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イメージングプレートを使用するQベク放射能可視化部門の立上げと、土壌中の放射性物質の可視化の提案



グループ名 放射能市民測定室・九州(Qベク)
代表者氏名 大木 和彦 さん
URL http://q-bq.com/
助成金額 25万円

ジオスライサーの一式。二つの金属のフレームを組み合わせ、地面に ハンマーで打ち込むことで、土壌の鉛直方向のサンプルを切り出すもの。

研究の概要

2019年12月の助成申込書から
 2016年度の高木基金助成を受けた際のテーマは、(1)オフグリッドエアーサンプラーの開発、(2)オートラジオグラフィーの研究 でした。オートラジオグラフィーによる放射性物質の可視化は2014年にエアーサンプラーによる集塵後のフィルター検査方法のひとつとして被災地からの要請を受けて開始されました。X線フィルム上に検体を密着させ40日間前後感光させた後、現像・定着という薬品処理を行いますが、完全な暗室が必要ですし、処理薬品類の入手/廃棄などの課題もあり着手が2017年まで遅れてしまいました。稼動後も、温度管理など設備・技術上の問題から安定した画像が得られない状態が続きました。当時、病院のX線検査は既にフィルムからイメージングプレート(IP)に切り替わりつつあり、Qベクでも2019年に歯科用の中古機を購入してテストしてきました。当初目標のフィルターの画像化は成功しています。最適な感光時間など標準化に向けた調査はまだ残っていますが、Qベク放射能可視化部門を立上げます。又、X線フィルムと異なり、IPの感光材は繰り返し使用が可能なうえ、現像液や定着液といった薬品を使う処理がないなどランニングコストはごく軽微で済みます。Qベクでは既に中古ながらIPスキャナーを購入していますので、この画像の電子データ化は基本的に無償で引き受けたいと考えています。
 今回の提案は、このIPによるオートラジオグラフィー技術を使って土壌中の放射性物質の姿を確かめてみようというものですが、単に採取した土壌を画像化するのではなく、土壌を鉛直(深さ)方向にスライスして標本化し、これを可視化してどの位の深度まで拡散しているかが判るようにするものです。原発事故で土壌に降り注いだ放射性物質の8年後の拡散の様子を目で確かめられるようにします。
 Qベクでは、「みんなのデータサイト」をはじめ、東日本で土壌の調査をされている団体に呼び掛け、土壌断面の画像データ化を無償で引受けてゆく予定です。現在、QベクはIPを1枚しか持たないため、連続で運用しても年間で十数検体しか処理しきれませんが、作業が円滑に進むようIPの保持を6枚程度に増やすなど、設備を充実させたいと考え、基金の助成に応募しました。

中間報告

中間報告から
 福島第一原子力発電所の爆発事故は、東日本を中心とした広い地域の土壌を汚染しました。この研究では、事故から8年が経過した土壌中の放射性物質の鉛直方向の分布を視覚的に把握することを目指します。
 Qベクでは、これまでに、空気中の放射性浮遊塵の捕捉のためにエアーサンプラーを開発してきました。この過程で、NaIシンチレーターでは計測下限値以下と判定された集塵済みフィルターでも、これを?線フィルム上で感光させると放射性浮遊物が可視像として確認される場合が多いことがわかりました。放射線の感度がX線フィルムより更に3桁のオーダーで高いといわれるイメージングプレート(IPと略記)の歯科用の中古品を安価に入手し、放射性物質の検出用ツールにできないかと考えました。
 2枚のIPと読取り装置は独自に購入していましたが、今回、高木基金の助成金で3枚のIPを購入し、同時に5件の検体を並行して感光できる態勢が整いました。IPは繰り返し利用ができますので、データ読取りや通信等の体制が整い次第、「Qベク放射能可視化センター」として立上げ、無償で可視化を引受けていく予定です。
 土壌中の放射性物質の鉛直(深度)方向への拡散状況を調べるためにIPを活用します。当初は深さ30cm程の小さなトレンチ(角穴)を掘り、その側壁からサンプルをとれば良いだろうと考えていましたが、テストするとかなり大変な作業になることがわかりました。このため土壌サンプル作成のための機材(ジオスライサー)の開発を専門の企業に依頼し、この程、2台の製品が完成しました。土壌中の放射性物質の可視化だけでなく、採取した土壌から深度ごとの部分を切り出して測定器にかけることも容易になると思います。早速、1台を福島に届けてテストに入りたいと考えています。

結果・成果

2021年5月完了報告より
私たち、放射能市民測定室・九州(通称 Qベク)では、早い時期から「空気・水・土」の放射能汚染を問題視し市民から持ち込まれる食材の検査の傍ら、これらの環境要因の測定にも取組んできました。これらのうち、空気中の放射性浮遊物の捕捉に関しては、市民が自らの空気環境を調べる道具としてQベクエアーサンプラーを考案し、2014年及び2016年度の高木基金からの助成を受けて完成させることができました。製作されたエアーサンプラーは東日本各地に送り出されました。現地で長期間の運転を行った後、取外したフィルターが計測目的でQベクに送られてきましたが、私たちのNaIシンチレーターの能力上、その汚染の値を知ることはできませんでした。そこで、汚染物質の有無だけでも判別できるようにするために、X線フィルムを使ったオートラジオグラフィーの研究を始めました。そのテスト段階で出会ったのがフィルム乾板や現像薬品などを使わないイメージングプレートでした。X線フィルムより圧倒的に高感度で、なによりフィルムと異なり画像を消去して繰り返し使用できるという優れた特性を持っています。今回の取組みは、このイメージングプレートを使用する放射能可視化部門をQベク内に立上げて、ニーズに無償で応えてゆけるようにする事と、イメージングプレートを応用して汚染された土壌の中で放射性物質がどのような姿で拡がって(沈降して)いるかを可視化したいという思いで始まりました。コロナ禍によって身動きが取れ難い中、計画は相当の遅れを余儀なくされていますが、落ち着き次第、執行に入れるように準備しています。

その他/備考


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