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ゴミ山(産業廃棄物の不法投棄)土壌の鉛含有濃度調査



グループ名 埼玉西部・土と水と空気を守る会
代表者氏名 前田 俊宣 さん
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助成金額 30万円

研究の概要

ゴミ山土壌の実態調査
●不法投棄であるゴミ山は、日本全国の農地や山林、住宅地に多数存在しています。ゴミ山周辺は農地や用水の直近、住宅地・学校周辺などであり、汚染の拡散により、農地の場合は作物への鉛の蓄積量が、また住環境としては汚染土壌の飛散や流出により、周辺住民(特に乳幼児は感受性が強いハイリスク・グループ)の鉛暴露量が高くなるおそれがあります。 ●このためゴミ山土壌の実態調査が必須ですが、国も地方自治体も全くこの問題性を認識しておらず、調査も行なっておらず、また行なう意向もないとしているため、至急、市民で調査を始め、結果を提示し、早急な対策の重要性を提起する必要があり、私たちの市民団体で独自調査を始めました。 ●2003年11月?2007年3月、私たちが行なった第1次?2次埼玉県内広域ゴミ山実態調査で、調査した26箇所(45検体)のゴミ山の約50%には、鉛汚染(土壌汚染対策法の対策基準を指標とする含有濃度150mg/kgを超える汚染)のあることが判明しました。今年度2007年4月から、高木基金等を得て行なっている第3次調査では、2007年8月までに、19箇所(29検体)の調査を行ない、すべての分析結果は出ていませんが、これまでのところ、ほぼ同様の傾向で鉛汚染があると見られます。また同じ1つのゴミ山でも汚染のある部分とない部分の存在することが確認されました。 ●なお、今年度後半は、未調査のゴミ山の土壌中鉛分析と並行して、調査済みのゴミ山で鉛汚染の強かった箇所について、6価クロム、カドミウム、水銀、砒素など他の有害金属についても、重要と考えられる項目から順に、分析に供する予定です。これにより、ゴミ山による重金属汚染の全般的な傾向を把握する予定です。

中間報告

中間報告から
*2007年度調査を、「第3次埼玉県内広域ゴミ山土壌汚染調査」と位置づけ、調査開始。 *埼玉県江南町?熊谷市?行田市方面サンプリング・ツアーにて、土壌21検体、植物6種類で計13検体採取。 *土壌検体は中外テクノスに分析依頼。植物検体は、東京農工大農学部環境毒性学研究室にて分析。 埼玉県八潮市?越谷市?杉戸町方面サンプリング・ツアーにて、土壌6検体採取。 *中外テクノスに分析依頼。 *埼玉県所沢市の産廃保管積み替え施設・栄進周辺の土壌2検体を採取(緊急調査) *前半期の土壌検体中鉛濃度分析の結果のまとめ(別表:検体リスト参照) *4月2日採取の植物検体の結果まとめ(すべてND:検出されず) *ゴミ山土壌中の有害な重金属については、廃棄物の性状・成分から推測すると、鉛だけでなく、6価クロム、カドミウム、砒素、水銀もチェックする必要があります。そこで、2007年度に採取した土壌だけでなく、これまでに採取した土壌のうち、鉛濃度が土壌汚染対策法基準(150mg/kg)を超えた検体について、必要に応じて上記4項目の有害物質を順に分析することとしました。(東京農工大農学部・環境毒性学研究室の久野勝治教授のアドバイスによる)

