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電磁波曝露のリスクに焦点をあてた5Gシステムの技術影響評価



グループ名 環境電磁界研究会(NPO法人市民科学研究室) 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 網代 太郎 さん
URL https://www.goojii.info
助成金額 50万円

開設したホームページ「5G リスク情報室」で情報発信をしている

本研究の市民向け成果発表である市民科学研究室主催「学習会 5G(第5世代移動体通信)で飛躍的に増大する電磁波曝露―そのリスクを検討し対策を議論する」の様子(2019年1月26日、撮影者:網代太郎)

本研究の一環として傍聴した総務省主催「第5世代移動通信システムの利用に係る公開ヒアリング」の様子(2018年10月3日、撮影者:網代太郎)

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 スマートフォンの爆発的普及にみるように電波の利用は拡大の一途をたどっている。次なる拡大戦略の中核は「第5世代(5G)移動通信システム」である。スマートフォンのみならず、監視カメラ、遠隔操作、ヴァーチャル・リアリティ、自動運転などに応用が広がり、「超高速化」「多数同時接続」「超低遅延」でデータ通信を行う5Gは、日常生活での高周波曝露を飛躍的に増大させることは確実である。だが、5Gの推進を検討する任を負う総務省「新世代モバイル通信システム委員会」において、5Gによる曝露のリスクはほとんど考慮されていない。本研究では、曝露状況の適切なモデル化と実測、そして文献調査を組み合わせて、5Gの導入に伴うトータルな曝露量を推計し、その健康面でのリスクを推定する。

中間報告

2018年10月の中間報告から
 スマートフォンの爆発的普及にみられるように電波の利用は拡大の一途をたどっています。次なる拡大戦略の中核は「第5世代(5G)移動通信システム」とされています。スマートフォンのみならず、監視カメラ、遠隔操作、ヴァーチャル・リアリティ、自動運転などに応用が広がり、「超高速化」「多数同時接続」「超低遅延」でデータ通信を行う5Gは、一方で、日常生活での高周波曝露を飛躍的に増大させることは確実です。しかし、5Gの推進を検討する任を負う総務省「新世代モバイル通信システム委員会」においては、5G による高周波曝露のリスクはほとんど考慮されていません。本研究では、曝露状況の適切なモデル化と実測、そして文献調査を組み合わせて、5Gの導入に伴うトータルな曝露量を推計し、その健康面でのリスクを推定します。

(1)5Gそのものについての概説のとりまとめ
 総務省の「新世代モバイル通信システム委員会」の配布資料は一般向けではないので、IEEE(米国電気電子学会)のサイトの解説情報(動画+本文)を手がかりに、専門的概説書なども参照しながら、登場が見込まれている主たる5Gの新技術やシステムについて、一般の人々が要点を知り得るように、とりまとめているところです。
(2)5Gの技術が導入された場合の曝露状況に関する情報収集
 どのような新技術・システムの開発が見込まれているかは、曝露リスクを推定するには不可欠な情報ですが、総務省ならびに開発企業側が現時点で提示している新技術・システムは、「未来図」の域を出るものが少なくありません。そこで、NTT docomoなど実証実験に参加している企業を含め、5G 開発にあたる世界の主要な研究者が集う、上記IEEEなどの国際シンポジウムのプレゼン資料や企業コンソーシアムのサイトなどに集約されている「開発ニュース」などを手がかりにして、新技術やシステムがどのように設置・稼働され(場所や設置密度、稼働時間、出力、周波数、伝播状況など)、利用者の置かれた状況(屋内、屋外移動中、屋外施設内など)に応じて、利用者ならびに周辺の人々にいかなる曝露を生じるかを推定しようとしています。
(3)5G導入がもたらす健康リスクに関する情報収集
 上に述べた事情から、健康面への憂慮から5G導入へ疑義を呈する自治体、民間団体や専門家らも、定量的にリスクを推定するまでには至っていません。しかし、それらから発信される情報のなかには、有用な論点を見いだすことはでき、(2)がある程度すすめば利用できるものもあるので、それらを抽出し整理しています。また、5Gは従来の規制法規ではカバーできていない周波数を用いるために、規制の適用範囲を拡張する改定が世界的課題となっていますが、総務省が現在進めている電波防護指針の改定もまさにそれにあたります。そこで私達は関連する委員会を傍聴し、改定の報告書案に対してパブコメを提出しました(8月23日)。それに対する回答により、報告書案では、6GHz超の周波数の電波は体の表層部にしか浸透せず、皮膚の温度上昇を5℃以内に収めることで安全が保てるとしていることが明確になりました。今後この点についても引き続き検討を加えていきます。


総務省移動通信課 杉野勲「IoT 時代に向けた移動通信政策の動向」(2016年11月21日)より。
通信速度が速くなれば速くなるほど、高周波暴露のリスクも高まることが懸念される。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 2020年に本格導入が見込まれている5G(第5世代移動通信)システムは「超高速化」「多数同時接続」「超低遅延」でデータ通信を行い、産業や生活のあらゆる面での利便性を飛躍的に向上させる、と言われています。しかし、今までにない高い周波数を用いての高密度の電波利用が、人体の曝露をはじめどのようなリスクをもたらすのかは、5Gの推進を検討している総務省の種々の委員会などにおいても、きわめて不十分にしか議論されていません。
 そこで私たちは、5Gに関連する総務省委員会の傍聴と資料の読み解き、関連する文献の精査や専門家への質問などを行って、総務省の答申などに示された規制案を批判的に検討しました。また、5G推進体制とその実証試験に関する情報を可能な限り収集し、5G技術を用いた場合に生じるであろう周辺エリアでの電波の強さ(電力密度)や曝露量が計算できそうな場合は計算して、独自に5G電波のリスクを推定しました。そしてこうした情報や見解をとりまとめて、ホームページ「5Gリスク情報室」を新しく開設し、そこに集約しました。
 5Gの電波にヒトが曝露した場合、その電波は体表面の皮膚の比較的浅いところまでしか浸透しないので、人体に吸収される電波のエネルギーは、その狭い範囲に集中して吸収されることになると考えられています。そのため、総務省への答申では5Gの安全指針は「熱作用への規制の部分改訂で問題なし」としていますが、皮膚での浅深度吸収の影響評価に疑問を呈する論文があることや、5Gで新たに導入されるシステムなどにより、従来とは異なった曝露のパターンが生じるだろうことなどは十分に考慮されていません。また、5Gスモールセル・マクロセル基地局からの送信電波の強さを計算してみると、かなり高い曝露水準になることが想定でき(大まかに見て、基地局周辺エリアの電力密度は二桁から三桁ほど増大)、電磁波過敏症(環境不耐症)の症状の悪化や過敏症患者の増加が懸念されることがわかりました。
 今後は、ホームページでの各種の情報の発信をはかりつつ、(1)自治体の5G参画事業についての情報開示請求、(2)測定態勢の整備、(3)電磁波曝露状況の把握、の3点の実現に向けて、5Gリスクの問題に関心を持つ市民をネットワーク化し、さらなる活動を展開したいと思います。

その他/備考


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