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台湾における核エネルギー利用の後始末~市民運動のイニシアチブに着目して~



グループ名 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 鈴木 真奈美 さん
URL
助成金額 40万円

台湾電力による無人島での核廃棄物集中貯蔵施設の案。最終貯蔵施設は、無人島ないし準無人島に設置することを検討するとしている。しかし、可能性のある島嶼の所管自治体は拒否を表明。市民運動も核廃棄物から人々の目をそらし、社会的議論を遠ざける方向に作用することを危惧している

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 台湾は2017年、原子力発電の終了を法制化した。稼働中の原発6基は、2018年末から順次運転を終了し、2025年までに全基が廃止措置に入る予定である。それに伴い、これまで先送りにされてきた核廃棄物問題への取り組みが、行政にとっても、脱原発を追求してきた運動にとっても、喫緊の課題となっている。 
 本研究の目的は、原発廃止を選択した台湾が「核の負の遺産」(Nuclear Legacy)にどう向き合い、社会的にどう対処しようとしているのかを、各方面の関係者への聴取、現地(原発立地地元、蘭嶼島)調査、文献調査、参与観察を組み合わせ、実証的に明らかにすることにある。
 台湾の市民運動は政府に原子力政策転換を促す過程で、環境正義、手続き的公正、地方分権などに注力してきた。こうした背景の下に、市民運動は今日、「核廃棄物問題への最終的な答えに近づくため」(NGO幹部)、熟議デモクラシーの考え方に基づく討論会を開催したり、政策提言したりしている。これは「市民科学」が立脚する「最終的な政策決定者は市民である」ことを実践するものである。本研究は核エネルギー利用の後始末に向けた台湾の取り組みを、市民運動のイニシアチブに着目して考察し、その成果を論文や著書などを通じて国内外の人々と共有していく。原発廃止を定め、その上で核廃棄物問題に取り組む台湾の事例を検討することは、この問題をめぐる日本での議論に有用な示唆を提供するだろう。

中間報告

2018年10月の中間報告から
 本研究の目的は、原発廃止を選択した台湾が「核の負の遺産」(Nuclear Legacy) にどう向き合い、社会的にどう対処しようとしているのかを、各方面の関係者への聴取、現地(原発立地地元、蘭嶼島)調査、文献調査、参与観察を組み合わせ、実証的に明らかにすることです。
 2018年1月に、「2025 年原発廃止」を法制化した台湾では、エネルギー転換と「核の後始末」が喫緊の課題となっています。蔡英文政権は「非核家園」(原発のない郷土)を達成するため、再生可能エネルギーの拡大、廃炉措置、核廃棄物処分計画などに取り組んでいます。しかし、いずれも短期間で具体的な成果を示すのは容易ではありません。
 そうした中、反・脱原発キャンペーンが活発化しています。特に2018年3月、蔡政権が石炭火力発電所の新設を容認したことを受け、原発廃止は「電力不足を招く」だけでなく「大気汚染を悪化させる」として、原発支持派はこの9月、原発廃止条項の削除(すなわち原発継続)の是非を問う国民投票の実施を政府に請求しました。同請求は審査を通過し、11月24日に投票が行われることになりました。
 福島原発事故以降、台湾の世論は「非核家園」支持が6?7割で安定的に推移してきましたが、最新の世論調査によると、不支持が5割に増えました。その背景には石炭火力発電所の建設問題があります。
 こうした脱原発政策をめぐる状況の変化に注意しつつ、核エネルギー利用の後始末に向けた台湾の取り組みについて、市民運動のイニシアチブに重点を置いて、資料収集・分析を進めています。

既設原発6 基は、2018年末から順次運転を終了し、2025 年までに全基が廃止措置に入る予定

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 台湾は2017年、原子力発電所の運転を2025年までに終了することを法で定めました。本研究の目的は、原発廃止を選択した台湾が、核エネルギー利用の後始末にどう対処しようしているのかを、市民運動のイニシアチブに重点を置いて明らかにすることにあります。
 調査者は2018年3月から翌年5月にかけて3回訪台し、核廃棄物管理・処分の現状を調査するとともに、核廃棄物問題に対する見解について、NGOや原子力施設立地地元住民をはじめ、研究者、関係省庁などから聴取しました。これまで行政と台湾電力が核廃棄物貯蔵施設の設置場所や最終処分場の候補地として選定してきたのは、人口が少なく電力消費量が小さい地域(それらは往々にして先住民族が暮らす地域)でした。市民運動は、核エネルギー利用に起因するリスクの公正分配と環境正義の見地から、最終処分場の選定にあたっては、科学的根拠のほかに電力消費量も考慮するよう提起するなどしています。
 本調査の過程で、原発維持派が提起した「2025年脱原発条項の削除」が2018年11月の国民投票で可決され、原発廃止の達成期限が取り払われました。しかし政府は、核廃棄物の「行き場がない」ことなどを理由に、脱原発の方針を堅持しています。それを不服として、原発維持派は「原発建設の再開」と「既設原発運転延長」を問う国民投票運動を立ち上げました。争点は核廃棄物問題への認識となると見られます。引き続き今後の展開を注視していきたいと思います。

その他/備考


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