結果・成果

完了報告から
・2005年から2006年までの第1次、第2次調査によれば、鉛汚染がゴミ山の約50%にあるとの結果が出ていた。今回の高木市民基金の助成による第3次調査を合算すると、汚染の確率は約40%と算出されたものの、依然としてゴミ山土壌には鉛汚染が高い確率で存在するという事実が明確となった。  ・第1次調査から第3次調査にかけて行なってきた、一連のゴミ山実態調査、すなわち土壌汚染調査(鉛を中心に、カドミウム・砒素・6価クロム、およびPCBs)、硫化水素等の有害物質、ゴミ山地温の測定等のデータを提示し、埼玉県に対して周辺への汚染の拡散などの生活環境悪化のおそれを警告してきたことで、埼玉県議会、および県のゴミ山撤去担当者の放置ゴミ山問題への認識と理解を、ある程度深化することができたと考える。  ・ちなみに埼玉県は、これまで数百万円レベルの予算しか当てて来なかったごみ山対策に、2007年度ゴミ山対策費用(注1)として1億791万円、2008年度分として8128万円の予算枠を取った。充分とは言い難い額ではあるが、2007年度までに完全撤去2箇所、一部撤去(注2)2箇所、および2007年度から2008年度にかけて一部撤去中とのことである。1年間に5箇所程度の案件について処理していきたいとしていたものの、予定通りには運んでいないとみられるが、事態は僅かながら前進していると思われる。なお、これらは公費の適用のみならず、地権者や排出者、けやき基金(注3)等からの資金の併用により事例の状況に則して行なわれている。ただし一部撤去の事例に関しては、汚染源としてのゴミ山はそのまま存在するとの観点から、当会としては引き続き一貫して完全撤去を要望していく方針である。  ・今回の高木基金の助成による第3次調査においては、廃棄物の混入の多少にかかわらず、残土に近いゴミ山でも鉛含有濃度の高い山もあり、今後も目視による調査だけでなく、   実際に土壌を分析する必要がある。汚染調査の結果としては、これまでの傾向と同様に、主に土壌の鉛汚染が最も多く、それに伴って、周辺の雨水溜まり等の水質は、汚染の強いゴミ山周辺で高い傾向にあり、ゴミ山の鉛汚染による周辺環境への汚染の拡散は必至であると考えられた。このため緊急性の高い事例から早急な対策を講じることが今後も必要であることが確認された。  ・現在のところ、汚染土壌に生息する植物からは鉛は検出されなかった。しかしあくまでも検体数が少ないため、今後もデータを集積する必要がある。      (注1:撤去、関係者指導、調査費等を含む    注2:保管基準に合致するレベルまでの撤去などをいう    注3:埼玉県廃棄物協会と埼玉県が協力して、不法投棄等に対処するために昭和62年に設置された基金で、会員企業の寄付を呼びかけると共に、現在は、県内市町村・埼玉県なども積み立て金を協力して出資している。約6億円の基金積み立てを目標としている。)

その他/備考


・2007年7月5日:東京経済大学法学部のゼミにおいて、タイトル「自治体と住民」、サブタイトル[埼玉県内のゴミ山調査]として2,3年生を対象に招待講義を行なった。ゴミ山の鉛汚染問題(この時点までのデータを使用)を始め、硫化水素など有害物質の発生、蓄熱による産廃火災の危険、自治体の対応の問題点、今後の対策の必要性などについて講義した。 今後の展望   ・汚染調査の結果としては、これまでの傾向と同様に、主に土壌の鉛汚染が最も多く、それに伴って、周辺の雨水溜まり等の水質は、汚染の強いゴミ山周辺で高い傾向にあったため、基本的には今後も、ゴミ山土壌・周辺水質・植物について鉛含有濃度の調査を進める予定である。  ・鉛以外の有害重金属等について、今回の調査では高濃度汚染は見られなかったが、予算の関係で分析できた検体数が少なかったため、汚染の可能性は払拭されたとは考えられない。したがって今後も調査を継続して行なう予定である。    ・まず埼玉県へのデータの提示により、さらなるゴミ山対策の推進を求める交渉を行なう予定である。特に汚染が強く、周辺への環境影響が強く懸念されるごみ山については、県による調査や撤去対策、汚染拡散防止対策を優先的に講じるよう、申し入れる予定である。  ・2007年度事業(第3次調査)のアドバイザーである東京農工大学農学部環境毒性学研究室の久野勝治前教授(2008年3月末日退官)、および2008年度事業(第4次調査)のアドバイザーである渡邉泉助教授の指導をいただき、第1次調査から第3次調査までの結果をまとめ、日本環境学会の学会誌に投稿予定である。ただし検体数が少ない点もあることから、アドバイスにより、第4次調査(2008年度高木基金助成による調査)の結果を加えて発表する可能性もある。  ・第4次調査(2008年度高木基金助成による調査)の結果により、さらなる調査を行なうかを判断する予定である。

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