提示しているいわゆる「未解明問題」とは違ったものとなるでしょう。  同時に、福島第一原発事故が起きたあとの、安全面に関する各国の規制基準・技術基準について、調査し比較する作業をドイツのエコ研(Oeko-institut)との共同のプロジェクトとして検討をすすめています。新基準にもとづく審査中の原発について、設計基準事故やシビアアクシデントのシナリオ選定の問題点などを具体的に指摘してゆく作業もおこないたいと思います。  これらの成果として、岩波書店『科学』の2016年6月号に特別企画「日本の原子力安全を評価する」として掲載していただき、ほぼ同時に同名の別刷りとしても刊行することができました。「日本の原子力安全を評価する」を刊行に関連して、7月22日に「『日本の原子力安全を評価する』 その読み方・使い方」、また、9月24日には「原子炉格納容器の役割とその破綻 ―新規制基準で過酷事故対策は可能か?」というテーマで、それぞれオープンセミナーを開きました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 国会事故調で事故原因究明を担当したグループの有志が集って調査研究をおこなってきた「もっかい事故調」は、データの分析・可視化、解析結果の検証という地味な作業をつづけ、他の調査チームとは異なる内容の福島第一原発事故の実態解明をいくつか提示することができました。  その一つは、1号炉における水素爆発の場所と爆発メカニズムに関しての東京電力などの説明に不備があることであり、もう一つは、1号炉などへの津波襲来時間より全交流電源喪失事故発生の時間が早いこと(問題は津波だけでない)の実証的研究です。この作業を未達成の2・3・4号炉などにさらにつづけておこなうことによって、福島第一原発事故の実態の解明を一つでも先に進めるべく活動を続けてきました。  もう一つは、事故後つくられた日本の原発の規制基準を世界の規制基準などと比較検討をすすめ、日本の原発総体の安全性評価を試み、その結果を『日本の原子力安全を評価する』(岩波書店『科学』2016年6月号に掲載)において公表しました。この手法を各地の個別の原子炉に適用して、具体的、技術的問題、審査の内容、避難計画などを評価することによって、それぞれの固有の危険性を浮かび上がらせることをす すめていきたいと考えてきました。  上記2点について、もっかい事故調が主催するオープンセミナーなどを開催することによって報告したり、議論したりする活動もおこなってきました。また、新潟県技術委員会の委員であるもっかい事故調メンバーの田中と佐藤らとの研究・調査・議論や、メンバーの各地の原発訴訟等への参加について、技術的な問題だけでなく様々な段階でのサポートもおこなってきました。

その他/備考


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