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これまでの助成研究・研修

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市民による食品・体内放射能測定と脱原発をめざす活動



グループ名 いわき放射能市民測定室たらちね 研究成果発表会配布資料[pdf]
研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 木村 肇二郎 さん
URL http://www.iwakisokuteishitu.com/
助成金額 50万円

ベラルーシATOMTEX社製「AT1316」。チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシを中心に多数の納入実績があります。5分間の測定で人体内のセシウム134・137を検出します。

ドイツBERTHOLD社製ガンマ線スペクトロメーター「LB2045」。LB2045はNal(TI)シンチレーションカウンターを用いたガンマ線スペクトロメーカーです。食品/植物/水/土壌など、様々な原材料、あらゆる物質の放射能測定ができます。

研究の概要

2011年12月の助成申込書から
 福島原発事故で広島型原発の30倍の放射能が放出されたにも拘わらず、放射能汚染を過小評価し、安全閾値を底上し、避難地域が限局された結果、多くの福島県民は放射能汚染の中での生活を余儀なくされています。特に内部被曝の軽視により、食品の放射能安全基準値が諸外国より高く設定されており、更にサンプリング調査をすり抜けた基準値を超えた食料品が市場に出回っているため、今後、体内被曝の増加が懸念されます。かかる放射能汚染の中で、内部被ばくを避け、健康を守るために「いわき放射能市民測定室」を立ち上げ、自らの手で食品放射能値と体内被曝量の測定活動を行います。  測定の結果をホームページ、マスコミなどで公表し汚染の実態を明らかにします。さらに内部被曝による健康障害についての正しい理解のために、報告会、勉強会、相談会、講演会などを行います。講演会には内部被曝の専門家、放射能汚染から子どもを守ることを真摯に考えている小児科専門医などを招聘します。  以上の活動を通じて、国の現在の放射能対策では、県民の健康を守れないことを明らかにします。そして、原子力村構成メンバーに対して、今回の事故を真摯に受けとめて、安全神話の下に進めてきた原発推進政策の誤りを認め、核エネルギーから自然エネルギーへの転換を要求し、その実現を目指します。

中間報告

2012年10月の中間報告から
 2011年3月11日の東日本大震災直後の福島原発事故を受け、事故による放射能の拡散と環境汚染、汚染地域の土地の除染について調査研究を行っています。環境汚染を目に見える形で表す方法として、食品の放射能測定、土壌の測定、水の測定、堆肥の測定、焼却灰の測定…など行い、ホームページや測定室窓口で地域住民への広報を行っています。危険なものを口にしないよう呼びかけも行っています。また、汚染された土地の除染の可能性としてソルガム(ソルゴン)というイネ科の植物によるセシウムの吸い上げの効果を探るための実験・研究も行っています。これらの調査研究と専門家による勉強会を行い、すでに汚染されてしまった土地で暮らす地域住民が、どのように心身の健康を守り、コミュニティを守り、安全に子どもを育てていったらいいかを探すことを目的としています。内部被曝に直接的に関わる食品の放射能測定については、昨年のデータとの比較を行いながら、測定室利用者の住民のみなさんと懇談を重ね、どのように調理をしたらセシウム値が下がるかなどの方法も研究しています。  一言に放射能汚染といっても、実際にセシウムでの汚染が確認されていない土地でも、福島の土地ということで、そこで作った作物は安く買い叩かれ、耕作の意欲をなくした農業従事者は毎年の手作業での草取りをやめ、除草剤を撒くなどの方法をとるようになるなど、汚染による実質的な害は大きく深いと感じています。土地を諦める住民の苦しい心情が伝わってきます。しかし、その状況でもなお、諦めずに土地と向き合う人々への対応として、食品をはじめ、様々なものを測り、感情に流されることなく、冷静に自分たちの暮らす土地の情報を得る努力をしています。  「いわき放射能市民測定室たらちね」は、測定室内のスタッフの力だけでなく、地域住民の熱心な探究心とともに、日々測定活動を行っています。また、それと同様の探究心と向上心の協力により、除染の可能性を求めて、ソルガムの栽培にも畑を提供していただき、データの収集に協力をいただいています。現在、その事業については、結果まではいたっておらず、今も研究の途中です。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2012年4月1日〜2013年3月31日に行った事業には以下の通りです。 ・食品・土壌・資材・水の累計測定件数は約4000件。2011年3月11日の原発事故後、食べることが生きるか死ぬかのどちらなのかを知るための測定であり、高線量の放射能を含むものを測定し発見することにより、地域住民の命と健康を守ることに役立てました。 ・ホールボディカウンターによる人体の累計測定件数は約2,000件。医療機関と違い、普段着を着たままの測定から入ることにより、生活の中の被曝を見つけることができました。衣服が被曝している事実を発見し、被検者のその後の暮らしに役立てることができました。また、家族全員3世代以上のファミリー測定を行うことにより、食べ物・畑仕事による砂ぼこりの吸引・ペットの世話からの吸引による被曝などの生活習慣の中の被曝の危険を発見しました。 ・ソルガムによる土壌のセシウム吸着除染実験も始めましたが、作付け、収穫の前後の土壌測定において、ソルガムによるセシウムの除染効果はほとんどみられないと判断しました。土壌の測定線量に変化はありませんでした。 ・海岸の砂浜の測定を開始しました。砂浜は3層から4層に分けて採取しそれぞれの層の放射線量の測定を行いました。一般の土壌と違い、汚染の移動の様子が直接的に表れることがわかりました。 ・地域の空間測定のマップ作りを行いました。行政のモニタリングポストとの測定値の差がでたことと、きめ細かく測定することで、子どもに近い場所の汚染を発見することが多くありました。  また、今年度より、甲状腺検診プロジェクトをスタートさせました。地域の子どもたちの甲状腺検診を行うことにより心配されているヨウ素被曝による甲状腺機能の低下に早期に対応できる地域の体制をつくっていくことに役立ち、一人でも多くの子どもの健康の役に立てるよう活動していきます。

その他/備考


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