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インドネシア東ジャワ州シドアルジョ県におけるラピンド泥水噴出事故による、ポロン川およびアロー川流域の水界生態系・井戸・養殖池・水田への影響調査【インドネシア】



グループ名 WALHI Jawa Timur
代表者氏名 ファニー・トリジャンボレ・クリスティアーノさん さん
URL http://walhijatim.or.id/
助成金額 50万円

噴出した泥水で浸水した住宅

住民参加型によるバイオモニタリングのトレーニング風景

合同ミーティング風景

バイオモニタリングとサンプリング風景

バイオモニタリングとサンプリングの住民向け勉強会風景

研究の概要

2015年8月の助成申込書より
 2006年5月、インドネシア東ジャワ州シドアルジョ県ポロンにあるラピンド・ブランタス社の天然ガス井で、掘削中の岩盤下から有害な泥水とガスが大量に地域周辺に噴出し、今も噴出は続いています。(ラピンド泥水噴出事故)   この泥水はすでに900ヘクタールに広がり、家屋や公共施設、交通網が破壊され、75,000人が強制移住となったり、多くの工場が稼働できなくなり大量の失業者が出るなど、社会的な問題ともなりました。  環境面では、政府がこの泥水をアロー川とポロン川に流すことを許可しましたが、両河川は水田や魚介類の養殖池の水源として使われているため、健康被害が広がる恐れがあります。実際に当団体の先行調査では、カドミウムと鉛という二種類の有毒な重金属が確認されたのに加え、多環芳香族炭化水素(PAH)がしきい値をはるかに超えて存在していることが分かりました。なお、池で養殖された海老は日本にも輸出されています。  政府は泥流鎮圧庁を設置したものの、事故発生から9年経ってなお、徹底的な調査はなされておらず、地域社会にも情報がほとんどありません。このため、本調査研究では、当団体と地域社会でチームを作り、ラピンド泥水噴出の周辺環境や両河川に対する影響調査を行います。既に、基礎調査、(泥土分析、被災者の健康調査など)は実施済みで、地域住民との信頼関係はもちろん、被害者や養殖業者のネットワークもできています。研究成果は地域社会含む国内外に現状を知らせるとともに、政府に対し事故の影響を拡大させないよう求める運動の根拠としていきたいと考えています。

中間報告

2016年5月の中間報告書より
2016年1月20日、周辺コミュニティの住民、関係者を交えた合同ミーティングを開催し、同時に多様な主体による調査チームを結成しました。 コミュニティに向けては、今回の調査(アロー川とポロン川周辺の水界生態系、井戸、養殖池、水田へのラピンドの泥水の影響評価)計画の主旨と、ラピンド泥水事故に関する復興政策のアドボカシーを行っていくための客観的データとして本調査の重要性を説明しました。同時に、大学や行政の代表者も招き、ラピンド泥水がアロー川、ポロン川に流入していた影響に関して、これまで情報公開が十分ではなかったことから、その点を認識してもらい、もし、ラピンドの泥水に有害物質が混じっていれば、ラピンドの泥水に汚染された魚やその他の生き物を消費している市民の健康を脅かすことになるため、しっかり情報公開していくよう求めました。 同年3月6日、コミュニティに対して、バイオモニタリングの手法とサンプリングについての知識と技術を提供することを目的に、研修会を行い、周辺コミュニティから20人が参加しました。 実際の現場での調査については、安全性の観点と、調査環境条件を鑑みて、雨期が明けた7月以降に順次、実施していきます。

結果・成果

2017年3月の最終報告書より
2016 年1 月、本調査を開始するにあたり、関係者会合を開き、地域コミュニティに対して調査研究の計画概要と意義を説明するのと同時に、泥水中の有害汚染物質が健康被害をもたらすという深刻な懸念があるにも関わらず、事故の影響に関する情報公開が不足しているため、大学の研究者や政府関係者も招き、この点についての認識を深めてもらいました。また、この会議内で調査に関する合同チームを立ち上げました。 同年3 月、分析機関用のサンプリングに先駆けて、本調査に対する住民理解を深めるため、川の生物調査とサンプリングの技能訓練講習会を住民向けに実施し、20 名が参加しました。 雨期が明けた8 月中旬にポロン川、アロー川、そして周辺の井戸、養殖池、水田でサンプルを採取し、分析は3 カ所の検査機関に分散して依頼しクロスチェックを行いました。今回の環境調査では2 つの川と周辺の養殖池、水田、井戸の5カ所からサンプルを採取し、水生物種、堆積物中のカドミウムと鉛の濃度について調べましたが、ポロン川の水、堆積物、生物種(エビ、貝類)、アロー川の水と堆積物、そして泥水事故現場に近い2 つの村の井戸で、それぞれ環境基準値を超える濃度が検出されました。 この結果を踏まえて、定期的に泥水の重金属モニタリングを行っていくことや、環境中への流出を防ぐために特別な中和処理を施していくこと、被災住民に対する救済策として定期的な健康診断と生涯カバーされる保険の適用、被災地域の再編成計画においては関係省庁を巻き込み、健康、環境、経済、社会各方面から多面的に策定すること、汚染地域が広がらないよう、天然ガスの探査・掘削の一時中止を求めていくこと、また当然ながら、事故現場周辺の住民に対して、泥水の接触や、汚染された水や食糧の摂取を禁止したり、マスク着用を推奨するなどの通達を出すこと、等を提言にまとめました。

その他/備考


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