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米国政府・政界・学界等における原子力エネルギー政策の検証:連携の可能性を求めて



グループ名 新外交イニシアティブ 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 猿田 佐世 さん
URL http://www.nd-initiative.org/
助成金額 50万円

米連邦議会上院議員補佐官との面談

下院外交委員会議場でのブリーフィング

2017年9月の訪米で開催した、CSIS(戦略国際問題研究所)でのシンポジウム「Nuclear Balancing Act in Japan After 2018」の様子。登壇者はトマス・カントリーマン氏(元国務次官代理)、ジョン・ウルフソル氏(元国家 安全保障会議上級部長)、シャロン・スクワソーニ氏(CSIS 核不拡散プログラム・ディレクター)、阿達雅志氏(参議院議員:自民党)、逢坂誠二氏(衆議院議員:立憲民主党)、太田昌克氏(共同通信社編集委員)

研究の概要

2016年12月の助成申込書から
 日本の原子力政策に多大な影響を及ぼす米国の対日原子力政策や米国国内の原子力・再処理の現状について調査し、原子力エネルギーをめぐる日米外交のパイプを拡大すべく、両国で働きかけを行う。  米国の対日原子力政策について、日本では米原発推進派の声ばかりが報道される。例えば、福島原発事故発生後、2012 年には民主党政権(当時)が「2030年代に原発ゼロ」を目指す閣議決定を行おうとしたが、「米国」が反対して見送られたと報道された。半面、「再処理を続けつつ原発を止めれば、日本のプルトニウム保有量が増加する」ことに米国が懸念を示したという事実はさほど報道されなかった。  米国にも原発に慎重な議員や専門家、市民団体が存在し、日本の使用済み核燃料の再処理については大統領補佐官を含む多くの政府関係者・研究者等が懸念を示してきた。  本研究では、日米の原発・再処理慎重派に情報と討論の場を提供し、脱原発・脱再処理に向けた新たな方向性を示すことを目指す。また、メディアの恣意的な情報選択という問題点についても指摘・分析し、情報の流通を是正する。  2017年度は、追加調査を進めるとともに、2016年10月に出版したブックレットを軸に、米国の原発産業が斜陽産業であること、再処理について米国の各所から日本に懸念が示されていること、日本メディアの報道する一面的な米国の対日圧力について等、シンポジウム等での発信を通じて日米両国での問題提起を行う。2018 年の日米原子力協定の満期を良いタイミングと位置付け発信を強化する。

中間報告

2017年10月の中間報告から
 日本の原子力政策に多大な影響を及ぼす米国の対日原子力政策や米国国内の原子力・再処理の現状について調査し、原子力エネルギーをめぐる日米外交のパイプを拡大すべく、両国で働きかけを行っています。この研究では、日米の原発慎重派へ情報と討論の場を提供し、脱原発・脱再処理に向けた新たな影響力を作り出すことを目指すとともに、メディアの恣意的な情報選択という問題点についても指摘・分析し、情報の流通を是正するよう働きかけています。  2017年の具体的な活動としては、昨年10月に発売したブックレット「アメリカは日本の原子力政策をどう見ているか」(岩波ブックレット)でも紹介した調査・研究内容を国内で広めるとともに、2018 年7月に期限が到来する日米原子力協定改定問題について、9月に、以下の通り訪米ロビーイングを行いました。 【訪米目的】 日米原子力協定が満期を迎えることを睨み、日本のプルトニウム政策( 使途のないプルトニウムが47トン蓄積されているにもかかわらず、来年を目処に六ヶ所村再処理工場を再稼働予定)について米国に伝え、日本のプルトニウム問題について、米国での議論を喚起する。 【訪米団構成】 NDから猿田佐世、久保木太一、原子力資料情報室から松久保肇氏、ケイト・ストロネル氏、超党派の国会議員や三上元氏(元湖西市長)、山田清彦氏(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長)、アイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション)等 【訪米結果】 <議会ロビーイング> 民主党・共和党双方に属する、上院・下院議員本人計4名、議員補佐官計23名と面談。日本のプルトニウム問題について伝えるとともに、公聴会の開催などを要請。反応は概ね良好。 <米国国防省との面談> オフレコなので詳細は明らかにできないが、良い議論ができた。 <シンポジウム> 有力シンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)との公開シンポジウム、下院外交委員会議場でのランチブリーフィングを行った。日本のプルトニウム問題をテーマに、前者ではオバマ政権下で国務次官代理を務めたトーマス・カントリーマン氏、同じくオバマ政権下で政策顧問を務めたジョン・ウォルフスタール氏に、後者では核兵器の製造に関わった経験のあるブルース・グッドウィン氏、ヘンリー・ソコルスキー氏等が登壇。訪米団からも国会議員らが登壇した。 <シンクタンクとのミーティング> ブルッキングス研究所、マンスフィールド財団、アームズ・コントロール・アソシエーション、ヘリテージ財団といった保守系革新系様々なシンクタンクと意見交換を行った。 <学者等との懇談> 元米国国務省高官のマーク・フィッツパトリックス氏、アンドリュー・オロス教授、フランク・フォンヒッペル名誉教授、アラン・クーパーマン准教授、マイク・モチヅキ教授、ヘンリー・ソコルスキー氏等との会合・面談を行った。 <記者会見> 最終日に、記者会見を行い、現地の日本人記者から取材を受けた。 【報道】 今回の訪米活動については、朝日新聞、東京新聞、産経新聞(共同通信)、北海道新聞、中日新聞、米国業界紙のPlattsなどのメディアでとりあげられた。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 日本は国際社会から、使用済み核燃料の再処理を認められている数少ない国の一つですが、日本政府が六ヶ所再処理工場の稼働を急ぐ一方で、米国をはじめとした諸外国では、核不拡散の観点から、日本のプルトニウム保有、ひいてはそれを許す日米原子力協定の在り方を危惧する声も挙がっています。  本調査研究では、日本の原発・再処理政策や、日米原子力協定、日本のプルトニウム蓄積について、米国の政府関係者、関連機関や専門家の見解について調査を行いました。また、それに深く関係する、米国の日本以外の国との原子力平和利用協定(通称123協定)の締結・米国内の議論状況や、これらの協定(たとえば米韓原子力協定)についての各議員個人の見解・投票実態等について、米国内の文献や、米議会議事録、国内外の専門家及び政府関係者へのインタビュー等を通じて情報を収集・分析しました。  2017年7月、9月、2018年2月に訪米調査を行い、米国議員をはじめとした関係者から聴取を行いました。また国内においても専門家へのインタビューや文献調査を行いました。本調査研究により、プルトニウム問題に対する日本政府の姿勢、米国と日本以外の国との原子力協定の交渉状況等が明らかになりました。  本調査研究に基づき、2017年10月12日には市民向け、同12月5日には国会議員向けに訪米報告会を行いました。さらに、訪米活動の中で新たに得た興味関心を元に、さらなる調査研究を行い、2018年3月27日には横浜でシンポジウムを開催しました。2018年5月以降はマンスリーレポートとして学術的な発表を行っています。

その他/備考


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