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福島第一原発周辺地域の空間および土壌の放射線測定



グループ名 ふくいち周辺環境放射線モニタリング・プロジェクト 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 満田 正 さん
URL http://www.f1-monitoring-project.jp/
助成金額 50万円

2018年6月葛尾村(上)、8月大熊町(下)での測定の様子。測定場所では必ず日時・GPS情報・線量(簡易型GM管測定器の値)が焼き込まれた写真を撮っている

放射性物質は移動する・・・私たちの推測

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 2011年の福島第一原発爆発事故で、放射性物質に汚染された福島県南相馬市鹿島区・原町区の山側8行政区(特定避難勧奨地点のあった地域)を中心に、2012年10月より積雪の可能性のある2月を除き毎月1回(約1週間)、これまで45回にわたる放射線測定を行っています。2015年からは飯舘村、伊達市、川内村、浪江町、富岡町等に測定エリアを広げています。  測定は、地図をメッシュに切りメッシュ内1点を、以下の4項目の測定方法により放射性物質の汚染状況を記録しています。 (1)日立製の空間線量測定器(アロカTCS172B/1172)による地上1m/50cm/1cm高の空間線量率(μSv/h)測定 (2)日立製の表面汚染測定器(アロカTGS146B/1146)による地表1cmの表面汚染計数率(cpm)測定 (3)上記測定時にスマートフォンと無線で繋いだ簡易型放射線測定器(ギョロガイガー)を使い位置情報・時刻情報・空間線量率を焼き込んだ写真撮影 (4)土壌を採取し放射性セシウムの定量分析(土壌分析にはキャンベラ社製放射能食品分析器を使用)  その他、2015年4月提訴の「南相馬・20ミリ基準撤回!」訴訟弁護団と原告団に測定データを提供し、原告団勉強会に参加しています。  なお、私たちの活動は、60歳以上のシニアを中心として、全てをボランティアとして行っているものです。

中間報告

2018年10月の中間報告から
 私たちは福島第一原発周辺の「浜通り」を中心に、空間線量率(ガンマ線・μSv/h)と表面汚染計数率(主にベータ線・cpm)、および土壌分析にはNaIシンチレーション検出器を用いた土壌汚染密度(ガンマ線・Bq/m2)の測定・分析をしています。汚染状況を出来るだけ「面」的に記録するために、メッシュ法を採用し、地図に375m×250m又は250m × 250m のブロックを設定し、なるべく中心に近い立ち入り可能な場所を測定ポイントに設定しています。また、測定にあたっては、水が集積し、ホットスポットを形成している場所や、除染され客土されている場所、また小石や根の多い場所等は避けることなどを原則とし、環境省の推奨する測定器(日立アロカ)を使用し、同省が定める測定マニュアルに厳密に沿って測定をしています。  これらのデータは「南相馬・避難20 ミリシーベルト基準撤回訴訟」や「福島原発かながわ訴訟」「福島原発ちば訴訟」「福島原発さいたま訴訟」などに、原告側資料として裁判所に提出されています。また、測定結果は可視化し、Webサイトで公開するとともに、大判プリントを作成して市町村の担当者や広域消防本部に届け、住民の追加被ばく防止に役立てるようお願いしています。  2018年3月から6月まで、双葉郡葛尾村(村の北東部の帰還困難区域を除き2016年6月に避難指示解除) のモニタリングを行いました。測定した363ポイントでの土壌汚染密度の平均は、チェルノブイリ法が定める「避難の権利」基準の185,000Bq/m2を大きく超える241,000Bq/m2でした。また1m高空間線量率は平均で、0.45μSv/h であり、これも環境省の示す年間被ばく量1mSvの目安0.23μSv/hのほぼ2倍でした。  7月と8月は、南相馬市原町区馬場行政区の通算4巡目の測定や、双葉郡大熊町西側の避難指示解除準備区域の測定を実施、それぞれ可視化図を作成済みです。馬場行政区では90ポイントを測定し、土壌汚染密度の平均は246,000Bq/m2、1m高空間線量率の平均は0.38μSv/hでした。葛尾村と同じ程度の汚染状況ですが、馬場行政区では数十軒のお宅が特定避難勧奨地点に指定されたのみで、避難指示は出されませんでした。特定避難勧奨地点の指定も2014年12月に指定取り消しとなっています。その指定取り消しは違法だとして住民が「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟」を起こしています。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 東京電力福島第一原発の事故後、2012年10月以降、継続して第一原発周辺市町村の放射線量を測定・記録しています。これらのデータは、その都度可視化し、図にまとめ、WebサイトならびにFacebookページで公開するとともに、当該市町村役場や管轄する消防本部にお届けし、希望者には無償でデータ提供もしています。また、被災者の権利と尊厳を守るための訴訟資料としても提供しています。  2018年度は、3月〜6月に葛尾村(大部分の地域で2016年6月に避難指示解除)で、10月〜12月に川俣町山木屋地区(2017年3月31日避難指示解除)で、それぞれ測定と土壌採取・分析を実施しました。2017 年に測定と分析を実施した浪江町・富岡町と比べると汚染の程度は低いものの、汚染状況の厳しさを痛感しました。この2つの自治体では、チェルノブイリ法の移住の権利発生の基準、185,000Bq/m2を大きく超えていました。  また、南相馬市の山側8 行政区の通算4 巡目測定を行いました。2019 年3 月に原町区の一番北に位置する大原行政区を終えることが出来ました。残る鹿島区の2行政区は、2019年秋頃までに完了する計画です。これまで4回測定した結果を可視化図で比較すると、空間線量率については下がってきているのが見て取れますが、土壌汚染密度に関しては2016年に測定したものと2017年12月?2019年3月の通算4巡目を比べると、あまり下がっていません。特に樹木の多い場所でその傾向が顕著で、事故直後、樹木の葉に付着した放射性物質が落葉し(針葉樹も2〜3年で落葉する)、1m高の空間線量率が低くなる一方、放射性物質の付着した落葉が腐葉土となり土壌汚染密度の低減を押しとどめているのではないか、と推測しています。

その他/備考


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