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再生可能エネルギーの開発における環境社会影響の調査研究



グループ名 FoE Japan 研究成果発表会配布資料[pdf]
代表者氏名 深草 亜悠美 さん
URL http://www.foejapan.org/
助成金額 30万円

山林の伐採跡地に設置されたソーラーパネル(北杜市)

静岡県伊豆高原メガソーラー視察(2019年3月7日)。傾斜地の山林の大規模伐採により、森の保水力の低下、土砂流出、洪水、景観悪化、豊かな漁場やダイビングスポットの水質汚濁、生態系、地元産業への甚大な影響が懸念される

千葉県鴨川ソーラー視察(2019年2月15日)。削られる予定の山々を見ながら。大規模な森林伐採と土地改変に伴う環境破壊、河川を埋め水の流れや栄養分が変化することで発生する土砂災害、漁獲量低下などが懸念される

研究の概要

2017年12月の助成申込書から
 東電福島第一原発事故を契機とし、脱原発やエネルギーシフトの機運の高まりを受け、再生可能エネルギーの市場活性化が進み、日本においてようやく再生可能エネルギーの普及が始まりました。  一方で、FIT法施行以降、様々な業界が太陽光発電などに参入、投資し、発電事業が急増すると同時に、発電所開発による環境破壊や地域の混乱が各地で顕在化しています。山林を伐採して急斜面に太陽光パネルを設置する発電所、水源地や貴重な生物の生息地での開発、人家に迫り眺望を遮る発電所など、問題となる事業が後を絶ちません。これらは、個別事業ごとの問題もありますが、無秩序に電源開発が進められてきた弊害であるとも考えられます。  本申請事業では、再生可能エネルギー事業による環境社会影響に関する事例収集により問題の背景、利害関係者の懸念や主張、対策等を整理し、ケーススタディからの学びを得ると共に、再生可能エネルギーの普及における構造的な問題、課題を明らかにしていきます。  また、本問題に関心をもつ市民や事業者による議論を通じて、望ましい再生可能エネルギーの在り方、合意形成の方法に関しても研究していきます。

中間報告

2018年10月の中間報告から
 東京電力福島第一原発事故を契機とし、脱原発やエネルギーシフトの機運の高まりを受け、再生可能エネルギーの普及が進み始めた一方で、メガソーラーなどの乱開発や住民による反対運動が各地で顕在化しています。山林を伐採して急斜面に太陽光パネルを設置、水源地や貴重な生物の生息地での開発、人家に迫り眺望を遮る発電所など、問題となる事業が後を絶ちません。また、バイオマス発電についても、木材ペレット、パーム油やパーム殻(PKS)など輸入原料の生産現場での環境社会影響、国内の木材の燃焼による放射能汚染の問題などのリスクも懸念されます。  本調査活動では、再生可能エネルギー事業による環境社会影響に関する事例収集により、問題の背景、利害関係者の懸念や主張、対策等を整理し、ケーススタディからの学びを得ると共に、再生可能エネルギーの普及における構造的な問題、課題を明らかにしていきます。また、本問題に関心をもつ市民や事業者、行政との意見交換を通じて、望ましい再生可能エネルギーの在り方、合意形成の方法に関しても研究していきます。  FoE Japanでは、現在までに得られている情報をもとに検討を重ね、再生可能エネルギーの持続可能性に関するポイントを整理し、4 月に「再生可能エネルギーの持続可能性に関するFoE Japanの見解」を発表しました。5月には、バイオマス発電の輸入原料や放射性汚染木材の問題を考えるためのセミナーを開催しました。また、過去の報告書や報道、インターネット情報などをもとに、メガソーラーの問題事例を整理し、鴨川や駒ヶ根のソーラー開発に関して情報収集を行いました。  今後は、さらに事例調査を進めると同時に、各地での規制の取り組みや、環境影響評価への反映について調査します。また、関心をもつ市民との意見交換を進め、持続可能な再生可能エネルギーのあり方についてまとめていきます。

結果・成果

完了報告・研究成果発表会資料より
 FIT法施行以降、太陽光発電などへの参入・投資が進み、発電所事業が急増すると同時に、発電所開発による環境破壊や地域の混乱が各地で顕在化しています。山林を伐採して急斜面に太陽光パネルを設置する発電所、水源地や貴重な生物の生息地での開発、人家に迫り眺望を遮る発電所など、問題となる事業が後を絶ちません。環境影響評価などの規制や、自治体による条例制定などの取り組みがみられるものの、事業ごとの太陽光発電の乱開発問題にとどまらず、太陽光発電もしくは再生可能エネルギー自体を一律に否定する議論にまで発展してしまっています。この問題をめぐり、本来持続可能なエネルギーを一致して求めているはずの市民社会に分断が生じています。バイオマス発電については、海外から木材チップ、パーム油、パームやし殻(PKS)を輸入し、森林破壊に加担しているケースも多くあります。また、国内の放射能汚染木材の燃焼による放射性物質拡散の恐れもあります。  FoE Japanは、太陽光発電事業やバイオマス発電をめぐり、ケース・スタディや意見交換を行い、その環境社会影響や構造的な問題を明らかにするとともに、持続可能な再生可能エネルギーに関する原則(「再生可能エネルギーの持続可能性に関するFoE Japan の見解」)を明らかにしました。また、この問題により市民社会に生じた亀裂を修復するため、本問題に関心をもつ市民、研究者、事業者による意見交換の場を設定しました。

その他/備考


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