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群馬県における汚染状況重点調査地域を中心とした放射性物質の健康への影響に関する調査研究



グループ名 Annakaひだまりマルシェ 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 神戸 るみ さん
URL
助成金額 60万円

甲状腺エコー検査のチラシ

2017年度甲状腺エコー検査の結果(判定は福島県民健康調査に準ずる)

研究の概要

2015年12月の助成申込書から
 当該事業では、放射線の健康への影響について正当な評価をするための情報集積手段として、「子どもたちの甲状腺エコー検査」並びに「群馬県内の汚染状況重点調査地域を中心とした土壌測定及び内部被曝線量の試算」を行うことで、福島第一原発事故以降、子どもたちの置かれている状況を客観的、科学的に調査研究することを通して、社会の在り方に問題を提起していく。  放射性物質汚染対処特措法では、「環境大臣は、その地域内の福島第一原発事故由来の放射性物質による環境汚染の状況について重点的に調査測定することが必要な地域を『汚染状況重点調査地域』として指定する」とされており、現在、8県99市町村がその指定を受けている。このうち群馬県では、平成24年12月に片品村及びみなかみ町がその指定を解除したことから、現在では桐生市、沼田市、渋川市、安中市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村の10市町村が指定を受けている。当法人事務所所在地である群馬県安中市も、この汚染状況重点調査地域に指定されているが、未だ除染計画が策定されないままに5年が経過している状況である。  また、平成23年11月21日に開催された群馬県主催の「放射線の健康への影響に関する有識者会議」では、『子どもについては、放射線の感受性が高いということもあるが、少なくとも今、がんが直ぐに発生するわけではないし、甲状腺機能低下症については、線量が全然違うので、発がんの観点からすれば、小児であってもこの程度であれば影響はない。』という報告を出しており、子どもたちの健康への対策は講じられていない。  私たちは群馬県における以上のような現状を踏まえ、以下の内容にて事業を実施する。 1.群馬県に住む子どもたちの甲状腺エコー検査の実施 チェルノブイリ原発事故後の健康被害として小児甲状腺がんが報告されており、福島県においては平成23年10月より、県民健康調査が開始されていることから、群馬県においても、特に汚染状況重点調査地域に居住する子どもたちを中心に標記事業の実施を通して、万が一の被害を最小限にするための体制づくりを市民主導で行う。 2.群馬県内の汚染状況重点調査地域における土壌測定及び内部被ばくの試算 汚染状況重点調査地域の地域指定基準に空間線量率が用いられるなど、事故当時から現在に至るまで、空間線量率の議論が先行してきた感が否めない現状において、土壌測定データを集積すると共に、内部被ばく線量の試算も行う。

中間報告

2017年10月の中間報告から
 私たちは、群馬県安中市を拠点として、福島第一原子力発電所事故をきっかけに活動を始めた市民活動を母体としたNPO法人です。スタッフの多くは子どもを持つ母親であり、目の前にいる我が子への放射線の健康影響を正しく評価し、今できることを積み重ねていこうという一心で過ごしてきました。  2015年度より、このような私たちの思いに賛同してくださる個人の方、団体の方、そして専門職の方々のご協力のもと、これまで476名の子どもたちの甲状腺エコー検査を実施しています。自治体や国が実施するような量的調査とは異なる、本調査の質的調査の要素をプラスと捉え、本年度は特に子どもたち一人ひとりの健康に注視することを念頭に、事業を実施していきます。  放射性物質汚染対処特措法では、「環境大臣は、その地域内の福島第一原発事故由来の放射性物質による環境汚染の状況について重点的に調査測定することが必要な地域を『汚染状況重点調査地域』として指定する」とされており、現在、8県92市町村がその指定を受けています。群馬県では、桐生市、沼田市、渋川市、安中市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村、片品村、みなかみ町の12市町村が指定を受けました。このうち、片品村、みなかみ町は、2012年12月に指定を解除されました。安中市は、除染計画が策定されないまま5年以上が経過していましたが、2017年3月22日に、中之条町とともに指定解除となりました。  群馬県における「放射線の健康への影響に関する有識者会議」は、群馬県において甲状腺検査は必要ないとしています。しかし、私たちは、事故当時の初期被ばく線量が分からないことに加え、放射線の健康への影響は実効線量への換算係数がICRP基準とECRR基準で異なるように、社会的立場によってその評価が異なる、あくまでも推定値であるという2点において、現段階では群馬県での甲状腺検査が必要である、または必要ではない、といういずれの断定もできる状況にはないと考えます。このような現状において、放射線の健康への影響の評価が過小評価にならないために、今後も群馬県において甲状腺検査を継続していきます。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 私たちは、群馬県内の汚染状況重点調査地域における「子どもたちの甲状腺エコー検査」と「土壌測定」を通して、福島第一原発事故以降、群馬県の子どもたちの置かれている状況を客観的、科学的に調査研究し、社会の在り方に問題提起をしました。  群馬県では、片品村、みなかみ町及び安中市が指定を解除されたため、現在では、桐生市、沼田市、渋川市、みどり市、下仁田町、中之条町、高山村、東吾妻町、川場村の9市町村が「汚染状況重点調査地域」の指定を受けています。  チェルノブイリ原発事故後の健康被害として小児甲状腺がんが報告されており、福島県においては、2011年10月以降、県民健康調査が実施されています。一方で、群馬県においては、2011年11月21日に開催された県主催の『放射線の健康への影響に関する有識者会議』が、「少なくとも今、がんが直ぐに発生するわけではないし、甲状腺機能低下症については、線量が全然違うので、発がんの観点からすれば、小児であってもこの程度であれば影響はない」という報告を出しており、子どもたちの健康への対策は講じられていません。そのため、特に汚染状況重点調査地域に居住する子どもたちを中心に、甲状腺検査や土壌測定などの実施を通して、万が一の被害を最小限にするための体制づくりを私たち市民が主導しました。  2017年度の甲状腺エコー検査事業では、226名の群馬県の子どもたちの甲状腺検査を行い、土壌測定事業では51検体の土壌の放射線量を測定しました。これらのデータを集計して報告書を作成しました。 【2017年度の測定・検査実績】 ・ 土壌測定:通年実施51検体:宅地土壌(40件)、畑土壌(7件)、その他(枯葉・草・おがくずなど3件) ・ 甲状腺エコー検査:年間7回実施、合計 226人   ・・・うちA1判定 92名(42.4%)/ A2判定 120名(55.3%)/ B判定5人(2.3%) 【2018 年度の活動】 ・ 土壌測定:2018 年度も継続して測定を実施し、学校校庭や保育園・幼稚園園庭、公園など、子どもたちの生活環境に身近な場所の土壌測定も実施していくことで、今後も暮らしを客観的、科学的に評価していきます。 ・甲状腺検査:年間約250名の実施を予定しています。 2017年度甲状腺エコー検査の結果(判定は福島県民健康調査に準ずる)

その他/備考


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