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コンゴにおける資源採掘と人権侵害の実態調査



グループ名 コンゴの性暴力と紛争を考える会
代表者氏名 華井 和代 さん
URL https://congomm2016.wixsite.com/asvcc
助成金額 80万円

2019年9月 難民への聞き取り調査

研究の概要

2018年12月の助成申込書から
 本研究は、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)東部において資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行う。  コンゴ東部で採掘される鉱物(スズ、タングステン、タンタル、金)が武装勢力や軍の資金源として利用されていること、そして鉱山周辺において組織的な性暴力を含む深刻な人権侵害が行われていることは、2000年代から国際社会で訴えられてきた。2018年には、コンゴ東部で性暴力被害者の救済に尽力するデニ・ムクウェゲ医師がノーベル平和賞を受賞し、本問題への国際的な関心が高まった。  また、2010年に制定されたアメリカ金融改革法1502条での紛争鉱物取引規制に加えて、2021年からはEUによる規制が開始されることが決まった。こうした取り組みによって鉱山の6割以上から武装勢力が撤退したとNGOは報告している。  一方で、コンゴ東部で活動する武装勢力の数は70グループに増加し、性暴力の件数は2016年の2593件から2017年の5783件に増加している(UNFPA)。  規制によって鉱山から武装勢力が撤退しても紛争が終わらず、住民に対する人権侵害が止まないのはなぜか。それを理解するためには、1996年から20年以上に及ぶ紛争の中で、鉱物をめぐるどのような利害関係が形成され、住民の人権侵害を継続させるどのような社会構造が構築されたのかを解明する必要がある。  本研究は、紛争鉱物取引規制がおよぼした影響を、国際機関および現地のメディア、NGO、援助機関が発信する情報と統計資料、周辺国に逃れた難民への聞き取り調査から明らかにする。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論する

中間報告

2019年10月の中間報告から
 本研究は、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)東部において資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行います。  コンゴ東部で採掘される鉱物(スズ、タングステン、タンタル、金)が武装勢力や軍の資金源として利用されていること、そして鉱山周辺において組織的な性暴力を含む深刻な人権侵害が行われていることは、2000年代から国際社会に訴えられてきました。2018年には、コンゴ東部で性暴力被害者の救済に尽力するデニ・ムクウェゲ医師がノーベル平和賞を受賞し、本問題への国際的な関心が高まりました。また、2010年に制定されたアメリカ金融改革法1502条での紛争鉱物取引規制に加えて、2021年からはEUによる規制が開始されることが決まりました。こうした取り組みによって、鉱山の6割以上から武装勢力が撤退したとNGOは報告しています。  一方で、住民への暴力は継続しており、2018年には3043名が犠牲になりました。住民に対する人権侵害が止まないのはなぜか。本研究は、紛争鉱物取引規制がおよぼした影響を、国際機関および現地のメディア、NGO、援助機関が発信する情報と統計資料、周辺国に逃れた難民への聞き取り調査から明らかにします。その上で、紛争解決に向けて日本の政府、企業、市民がとるべき方策を当事者とともに議論します。  2019年度前半は、4月にムクウェゲ医師の自伝の日本語訳(『すべては救済のために――デニ・ムクウェゲ自伝』あすなろ書房) が出版されたことを機に、5月に翻訳者を招いてのセミナーを開催し、多様なアクターと議論する機会を設けました。また、アフリカ学会において、フォーラム「ムクウェゲ医師のノーベル平和賞受賞:国際社会の責任を問い直す」を開催し、米川、マスワナ、華井の研究発表に基づく議論を行いました。9月上旬には華井と米川がウガンダの難民定住地を訪問し、コンゴ東部の資源産出地域から逃れてきた住民に話を聞きました。

結果・成果

完了報告から
 本研究では、世界有数の資源産出国であるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)において資源採掘と地域住民への人権侵害が結びついている現状を明らかにし、世界有数の資源消費国である日本の政府、企業、市民が責任ある行動をとるための提言を行いました。  2019年度は、コンゴ東部での人権侵害の事態とガバナンスの問題を明らかにするため、周辺国に逃れたコンゴ難民への聞き取り調査を行いました。その結果として、武装勢力が地域コミュニティの破壊を目的として住民への暴力をふるっていること、政府関係者による土地や採掘権の強奪が行われていること、そして、恐怖と屈辱を与える手段として男女双方への性暴力が行われていることが明らかになりました。  情報公開・ 社会啓発活動としては、コンゴ人婦人科医のデニ・ムクウェゲ医師が2018年にノーベル平和賞を受賞したことを記念して、5月にアフリカ学会でフォーラムを開催しました。また、『すべては救済のために デニ・ムクウェゲ自伝』の日本語訳が出版されたことを記念して、トーク・イベントを開催しました。9月にはベルギーで「コンゴの安全保障と経済発展」を主題とする国際会議を開催し、コンゴ研究者・ 実務家と情報共有を行いました。さらに、10月にはムクウェゲ医師を日本に招聘し、東京、広島、京都での講演会を開催するとともに、安倍首相、JICA理事長、医療関係者、NGO/NPOなどとの会合を行いました。来日の様子は新聞やテレビ番組などで取り上げられ、日本社会における本問題への理解を深め、支援の輪を広げる機会となりました。  2020年3月には、フォローアップセミナーの開催、ザンビアでの聞き取り調査、パリでの国際シンポジウム開催を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期しました。その後も、現地からの情報収集とムクウェゲ医師のパンジ病院への支援活動に取り組んでいます。  なお、「コンゴの性暴力と紛争を考える会」のこれまでの活動を基盤として、2019年12月に、NPO法人 RITACongo(共同代表 米川正子・華井和代)を設立しました。活動の基盤を固めたことで、さらなる調査研究と社会提言に努めていきます。

その他/備考


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