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柔軟剤や洗剤等の家庭用品から放散される微小粒子状物質の定性分析



グループ名 空気汚染による健康影響を考える会
代表者氏名 山本 海 さん
URL
助成金額 50万円

柔軟剤を使用したクロスのサンプル。クロス上に付着した微小粒子状物質を電子顕微鏡で分析する

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 柔軟剤、洗剤、芳香剤や消臭スプレーの家庭用品による健康被害の声が上がっている。昨今の家庭用品には、プラスチック成分等で作られるマイクロカプセルに包まれた香料や抗菌物質が含まれると言われている。そこで、消費者が、マイクロカプセル化技術を用いた家庭用品を利用することで、プラスチックの微粒子が一般生活環境中に排出されるのではないかと考え、2019年度は閉鎖系の実験装置にてパーティクルカウンターを用い、家庭用品より大気中に放散される微小粒子状物質の測定を行った。その結果、(1)一部の柔軟剤や洗剤を適用した布や芳香剤から0.5μm?20μm程度の粒子径の微小粒子状物質が放散されていること、(2)柔軟剤や洗剤を適用した布と接触したスライドガラスと、芳香剤の近くに置いたスライドガラスから採取した微小粒子状物質のうち20μm前後の大きさの粒子の一部を顕微FT-IR法により解析し、それぞれ得られたIRスペクトルをライブラリと照合すると、プラスチック成分やその分解物と推定される物質、抗菌作用を示す成分、そして香料成分がヒット率の高い候補物質として挙がってくることが判明した。  しかし、現行の調査手法では、1)10μm以下の粒子状物質の定性が困難である点、2)一部の製品から放散される微小粒子状物質には、無機金属化合物の粒子が存在する可能性が示唆されたが、顕微FT-IR法の結果だけでは完全には定性できない点、3)0.5μm以下の粒子の放散の有無が調べられない点が限界となっている。  本研究では、前年度の継続調査として、1)10μmより小さい粒子を定性するラマン分光法や2)SEM(走査型電子顕微鏡)による元素分析も併せて実施し、家庭用品から放散される微小粒子状物質の定性を行う。また、実際に放散源が家庭用品であるかの検証を行うため、家庭用品の原液を遠心分離や濾過により得られた物質と放散で得られた粒子状物質が一致するかの検討も行う。

中間報告

中間報告から
 柔軟剤、洗剤、芳香剤や消臭スプレーの家庭用品による健康被害の声が上がっています。昨今の家庭用品には、マイクロカプセルに包まれた化学物質が含まれていると言われています。    昨年度の研究では、マイクロカプセル化技術を用いた家庭用品を利用することでどの程度の粒子径の微小粒子状物質がどれほど放出されているのかを確認し、FT-IR(フーリエ変換型赤外分光法)による定性分析では、プラスチックやシリコン、および抗菌成分や香料成分にあたる化学物質が、含有する候補物質として挙がってきました。  しかし、上記の方法では、1)10?以下の粒子状物質の定性が困難である点、2)一部の製品から放散される微小粒子状物質には、無機金属化合物の粒子が存在する可能性が示唆され、顕微FT-IR法の結果だけでは完全には定性できない点、3)0.5?以下の粒子の存在の有無が調べられない点が限界となっていたため、本年度は、前年度の継続調査として、1)10?より小さい粒子を定性するラマン分光法や2)SEM(走査型電子顕微鏡)による元素分析も併せて実施し、家庭用品から放散される微小粒子状物質の定性を行っています。初めは、ラマン分光法とSEMの操作方法を学ぶところからスタートしました。課題はいくらかありますが、現在進行中です。  なお、9月に昨年度の成果の一部を大気環境学会にて発表しました。

結果・成果

2021年5月完了報告より
家庭用品から接触や放散により排出される微小粒子状物質の顕微ラマン分光法とSEMによる定性分析 昨年度の助成で、顕微FT-IR(フーリエ変換赤外分光)法により、家庭用品から放散や接触により排出される微小粒子状物質の成分分析を行いました。追って、今年度は、10μmより小さい粒子の成分分析を行える顕微ラマン分光法とSEMによる元素分析も行いました。  その結果、柔軟剤からプラスチックに該当する成分の粒子が柔軟剤を適用した布から布の外の環境に排出されている例が確認されました。水系に限らず、柔軟剤の使用が大気環境中へのマイクロプラスチックの排出源となりうることが示唆されました。 加えて、今回調査対象とした柔軟剤、洗剤、芳香・消臭剤の家庭用品を適用した布から採取したすべての粒子で、製品によって様々でありますが、金属化合物の含有が確認されました。製品を使用した布から接触や放散を介してそれらが布の外の環境に排出されている可能性が示されました。 柔軟剤を使用した布の接触により生じる粒子状物質の排出状況(粒子面積別の粒子排出個数)を検討する解析 柔軟剤を使用した布と柔軟剤を使用しなかった布からそれぞれに生じた粒子数を比較する実験を行い、柔軟剤を使用した布の接触により付着した粒子数が。柔軟剤を使用しなかった布の接触により付着した粒子数を大幅に上回っていて、それらの差分が、柔軟剤を使用した影響による粒子の排出と考えられました。

その他/備考


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