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コンゴにおける資源採掘と人権侵害の実態調査



グループ名 コンゴの性暴力と紛争を考える会 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 華井 和代 さん
URL http://congomm2016.wixsite.com/asvcc
助成金額 60万円

ブリュッセルにて「コンゴの安全保障と経済発展」国際会議を開催。研究発表「華井和代:The expansion of the regulations from conflict minerals to cobalt」「米川正子:Insécurité des réfugiés rwandais et ses effets sur le développement durable en RDC」(2019年9月29日)

ムクウェゲ医師のノーベル平和賞受賞に関する記者会見(2019年10月6日)

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 本研究の目的は、世界有数の資源産出国であるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)において、資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、世界有数の資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行うことにある。  コンゴ東部で採掘される鉱物(スズ、タングステン、タンタル、金)が武装勢力や軍の資金源として利用されていること、そして鉱山周辺の村では組織的な性暴力を含む深刻な人権侵害行為が行われていることは、2000年代から国際社会に訴えられてきた。そのため、2010年にはOECDとアメリカで「紛争鉱物取引規制」が制定され、企業に対し、自社のサプライチェーンに紛争鉱物が紛れ込まないよう「紛争鉱物調達調査」を実施することを求めた。しかしながら、詳細な制度設計を行わないままに導入された本規制は、むしろ鉱物採掘からの収入を得られなくなった武装勢力が住民に対する略奪行為を悪化させたり、密輸が横行して規制が機能しない金鉱山周辺で武装勢力と軍の衝突が増加する状況を招いた。他方で、調査を実施している企業は、コストと努力にもかかわらず状況が悪化していることに不満を募らせ、規制の撤廃を求め始めている。  なぜ、製品の生産者・消費者としての責任を全うするために制定された規制が紛争解決に結びついていないのか。現状を打開する方策として、どのような次の政策を実施するべきなのか。  本研究では、紛争鉱物取引規制がコンゴ東部の紛争状況におよぼした影響を、国際機関および現地のメディア、NGO、援助機関が発信する情報と統計資料、周辺国に逃れた難民への聞き取り調査から明らかにする。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論する

中間報告

2018年10月の中間報告から
 本研究の目的は、世界有数の資源産出国であるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)において資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、世界有数の資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行うことにあります。  活動としては、2010 年にアメリカで制定された紛争鉱物取引規制がコンゴ東部の紛争状況におよぼした影響を、国際機関および現地のメディア、NGO、援助機関が発信する情報と統計資料、周辺国に逃れた難民への聞き取り調査から明らかにします。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論します。  2018年4月から8月の間には、以下の活動を行いました。 (1)世界銀行職員ノエル・ツィアニ氏を招いての公開セミナーの開催  コンゴ出身の経済学者として世界銀行で活躍するツィアニ氏を日本に招聘し、コンゴですでに行われている援助政策と、今後さらに必要な援助の展望についてお話しいただきました。あわせて、コンゴでの住民支援活動を行っているNGO テラ・ルネッサンスの理事鬼丸昌也氏に活動を紹介いただきました。その上で、世界有数の資源消費国であり援助国でもある日本の役割を、セミナー参加者と一緒に議論しました。セミナーには、研究機関、援助機関、政府機関、企業、メディア、一般市民から計86名が参加し、活発な情報共有と意見交換を行いました。 (2)現地調査に向けた準備 コンゴ東部と隣国ルワンダにおいて資源取引に関わる担当者に紛争鉱物調達調査の現状を聞くため、ルワンダでの聞き取り調査を行いました(コンゴ東部ではエボラ出血熱が発生しているため、入国がかないません)。6月から8月にかけて、インタビュー対象の選定と準備会合を行いました。その後、9月24日から27日に華井がルワンダを訪問し、調査を行いました。 コンゴの暴力発生状況

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 本研究は、世界有数の資源産出国であるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)において、資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、世界有数の資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行うものです。  2018年度は、鉱物が紛争の資金源になることを防止する目的だった紛争鉱物取引規制がコンゴ東部の紛争状況におよぼした影響を、国連・国際機関や現地のメディア、NGO等が発信する情報と統計資料、ルワンダでの資源取引規制に関わる機関や性暴力被害者への聞き取り調査から明らかにしました。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論する機会を設けました。  5月にはコンゴ出身の世界銀行職員を招いてセミナーを開催し、コンゴへの援助について議論しました。9月にはベルギーで「コンゴの安全保障と経済発展」を主題とする国際会議を開催し、コンゴ研究者・実務家と情報共有を行いました。さらに、研究協力者であるコンゴ人婦人科医のデニ・ムクウェゲ医師がノーベル平和賞を受賞して以降は、医師の活動を描いた映画『女を修理する男』の上映会や、コンゴの紛争と性暴力に関する講演会、テレビ番組において計16回の講演を行った他、新聞や雑誌などでの取材を通じて本問題を解説する機会を得ました。  これまでの調査結果によって、鉱物の採掘・輸送を管理する資源ガバナンスおよび、性暴力の加害者を正当に裁く現地のガバナンスに問題がある限り、紛争鉱物取引規制という経済的手段によって紛争経済を転換することは不可能であるという結論に達しました。2016 年末以降、コンゴ政府による統治は東部の紛争地域にますます及ばなくなり、医療、教育、司法などの公共サービスが住民に届かなくなっています。こうした現状を踏まえて2019年度は、現地のガバナンスに注目した調査研究を実施しています。  なお、2019年10月には、ムクウェゲ医師を日本に招聘して東京・広島・京都で講演会を開催し、日本国内の専門家と議論する機会を設ける予定です。ムクウェゲ医師来日の詳細については、WEBサイト(https://congomm2016.wixsite.com/asvcc)で紹介しています。 NGO の報告によれば、紛争鉱物取引規制が導入されたことなどから、コンゴ東部の主要鉱山であるスズ・タンタル・タングステン(3T)鉱山の8割、金鉱山の4割は紛争フリーとなっている 一方で、暴力事件の発生件数を見ると、武装勢力が小規模化しながら増加していることから、2016年半ばまで減少傾向にあった市民への暴力や性暴力は2016年末から再び増加し、暴力の発生地域も拡大している

その他/備考


・米川正子「性的テロを告発したノーベル受賞医師の凄み」(東洋経済オンライン)  https://toyokeizai.net/articles/-/242000 ・華井和代「コンゴの性暴力を止める責任は日本にもある」(東洋経済オンライン)  https://toyokeizai.net/articles/-/243038 ・米川正子「性暴力の大罪を犯す腐敗国家が滅びない真因」(東洋経済オンライン)  https://toyokeizai.net/articles/-/256711 ・米川正子 「戦争と平和のリアル第29回残虐を極めるコンゴの性暴力被害」(imidas)  https://imidas.jp/sensoutoheiwa/?article_id=l-73-030-18-12-g755

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