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放射性物質を含む廃棄物最終処分場予定地周辺の住民参加型環境調査



グループ名 放射能を含む廃棄物から子供たちと大久保の自然を守る住民の会
代表者氏名 北澤 勤 さん
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助成金額 40万円

研究の概要

2018年12月の助成申込書から
 福島第一原発事故後に大量の放射能汚染された廃棄物が発生したことを受け、放射性物質に汚染された8000Bq/kg以下の廃棄物が含まれていても、産廃事業者等により通常の廃棄物と同様に処理が可能とされるようになり、放射性物質の拡散が懸念されています。 2015年、民間事業者により長野県宮田村に、放射性物質に汚染された廃棄物を含む処分場建設計画が持ち込まれました。宮田村のある伊那谷地域は南アルプスと中央アルプスの高い山々に囲まれ、放射能汚染のほとんどない地域です。住民一丸となり、全国からも支援を受けながら反対運動を続けてきましたが、計画は中止されることなく、事業者は予定地にある旧セメント工場の解体に向けて準備を進めており、いつ処分場設置許可申請の手続きを始めるかわからない状況です。  予定地は地下水の挙動が複雑であり、処分場としての適正を評価検証する必要があります。そのためには、本申請調査研究では、まず、水質、土壌、大気の状況を測定し、現状の環境状況を把握します。また、継続的なモニタリングのための地域環境調査と事業監視体制を構築します。  調査結果は、処分場認可を審査する長野県への要請行動、および事業者との協議に活用し、また万一処分場の建設、操業が始まった場合には、モニタリングの比較基準とします。

中間報告

2019年10月の中間報告から
 長野県宮田村のある伊那谷は、二つのアルプス山脈に囲まれる地形の恩恵を受け、福島原発事故後も放射能汚染のほとんどない環境が残されています。2015 年に民間事業者により、宮田村の天竜川と太田切川の合流地点付近に、福島原発事故由来の8000Bq/kg以下の放射能に汚染された廃棄物が含まれる産業廃棄物の処分場計画が持ち込まれました。住民だけでなく全国から多くの反対の声が集まりましたが、事業が撤退されることはなく、予定地の旧施設の解体に向けた準備が続けられてきました。  本調査研究は、事業者から県に事業許可申請がいつ出されてもおかしくない状況の中、予定地の処分場としての適正を評価検証するため、現状の環境を把握することを目的としています。特に、予定地は地下水の挙動が複雑であることから、まず、2年前から予定地周辺で実施してきた水位や水質調査の観測箇所を増やし、住民主体の活動として月2回の観測を始めています。継続した観測活動の意義や方法を学ぶ学習会を実施し、住民の意識、参画が高まっています。これまで運動に積極的に参加してこなかった住民からも、実質的な活動への理解は得やすく、参加する住民の幅も広がっています。特に、事故などが発生した場合に、より大きな影響を受けると予想される予定地下流域にも観測点を増やし、下流域住民と連携しての活動が可能となってきたことは大きな進展といえます。  一方、長期戦も見据えた住民の地道な活動と強い思いを汲み、宮田村は予定地を買い取る意向を表明しました。しかし、現状では事業者は着工に向けた準備を続けるとしており、予断を許さない状況は続いています。今後の村と事業者の調停においても、処分場として適切でないことを証明する科学的根拠が重要となるため、本調査研究により得られるデータの蓄積がより重要となります。

結果・成果

完了報告から
 2015年から長野県宮田村に福島第一原発事故由来の放射能に汚染された廃棄物(8,000ベクレル以下)を含む最終処分場の建設が民間事業者により計画されています。予定地は、天竜川と中央アルプスから流れ込む太田切川の合流地点に近く、地下水の挙動が複雑であることから、廃棄物処分場の立地としての適正を慎重に評価検証する必要があります。本調査研究では、予定地周辺の井戸と2つの河川の計11ヶ所において水位、水質を年間を通じて月2回調査し、地下水の挙動を把握するためのデータを収集しました。このモニタリング活動は、住民が学習会や実地研修を通して調査の意義や方法を専門家から学び、上流・下流(宮田村と駒ヶ根市)の二つの集落が連携して実施しました。また、大気や土壌環境への放射性物質等の放出も懸念されることから、 現状の環境状況の把握と継続したモニタリングの意義、方法を専門家から学ぶ住民学習会を実施しました。学習会の開催や参加型調査により、事業監視のための住民の能力向上と、地域全体の協働体制の構築が促進されました。調査結果は裁判となった際や、処分場認可申請が提出された際に審査を行う長野県に対し、立地の適正を正しく評価するための資料として活用し、また万一処分場の建設、操業が始まった場合には、汚染物質漏洩等の有無のモニタリング比較基準とします。  本調査研究活動を含む住民の地道な活動や反対運動が影響し、宮田村長は予定地の買い取りの意向を表明しました。  次年度は、住民参加型の月2回の環境モニタリングを継続しつつ、住民や地域内外の関心層への分析結果の発信と理解の促進を行います。また、放射性廃棄物の処分をめぐる各地の事業や計画、市民運動等の事例を調査することで、国の方針や放射性廃棄物処分事業の実態を把握し、住民による継続した環境調査、監視活動の重要性を再確認します。さらに、他地域との情報・意見交換を実施し、他地域の経験を学ぶと同時に、宮田村の状況や経験を発信していくことで、全国に拡散される放射能汚染された廃棄物について問題提起を行います。

その他/備考


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