高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

これまでの助成研究・研修

トップページ  > これまでの助成研究・研修 > 助成事例の詳細


原子力規制行政の監視・検証



グループ名 原子力規制を監視する市民の会 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 阪上 武 さん
URL http://kiseikanshi.main.jp/
助成金額 40万円

研究の概要

2016年12月の助成申込書から
 原子力規制を監視する市民の会は、原子力規制行政の監視活動を続けており、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査及び寿命延長審査に係る調査研究活動を行ってきた。原発再稼働に際し、地震動や耐震評価、火山リスク等をめぐる問題、運転開始30年経過時の高経年化技術評価及び40年経過時の寿命延長審査に係る手続き上および安全上の問題、福島原発事故で問題となっている海洋への汚染水放出の防止対策に係る問題などを指摘し、対応を求めてきた。  2016年度は、元規制委委員の提言に端を発する地震動評価に関する問題、熊本地震や老朽化に照らしながら、耐震安全評価をめぐる諸問題、火山灰再評価の問題、フランスで発覚した原子炉鋼材の品質問題等に焦点をあててきた。  今後の原発の再稼働に向けた安易な審査を許さないためにも、既に再稼働している原発の監視を続けるためにも、審査の過程で明らかになった問題を整理し、また、新たな問題点を抽出して指摘する作業が求められている。  また、技術論争や裁判の資料としても活用できるよう、公開されている審査資料や映像記録、議事録に基づき論証的に、なおかつ、様々な場面で活用できるよう、市民にもわかりやすく整理することが、市民科学の課題となっている。  検証のテーマとしては、これまでの審査で問題となった事柄の整理に加えて、特に注目すべき審査として、沸騰水型原発で優先審査となった柏崎刈羽原発6・7号機の審査及び裁判闘争が本格化する美浜3号機、高浜1・2号機など40年超え老朽原発の寿命延長ための審査が挙げられる。

中間報告

2017年10月の中間報告から
 原子力規制を監視する市民の会は、原子力規制行政の監視活動を続けており、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査、および寿命延長審査に係る調査研究活動を行ってきました。今年度の活動では、以下の点を重点的に取り組みました。 (1)原発の火山灰濃度規制  原発の火山影響評価で用いられる火山灰濃度について、数値シミュレーションを用いた新知見により、従来の観測値に基づく値が大幅な過小評価であることが明らかになり、規制委は従来の百倍規模に引き上げる方針を決めました。  私たちは、電気事業者が現状では新しい濃度に対応できていないことを明らかにしており、非常用発電機のフィルタの目詰まりにより全電源喪失に至るおそれがあること、また、現状では、単一故障の仮定に基づく2系統の健全性維持という基準規則の要求を満たしていないことから、稼働中の原発を直ちに止めて対応するよう要求してきました。  規制委は規則改定案を示し、意見募集に入りましたが、対応に1年の猶予を置く方針でいること、不確かさの考慮から風向き等の気象条件を外している等の問題があり、批判意見を提出するよう呼び掛けています。また、火山灰濃度とセットで問題になる火山灰の層厚についても見直しを図るよう求めています。 (2)柏崎刈羽原発6・7号機の審査書  規制委は柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働を認める審査書案をとりまとめ、11月3日まで意見募集を行っています。  規制委は、特別に東京電力に「廃炉をやりぬく覚悟と実績を示すこと」を求め、審査の対象としましたが、結局決意表明を並べただけの東電の回答書を了承しただけでした。  緊急時対策所に予定していた免震重要棟について、東電は基準地震動に耐えられないとのデータを持ちながらこれを隠し、虚偽の説明をしていました。しかも、1〜4号機側の防潮堤で液状化が発生し、3号機付近にある免震重要棟は津波で水没するおそれがでてきました。緊急時対策所に関する設置許可基準規則は、「基準地震動に対し、免震機能等により、緊急時対策所の機能を喪失しないようにするとともに、基準津波の影響を受けないこと」を要求しています。  基準地震動にも基準津波にも耐える免震重要棟がない以上、許可はできないはずです。他にも多くの問題があり、広く一般に批判意見を寄せるよう呼び掛けています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 原子力規制を監視する市民の会は、原子力規制行政の監視活動を続けており、原子力規制委員会(以下、規制委)による新規制基準適合性審査、および運転延長審査に係る調査研究活動を行ってきました。 (1)原発の火山灰濃度規制  原発の火山影響評価で用いられる火山灰濃度について、数値シミュレーションを用いた新知見により、従来の観測値に基づく値が大幅な過小評価であることが明らかになり、規制委は、従来の百倍規模に引き上げる改定を行いました。しかし、対応に1年の猶予を与える方針でいること、不確かさの考慮から風向き等の気象条件を外していること等の問題があり、私たちは稼働中の原発を直ちに停めて検証すること、不確かさを十分考慮することなどを求めました。 (2)柏崎刈羽原発6・7号機の再稼働審査  柏崎刈羽原発6・7号機の審査において、規制委は、通常の審査とは別に、東京電力が柏崎刈羽原発を設置し、運転する資格、適格性を有することの確認を、技術的能力を確認するための審査の一環として行いました。これに対し東電は、決意表明を並べただけの回答書を提出しました。規制委はこれを審査対象としましたが、ほとんど議論することなく、了承してしまいました。しかし、東電は、福島第一原発の廃炉の実態に照らしても資格を有するとはいえません。  また、柏崎刈羽原発の審査の過程で、1〜4号機の防潮堤で、津波により液状化が発生することが明らかになりました。さらに、東電は影響が及ぶ免震重要棟の使用を取り下げ、5号機原子炉建屋内に免震構造ではない緊急時対策所を置くことに変更しましたが、事故時の指揮所が免震構造でなければならないことは福島第一原発事故の大きな教訓です。私たちは政府交渉、意見募集への応募の呼びかけなどを行いました。 (3)大飯原発の火山灰評価の過小評価  大飯原発などで火山灰評価に過小評価があることが専門家の指摘により明らかになりました。関西電力は京都の露頭を調査し、層厚の評価はできないと結論しましたが、私たちは、関電調査の分析、専門家の聞き取り、露頭調査に基づく批判文書の作成に協力しました。規制庁は関電の結果を覆し、京都の層厚を認定しました。政府交渉を行い、再稼働の手続きを止めて検討するよう求めています。 (4)規制委による火山ガイドの無効化問題  2018年3月7日の規制委定例会合で「火山ガイド」に関する規制庁作成の文書「基本的な考え方」が提示されました。その内容は、巨大噴火リスクを事実上無視してよいとするものでした。伊方原発の運転差止仮処分で広島高裁は、火山ガイドに素直に従えば立地不適だとして差し止めを認めましたが、規制委は、今後も広島高裁のような判決が出るおそれがあることから、自ら決めた火山ガイドをかなぐり捨てて、こうした文書を提示したのです。私たちはこの文書の問題点を、インターネット動画チャンネル「フクロウFoE Channel(FFTV)」などで明らかにしながら、規制委に対し、文書の撤回を求めています。

その他/備考


HOME助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い高木基金について
ENGLISHサイトマップお問い合わせ 個人情報の取り扱い