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原発労働者の労働安全・補償制度と被曝労働災害の実態に関する国際調査(その3)



グループ名 被ばく労働を考えるネットワーク
代表者氏名 なすび さん
URL http://www.hibakurodo.net/
助成金額 50万円

研究の概要

2018年12月の助成申込書から
 福島原発事故以前から政府と電力会社及び元請会社は、原発労働者の労働実態と健康被害状況について隠蔽と言って差し支えないほど明らかにしていない。しかし多くの証言から、主として非正規雇用労働者が使い捨てられてきたことは明らかである。労働者保護制度は不備であり、使いうる制度さえ労働者がアクセスしにくい環境が作られている。原発被曝労働に関する実態解明と労働安全・労働者保護制度そのものと運用のあり方の抜本的見直しは緊急の課題である。また、原発問題のアキレス腱でもある被曝労働問題があまり注視されないのは、原発を持つ他の国でも同様であり、この問題は国際的な共通課題である。  本研究では、日本のみならず原発を有する各国について、公開資料等から原発労働者の労働安全制度と労災補償制度について比較するとともに、各国の労働団体・市民団体と協力して労働者への聞き取り調査を行い、労働実態と労災・健康被害の国別比較を行い、そこから捉えうる問題を明らかにすることを目的とする。  研究を進める国内体制としては、被曝労働問題に取り組む諸団体や社会学的調査の経験がある研究者と共同で行う。国際的体制としては、これまでの調査研究に参加したウクライナ、フランス、ドイツ、韓国、アメリカ、日本の6カ国の協力体制で進める。  この調査研究は2017年度に高木基金の助成を得て開始され、初年度は主にフランス、韓国、日本について、2018年度は主にドイツの調査が行われた。本申請では、これらの調査結果を集約しつつ、いまだ原発大国であるアメリカの調査と、チェルノブイリ後も原発が稼働するウクライナを重点的に行う。  この成果は、労働者や市民に対して被曝労働に関する正確な情報を提供するために用いるとともに、各国政府および事業者に対して、労働安全・労働者保護制度の改善を要求するために用いる。

中間報告

2019年10月の中間報告から
 原発被ばく労働に関する実態解明と労働安全・労働者保護制度のあり方の抜本的見直しは緊急の課題です。原発問題のアキレス腱でもある被ばく労働問題があまり注視されないのは、原発を持つ他の国でも同様であり、この問題は国際的な共通課題です。本研究では、日本のみならず原発を有する各国について、公開資料等から原発労働者の労働安全制度と労災補償制度について比較するとともに、各国の労働団体・市民団体と協力して労働者への聞き取り調査を行い、労働実態と労災・健康被害の国別比較を行い、そこから捉えうる問題を明らかにすることを目的としています。本研究は2017年度に開始され、初年度は主にフランス、韓国、日本、2018年度は主にドイツの調査を行いました。2019年度はこれらの調査結果を集約しつつ、アメリカとウクライナの調査を進めることとしました。  昨年度からの継続作業として、ドイツで現地調査報告書の日本語版を作成するとともに、フランスとドイツの諸制度に関する追加調査を行いました。また、EU圏で検討されている労働者の被ばく記録の一元管理制度について調査し、フランスとドイツの現地調査の結果と合わせ、国境を越える原発労働者に関する諸問題を検討しました。  その成果は、日本で4月から導入された「特定技能」外国人労働者制度を福島第一原発廃炉作業で活用する問題をめぐる新聞記事のコメントに反映されるとともに、「学習会・外国人労働者と被ばく労働」(原子力資料情報室・被ばく労働ネット共催) で報告しました。このほか国内制度の問題として、労災上積み保険制度では被ばく労災が適用除外となっている問題について、調査・報告しました。  また『Occupational Safety and Health Series, No. 73』(ILO 他)の日本語訳をほぼ完成しました。

結果・成果

完了報告から
 原発被ばく労働の実態は今も不透明であり、労働者に対する労働安全・補償制度は不十分であると指摘されています。それは原発を持つ他の国でも同様であり国際的な共通課題です。本研究では、日本と原発を有する各国について、公開資料等から原発労働者の労働安全制度と労災補償制度について比較するとともに、各国の労働団体・市民団体と協力して労働者への聞き取り調査を行い、労働実態と労災・健康被害の国別比較を行い、問題を明らかにすることを目的としています。本研究は2017年度に開始され、初年度は主にフランス、韓国、日本、2018年度は主にドイツの調査を行いました。  2019年度は、昨年度からの継続作業としてドイツで現地調査報告書の日本語版を作成するとともに、フランスとドイツの諸制度に関する追加調査を行い、福島原発被ばく労災損害賠償裁判(あらかぶ裁判)の学習会などで報告しました。また、EU圏で検討されている被ばく記録の一元管理制度について調査し、フランスとドイツの現地調査の結果と合わせ、国境を越える原発労働者に関する諸問題を検討しました。この内容は、日本で4月から導入された「特定技能」外国人労働者制度を福島第一原発廃炉作業で活用する問題で新聞記事のコメントに反映されたほか、「学習会・外国人労働者と被ばく労働」(原子力資料情報室・被ばく労働ネット共催)で報告しました。  当初計画では、今年度アメリカとウクライナの現地調査を予定していましたが、現地との調整が進まなかったことや、EU圏の追加調査が必要だったことなどから、両国の現地調査は次年度に行うこととしました。アメリカは軍・核兵器の影響が非常に色濃く、ウクライナはチェルノブイリ原発事故を経験した背景があり、比較検討において欠かすことはできません。また、各国の制度・状況の総合的な比較資料も完成していません。この研究課題は、高木基金の助成課題としては 2019 年度で一区切りとなりますが、被ばく労働ネットのプロジェクトとして2020年度も継続する予定です。 これらの調査結果を含め、原発被曝労働者をめぐる法制度・保障制度と労働実態について総合的にまとめることにより、問題点の整理と労働者の安全を守るための提言を構築したいと考えています。

その他/備考


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