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生物多様性要素の破壊による人権侵害 ーパレスチナ・サルフィート市のワディ・サリダの貯水池に関するケーススタディ



グループ名 最終レポート
代表者氏名 Ghanem, Marwan さん
URL
助成金額 3,500US$ =約39万円

湧き水に流れ込む廃水によって影響を受ける景観と生物多様性

調査地域の廃水に汚染された貯水池

研究の概要

2017年9月の助成申請書より
ヨルダン川西岸地区にある最大規模のユダヤ人入植地アリエル等からの廃水が湧き水と混ざり合い、隣接するパレスチナの各ワディ(雨期にのみ水が流れる谷川)に、30年以上、垂れ流さされてきた結果、その水は飲用にも農業用にも向かないほど汚染され、自然景観も壊されてきました。廃水の影響を受けるパレスチナのコミュニティでは、社会経済環境影響調査が喫緊の課題であり、本調査を通じて得られたデータは、イスラエルに対して、水源の平等な配分や管理を定める国際法
の遵守を求めると同時に、その水源の回復、環境問題への住民の意識喚起に使っていきたいと考えています。
 今回の調査の主な目的は、ヨルダン川西岸、パレスチナのサルフィート市にあるサリダ貯水池(ワディ・サリダ)の水源の汚染レベルとその主な原因を把握することです。 調査計画としては、関連省庁、自治体、NGO等から出されたデータ収集、周辺住民の社会、経済的な影響を調べるためのアンケート調査に加え、サリダ貯水池には、汚水が混ざりあうワディからの排水を含む地表水、湧き水、そして、イスラエルの真水の50%を提供する西岸地区の西部帯水層中の地下水が流入しているため、各地点での土壌・水質分析を行い、その結果をGISによりマッピングしていきます。
 最終的には、政府および国際レベルで共同調査を行うことで、そのためには、州や他の地方組織が、持続可能で公正な水源利用のためにどのような職権を有しているかや、環境正義を守るメカニズムを機能させているかについて、特に注意を払い研究調査を行っていきます。

中間報告


結果・成果

2018年12月成果報告書より
 今回の調査の主な目的は、ヨルダン川西岸、パレスチナのサルフィート市にあるサリダ貯水池(ワディ・サリダ)の水源の汚染レベルとその主な原因を把握し、廃水の社会・経済・環境的影響について調査することです。
湧き水の調査として、サリダ渓谷の様々な地点で水のサンプルを採取し、電気伝導率、イオン濃度、各種重金属の測定、大腸菌群の有無を調べるのと同時に、廃水が調査地域に住む人々にもたらす社会・経済的影響についても考察しました。各種測定については大学のラボに依頼し、社会・経済的影響については、サリダ渓谷に住む農民らへアンケートを行いました。
 この結果、ユダヤ人入植地から流れる廃水が、調査地の地下水を汚染する主要な原因であることをつきとめました。また、サリダ盆地に位置するパレスチナ人の村では人口の約84%が使用している浄化槽から、汚染された排水が近くの谷に流されるため、汚染がさらに広がっていること、サリダ渓谷の約82%の人口が、悪臭のために近隣の村に引っ越したこと、さらに、同地域の約45.5%の農民が、廃水の影響により農作物の生産性が低くなったため、作付けを止めたことなどが分かっています。
水質分析を通じて、調査地全ての湧き水が汚染指標となる大腸菌に汚染されていることが明らかとなり、飲み水としては適さず、サリダ地域の住民の健康への影響が懸念されます。
 ワディ・サリダはパレスチナの保全地域の一つであり、以上の結果から得られた提言を、パレスチナの水・環境関連局などに情報提供し、環境破壊や地下水の汚染対策にしっかり取り組むよう訴えていきます。また、西岸のワディに流れ込む廃水に汚染された別の地域でも同様の調査が必要であり、住民に向けた普及啓発の機会も作っていく必要があると考えています。

その他/備考


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