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東電原発事故の裁判資料や政府事故調資料の公開データベース作成



グループ名 原発報道・検証室 裁判・政府事故調アーカイブプロジェクト
代表者氏名 添田 孝史 さん
URL https://level7online.jp/
助成金額 80万円

ウェブサイト『東電原発事故の資料』  https://database.level7online.jp/ のトップページ

政府事故調開示資料の一部

仙台高裁2020年9月30日添田撮影

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 本調査研究では、東京電力福島第一原発事故を巡る裁判や、政府事故調が保有する資料を収集・整理した公開データベースを作成する。  事故の原因や被害については、政府や国会の事故調が2012年に報告書をまとめたが、まだ未解明なことが多く残されている。現在、事故検証の場は、住民らによる損害賠償請求(集団訴訟だけで約30)や株主代表訴訟、刑事裁判などの法廷に移っている。裁判で提出された文書や、判決文などは、事故の実態を明らかにしたり、どのように検証されてきたかをたどったりする上で、重要な資料となる。  しかしこれら資料は、各裁判の原告らが一部公開しているのみで、網羅的に収集整理している機関はなく、今後も保存や活用できるのか、心配されている。そこで、原告や被告の国・東電が提出した専門家の意見書、被害者らの陳述書面、準備書面や、裁判所の判決要旨、判決文などを収集整理し、公開データベースを作る。  政府事故調が収集した資料(約2千タイトル)についても、目録のみが2018年12月に開示されたが、文書本体はまだ未公開のままである。これらについても、保存年限が限られている文書があるため、急いで集めておく必要がある。  これらの裁判資料、政府事故調資料のデータベースを誰でも無料で使える形で公開し、裁判を起こしている住民や弁護士のほか、ジャーナリスト、研究者に利用してもらうことで、東電福島事故の実相により深く解き明かすことが期待できる。

中間報告

中間報告から
 東京電力福島第一原発事故については、事故に至る経緯、原因、被害など様々な面で、未解明の事項が数多く残されています。政府、国会など四つの事故調は、2012年までに報告書を公表していますが、それ以降の検証の場は、主に法廷に移っています。裁判で提出された文書や、判決文などは貴重な資料となりますが、それらは体系的には保存されていません。また、政府事故調が収集した一次資料(約2千タイトル)についても未公開でした。  本プロジェクトでは、裁判関連の文書と、政府事故調の文書を収集し、誰でも閲覧や検索が可能なデータベースを構築することを目指しています。2020年9月末に、『東電原発事故の資料』のウェブサイトを開設しました。現在、政府が裁判に提出した専門家の意見書や、政府事故調が集めた資料(一部)、原子力規制委員会が開示した文書など数万ページを掲載しています。  本プロジェクトで収集した文書から、新たな事実もわかりました。仙台湾沖で発生した貞観津波(869年)について、政府は「まだ不確実なものだったから、大津波は想定できなかった」と説明していますが、東北電力に対しては2010年にそれを想定することを要求していたのです。政府事故調は、その事実を掴んでいたにもかかわらず、事故調報告書には書いていませんでした。  今後も、収集した資料から新たな事実を発掘することが期待できそうです。

結果・成果

2021年5月の完了報告から
東京電力福島第一原発事故について、政府、国会など四つの事故調査委員会は、2012年までに報告書を公表したが、未解明の事項が数多く残されている。また政府事故調が収集した一次資料(約2000タイトル)は未公開のままだ。2012年以降、検証の場は、主に法廷に移っている。裁判で提出された文書や、判決文などは貴重な資料となるが、それらも体系的には保存されていない。  本プロジェクトでは、特に事故が起きる前の経緯、原因解明に特化して、事故調文書と裁判関連の文書を収集し、誰でも閲覧や検索が可能なデータベースを構築することを目指している。本プロジェクトは、2020年10月に、『東電原発事故の資料』のウェブサイト (https://database.level7online.jp/)を開設した。現在、政府が裁判に提出した専門家の意見書や、事故調が集めた資料(一部)、原子力規制委員会が開示した文書など数万ページを掲載している。  本プロジェクトで収集した文書から、新たな事実もわかった。仙台湾沖で発生した貞観津波(869年)が再来する可能性について、政府は「まだ不確実なものだったから、大津波は想定できなかった」と説明していた。しかし政府は東北電力に対しては2010年にそれを想定することを要求していた。政府事故調は、その事実を掴んでいたにもかかわらず、報告書には書いていなかった。今後も、収集した資料からさらなる事実の発掘が期待できる。

その他/備考


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