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北海道の原発と地層処分問題の科学的検討



グループ名 行動する市民科学者の会・北海道 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 斉藤 海三郎 さん
URL
助成金額 45万円

行動する市民科学者の会・北海道(略称HACASE)の調査と北電の主張との違い。「泊原発 再稼働してはいけない 8 つの理由」より

研究の概要

2016年12月の助成申込書から

1.これまでの調査から、泊原発敷地内で、F-1断層によって変位している「岩内層」という地層が、北海道電力が主張するような120万年前の古い地層ではなく、わずか33万年前の地層であることが確実になりました。また、同じ時期の地層が、泊原発周辺の岩内平野にも広く分布することが明らかになっただけでなく、同じ「岩内層」とされていたもののなかには、12.5万年前の地層や、22万年前の地層も含まれることが明らかになりました。そこで、今年度は、それぞれの地層が、どのような環境で堆積したかを、地層の構造の分析から明らかにすることで、この地域の全体的な地形発達史を解明し、それによって、原発の安全性にとってもっとも重要な更新世後期以降の地殻変動が、北海道電力の主張するような小さなものではないことを実証したいと思います。

2.高レベル核廃棄物の地層処分については、政府が、「科学的有望地、適地」を自ら提示し、そこでの処分を推進させたいと方針転換し、すでにそうした方向で、各地域でも説明会が開かれています。しかし、海外での地層処分の候補地や、あるいは海外で不適地とされた地域との比較はほとんど行われていないのが現状です。本研究では、それらの地球科学的な比較を行って、活発な変動帯にある日本列島での地層処分の困難性を明らかにしたいと思います。

中間報告

2017年10月の中間報告から
 北海道電力は泊原発敷地内にあるF-1断層によって変位している地層を「岩内層」と呼び、120万年前のひとつの地層と主張してきましたが、私たちの2016年度の調査で、そこには大きな間違いがあることを明らかにし、それらの結果を原子力規制庁に説明しました。原子力規制委員会は北電が提出したデータをもとに、積丹半島の地震性隆起は否定できないこと、また「岩内層」の年代評価には再検討が必要であることを指摘したため、従来の審査内容に大転換が起こりました。  2017年度の私たちの調査は、12.5万年前、22万年前および33万年前の地層から成る「岩内層」について、地質の構造を調べ、それぞれがどのような環境で堆積したかを明らかにすることが目標です。これにより原発の安全性にとって、もっとも重要な更新世後期以降の地殻変動が、この地域で小さなものではないことを実証できると考えています。また、高レベル核廃棄物の地層処分について、「科学的特性マップ」を批判的に検討し、世界の処分地・処分候補地の地球科学的な比較を行って、活発な変動帯にある日本列島での地層処分が困難であることを明らかにすることを目指しています。  早い時期から精力的に現地調査を実施し、地層構造の分析結果を確認しつつ、疑問点の解明に取り組んでいます。今年度中に、日本活断層学会に論文を投稿できる見通しがつきました。  また、昨年度の助成金でつくったパンフレット「泊原発 再稼働してはいけない 8つの理由」を活用した、勉強会・講演会を道内各所で行うとともに、一般向けに泊原発周辺の巡検を実施しています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 泊原発の新規制基準適合性審査の会合をウオッチすることにより、北海道電力のデータ分析などが杜撰でかつ独断的な解釈に基づくため、混乱と誤りがあること、同時にそれを審査する規制委員会自身の判断や評価能力などにも問題があることが分かりました。  私たちは、岩内平野周辺の地形・地質に関する現地野外調査を繰り返し行い、北電の主張の決定的な間違いを科学的に解明しました。調査結果を学会で発表し、規制庁に報告し、審査会合における厳格かつ科学的な検討や審査結果の見直しなどを申し入れました。  その後、規制委員会の審査は少しずつ変化し、2017年3月10日の審査会合では大きな転換が見られました。規制委員会は北電に対し、「岩内層」について、年代推定を含め、見直しをすること、積丹半島の地震性隆起の可能性を検討すること、埋め立て地の液状化による影響を検討することなどを求めました。  2017年12月の審査会合では、北電が地層の年代推定データの補強のため、敷地内の7 カ所を掘削したものの、原発建設時に年代推定に用いた火山灰層は見つからず、年代推定の確認ができないことを発表したため、立地条件そのものが根本から問われる重大な局面に突入しました。

その他/備考


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