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白保と竹富のリゾートホテル建設計画地域付近の海域に生息する生物リストの作成



グループ名
代表者氏名 大久保 奈弥 さん
URL
助成金額 70万円

今回の調査で確認されたサンゴ

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 沖縄県石垣島の白保集落と竹富島のコンドイビーチ付近において、リゾート開発業者による大規模ホテル建設が計画されている。白保では地上4階建てで年間10万人宿泊規模、竹富ではコテージ宿泊室24室と連棟式宿泊室5棟(23室)の計47室が建設予定であり、白保では住民から開発業者への訴訟が、竹富では開発業者から反対運動の住民代表へのスラップ訴訟が起きている。  白保海域には世界的にも貴重なアオサンゴの大群集が広がり、他にも多種多様なサンゴが生息している。コンドイビーチは観光名所としても有名なほど、綺麗な水質の海域である。だが、そのような場所に大規模なリゾートホテルを建設し、両開発計画地域に公共下水道がないことから、開発業者はホテルの汚水排水を地下浸透させる計画である。  ホテルの排水には、リン酸塩など海を富栄養化させる成分が多く含まれている。また、ホテル内のプールの水をそのまま排水する予定であることから、海水の淡水化も心配される。その結果、両地域に生息する貴重なサンゴ群集や海草海藻への悪影響が容易に予想される。さらに、夜間に点灯するホテルのライトによりウミガメの産卵への悪影響も心配されている。  申請者は、日本弁護士連合会の環境部会が主催し、石垣島で行われたサンゴ礁保全シンポジウムにおいて基調講演を行い、白保のアオサンゴ群集とホテル建設予定地も視察し、両地域の反対運動の代表らから生物や環境への影響に関する相談を受けた。しかし、肝心の生物リストがなく、どのような生物が生息しているのか全く調査が行われていないことが明らかとなった。そこで、申請者が代表となり、両海域に生息する生物のリストを作成し、リゾートホテル開発が当該海域の生物に与える影響を予測することを目的とする。

中間報告

中間報告から
 沖縄県石垣島の白保集落と竹富島のコンドイビーチ付近において、リゾート開発業者による大規模ホテル建設が計画されています。この調査では、両海域に生息する生物のリストを作成し、リゾートホテル開発が当該海域の生物に与える影響を予測することを目的とします。  白保海域には世界的にも貴重なアオサンゴの大群集が広がり、他にも多種多様なサンゴが生息しています。コンドイビーチは観光名所としても有名なほど、綺麗な水質の海域です。両開発計画地域に公共下水道がないことから、開発業者はホテルの汚水排水を地下浸透させる計画です。ホテルの排水には、リン酸塩など海を富栄養化させる成分が多く含まれており、また、ホテル内のプールの水をそのまま排水する予定であることから、海水の淡水化も心配されています。その結果、両地域に生息する貴重なサンゴ群集や海草海藻への悪影響が容易に予想されます。さらに、夜間に点灯するホテルのライトによりウミガメの産卵への悪影響も心配されています。  2020年12月1日から12月3日にかけて、サンゴを含むベントスと海藻の同定の専門家、計5名にて、石垣市白保の潮間帯および海中に生息する生き物のサンプリングと写真撮影を行いました。残念ながら、調査の全日程において、これまでに経験したことのない悪天候でした。海の流れはまるで川のように速く、潜水調査には危険を伴うため、潜水による海藻およびサンゴの生息調査は、岸から近い場所でしかできませんでした。しかしながら、サンゴ、そのほかのベントス、海藻を合わせて、109種類もの生き物を見つけることができました。なかでも、準絶滅危惧種に指定されているヒメサンゴの生息が明らかになりましたので、白保海域の保全において大変重要な知見を得ることができたと言えます。  天候さえよければ、今回の数倍のデータを採取することができますので、来年度も引き続き調査を行いたいと考えます。また、コロナ禍のため、高齢者の多い竹富島の調査は見送りましたが、調査期間の中で半日だけ、海藻とベントスの同定の専門家2名により下見を行いました。海藻の研究者によれば、昔の沖縄の海の状態が残っているとのことで、大変貴重な海であることがわかりました。竹富島の調査も来年度は行いたいと思います。

結果・成果

2021年5月の完了報告から
 2020年12月1日から12月3日にかけて、サンゴを含むベントスと海藻の同定のプロ計5名にて、石垣市白保の潮間帯および海中に生息する生き物のサンプリングと写真撮影を行いました。この日程で行った理由は、W W Fの方で雇ったベントス研究者の予定とあわせて、調査を行なって欲しいと言われたためです。しかし、残念ながら、調査の全日程において、これまでに経験したことのない悪天候で、海の流れはまるで川のように速く、潜水調査に生命の危険が伴うため、潜水による海藻およびサンゴの生息調査は、岸から近い場所でしかできませんでした。しかしながら、サンゴ、そのほかのベントス生物、海藻を合わせて、109種類もの生き物を見つけることができました。なかでも、準絶滅危惧種に指定されているヒメサンゴの生息が明らかになりましたので、白保海域の保全において大変重要な知見を得ることができたと言えます。天候さえよければ、今回の数倍のデータを採取することができますので、来年度も引き続き調査を行いたいと考えます。また、コロナ禍のため、高齢者の多い竹富島の調査は出来ませんでしたが、調査期間の中で半日だけ、海藻とベントスの同定のプロ2名により下見を行いました。海藻の研究者によれば、昔の沖縄の海の状態が残っているとのことで、大変貴重な海であることがわかりました。

その他/備考


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