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満期を迎える日米原子力協定に関して、米国ステークホルダーの動向を探る



グループ名 新外交イニシアティブ 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 猿田 佐世 さん
URL http://www.nd-initiative.org/
助成金額 40万円

米連邦議会にて、エド・マーキー上院議員の補佐官(中央)らと日本からの訪米団(2018 年6月)

院内集会「迫る日米原子力協定満期?課題と展望?」(原子力資料情報室と共催)の様子(2018年7月12日)

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 日米原子力協定に関わる事項について、米国側の各関係者・関係機関の過去および現在の動向について調査研究を行なう。  日本は日米原子力協定に基づき、使用済み核燃料の再処理を認められている数少ない国の一つであるが、日本政府が六ヶ所再処理工場の稼働を急ぐ一方で、米国をはじめとした諸外国では、核不拡散の観点から、日本のプルトニウム保有、ひいてはそれを許す日米原子力協定の在り方を危惧する声も挙がっている。  本調査研究では、同協定を軸に据えながら、同協定や日本のプルトニウム蓄積に対する政府関係者、関連機関や専門家の見解、米国が日本以外の国と締結している二国間原子力平和利用協定(通称123協定)の締結・米国内の議論状況や、これらの協定についての(たとえば米韓原子力協定)各議員個人の見解・投票実態等について、米国内の文献や、米議会議事録、国内外の専門家及び政府関係者へのインタビュー等を通じて情報を収集・分析する。  短期的には、2018年に満期を迎え、同年1月以降、日米双方から異議が唱えられるようになる同協定について、米議会関係者への働きかけや、日本国内での政策形成を試みる日本の各団体や関係者への情報提供を目的とした調査を行う。  長期的には,協定を巡る議論や使用済み核燃料の問題点を明るみに出すことによって、国内外における脱原発・脱再処理派の連携を促すことができるような情報提供に資する調査を行う。団体は、米国へのロビーイング等の手段を通じて日米原子力協定に関しての政策形成を行うことを目指す活動を行っており、本調査研究はその活動にも生かされる。それにとどまらず、本調査研究は,日本における使用済み核燃料・再処理の問題を白日の下に晒すものであり、脱原発・脱再処理の運動に資することになる。

中間報告

2018年10月の中間報告から
●調査研究の概要  この研究は、日米原子力協定に関して、米国側の各関係者・関係機関の過去および現在の方向性・動向について調査研究を行なうものです。  日本の再処理・プルトニウム政策の歴史的変遷や、現在の政策へ影響を与えている米国の関係者について、各関係者はどのような立場をとりどう動いてきたか、米国が実際の政策にどのように影響してきたか、といった点について、訪米調査、日本におけるインタビュー、文献調査などに基づいて研究します。 ●訪米調査  6月24日から27 日にかけて、当団体代表の猿田佐世が、立憲民主党の議員や原子力資料情報室のメンバーとともに訪米し、現地調査を行いました。特に本調査では米国議会関係者の見解を知るとともに、当時米国議会内で焦点となっていたサウジアラビアとの二国間原子力協定についての動向、またその文脈において日本が米国に再処理を認められていることが持つ問題性などを確認しました。 ●シンポジウム  7月12日に、シンポジウム「迫る日米原子力協定満期?課題と展望?」(原子力資料情報室との共催)を衆議院議員会館にて開催し、訪米調査の成果の一端を報告しました。  8月2日には、シンポジウム「再処理政策の経済性を問う」(原子力資料情報室との共催)を衆議院議員会館にて開催し、米側の良きパートナーであるトーマス・カントリーマン氏(元米国務次官代理( 核不拡散担当)) の基調講演等を行いました。 ●Policy Briefの作成  5月から、調査研究の結果をまとめた報告書「Policy Brief」を作成し公開しています。5月には、「日本の再処理・プルトニウム政策は、本当に“米国に縛られ、日本の自由にならない”のか?日本に届かない米国の懸念?(Vol.1)」を、6月には、「二国間原子力協定をめぐる米国政府の動向」(Vol.2)を発表しました。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 日米原子力協定に関わる事項について、米国側の各関係者・関係機関の過去及び現在の動向について調査研究を行いました。日米原子力協定は、日本と米国との間に締結された条約ですが、米国が他国と締結する原子力協定とは異なり、日本に核燃料再処理をフリーハンドで認めています。  本調査研究は、日本の再処理政策ひいては原子力政策の根幹にある日米原子力協定が、2018 年7 月が満期であることに着目し、米議会関係者への働きかけや日本国内での政策形成を試みる日本の各団体や関係者への情報提供を目的とした調査です。  結果として、日米原子力協定は自動延長となりましたが、当団体の活動は目に見える形で結実しました。2018年6月10日、「米、プルトニウム削減を日本に要求 核不拡散で懸念」「政府、上限制で理解を求める」という記事が日経新聞の一面トップを飾りました。そして、2018年7月、原子力委員会が日本の保有プルトニウムを現在の水準を上限として削減するとの方針(いわゆる「キャップ制」)を発表しました。  この政策転換の背景には、我々が訪米活動及び対外的な発信を繰り返し行い、日本のプルトニウム蓄積についての各ステークホルダーの動向を探りながら、日米間での情報交換を行ってきたことがあったと自負しています。  今後は、キャップ制という日本政府の決断に対し、脱再処理やプルトニウム削減をさらに前に押し進めるべく、他国の経験等を示しながら具体的提言を行っていきます。また、米国の対日政策・圧力等に引き続き関心を持ち、具体的政策実現に向けた活動を継続していきます。

その他/備考


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