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市民はエネルギー転換をどう議論していくか ─韓国の地域エネルギー計画における市民参加型手法のメカニズム、効果、課題について─



グループ名 ソウル大学環境大学院
代表者氏名 パク・ソナ さん
URL
助成金額 3,000USD=約30万円

地域エネルギー計画ワークショップの様子1

地域エネルギー計画ワークショップの様子2

慶尚南道での市民参加型ワークショップの様子

研究の概要

2019年9月の助成申込書より
 韓国では、 地域エネルギー 計画について、 地方自治体に責任ある対応を求める人々がますます多くなり、その策定プロセスが、かつてないほど重要になっています。韓国政府の「地域エネルギー計画」の6つのガイドラインの一つに、市民参加型による計画づくりが掲げられていますが、地域エネルギ ー 計画作成への市民参加自体が初めての試みです。従ってこの分野での先行調査はなく、韓国でいかにしてエネルギー民主主義を実現するかについて、私たちの研究が一つの答えを出すものとなります。  市民にとっては、エネルギー問題は新しいタイプの社会課題であり、気候変動から電力まで科学的な事実に基づいた理解ができた上で議論に参加することが求められるため、非常に挑戦的な試みとなります。コミュニティのエネルギ ー 自治、エネルギーを選び取る市民の権利を拡大させていくことは韓国のみならず日本や台湾など他国においても重要なテ ー マだと考えています。  本研究では、ソウル市と慶尚南道市(古里原発が立地)を研究対象地とし、市民参加について、1.参加者の特徴、2. 議論の方法の特徴、3.政策への反映プロセスにおける期待や課題、4.エネルギー計画作成に対する市民参加の評価を軸に、観察し情報収集していきます。  調査は 2019 年中に開始し、2020 年 1 月から 3 月にインタビュー、3月から5月に文献調査、5月から12月に政策への効果の評価、10月から12月に最終的な評価を行います。  研究結果は、新古里原発の5号機・6号機建設問題を含む韓国でのエネルギー計画の議論を分析し評価する上で役立つものとなり、エネルギー分野における韓国の将来像を模索する貴重な研究になると考えています。 また、日本出身の研究者との共同研究であるため、 結果は日本語に翻訳し、 日本の市民活動家や行政職員とも共有していきます。さらに、国内外の政治家、研究者、活動家とも成果を共有し、地域エネルギー計画作成への市民参加手法をしっかり分析していきたいと考えています。

中間報告


結果・成果

2021年1月の報告書より
2019年に韓国の第3次エネルギー基本計画が策定された際、地方自治体は、それに合わせて地域エネルギー計画を見直す必要がありました。その際、政府指針により、地方自治体は市民参加型で計画の策定を行いました。 この調査のねらいは、「市民参加」 がどのように行われたかを調べ、その参加の質を評価することでした。 今回の調査対象地は、特徴の異なる2つの地域、ソウル市と慶尚南道(古里原発が立地)を選びました。ソウル市はエネルギーの効率化や太陽光発電の普及など国の指針よりも積極的にエネルギー転換を進めていますが、慶尚南道は韓国を代表する工業都市であり、どちらかと言えば消極的です。 市民参加型ツールとして採用したシナリオワークショップも、ソウル市では、参加者をSNSなどで募集し、代表性のあるサンプルを集められるよう、サンプリング委員会が参加者を選出し、準備段階から関連分野の専門家の意見を集めるなどの努力がなされてきました。実際に策定された地域エネルギー計画の中にも、その運営過程が記載され、参加した市民の意見も紹介されています。 一方、慶尚南道の場合、準備プロセスは民間企業の主導の下、非公開で行われ、ワークショップの応募者が少なかったために、ソウル市と同様の参加者選定プロセスが取れず、肝心のワークショップも、専門のファシリテーターは不在、議題も不明瞭、議論の手法も不十分でした。 このため、ワークショップが市民の声を反映するよう設計されていなかったと、多くの不満の声を上がっています。振り返れば、市民参加型の地域エネルギー計画はほとんどの地方自治体にとって初めての試みであったため、課題を多く残しましたが、 それでも、以前は国や専門家レベルで議論されていたエネルギー問題を地域レベルかつ市民の視点から扱うことができたこと、また議論の場を市民に広げるなど、市民参加の質を上げていった点では、大きな意義があったと評価しています。

その他/備考


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