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これまでの助成研究・研修

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上関原発詳細調査による自然環境・生態系へのダメージの検証



グループ名 長島の自然を守る会
代表者氏名 高島 美登里 さん
URL
助成金額 100万円

研究の概要


中間報告

中間報告から
 上関原発詳細調査はボーリング海陸各々60ヶ所のうち、陸域11ヶ所、海域19ヶ所が完了し、現在実施中のものが陸域4ヶ所、海域2ヶ所という進捗状況である。昨年、われわれが告発した海陸ボーリング濁水垂れ流しによる約3ヶ月の中断や、現地祝島を中心とする大型ボーリング台船搬入阻止・仮桟橋設置阻止行動により、調査は大幅に遅れており、当初予定の2006年度末終了は危ぶまれている。  長島の自然を守る会は、詳細調査のダメージに対する監視・点検のため、2006年4月から計7回(4/8、4/29?30、5/6?7、5/13、7/22、8/13、9/10)の調査を実施した。田ノ浦海岸岩礫部の汚泥は昨年7?9月に比較すると少ないが、海水透明度は春夏とも昨年より悪かった。ケガキやカメノテの死殻割合の変異を追跡する為の定量調査も実施や、10/8?9に新たに湧水調査も行う。  一方、5月調査で田ノ浦湾内の浅海部で、日本海由来の海藻スギモクの群落を確認した。世界では、朝鮮半島沿岸と日本海に分布し、瀬戸内海ではわずかに大分県姫島で確認されているだけで、今回みつかったスギモク群落は、日本海に最も遠い生息地として注目される。また、環境影響評価書で事業者に追加調査を指示しているヤシマイシン近似種の卵塊数の倍増を確認し、埋め立て予定地のタイドプール(潮溜り)が繁殖地であることも証明された。近く、行政・事業者に保全のための再調査と詳細調査中止を申し入れる。  また、長島の生態系の素晴らしさと直面している危機を普及させるため、DVD&ビデオ「瀬戸内の原風景 長島」を作成し、6/25広島シンポジウム、8/5原水禁世界大会、10/14東京シンポジウムなどを開催し、上関原発中止の世論喚起に努めている。

結果・成果

完了報告から
調査研究・研修結果の概要   中国電力の原子炉設置許可のための詳細調査による自然破壊が日々刻々と進む中、詳細調査を中止に至らせることができなかったのは非常に残念である。しかし、詳細調査は2006年度末終了予定であったのが、5月30日現在陸域29本、海域24本(予定は海陸各60本)と全体の半分しか終了していない。これは、地元祝島を中心とする実力阻止闘争や私たちの告発の成果とも言える。  2006年度の調査研究の主な成果は 1.国の天然記念物であるカラスバトの鳴き声の録音に成功し、テレビで報道されたり、瀬戸内海では貴重なスギモク群落を発見するなど、自然環境・生態系の新たな解明をして、事業者や行政を追及したこと 2.ヤシマイシン近似種調査の不備追及で事業者に1号機炉心部分での生息確認を公表せざるを得なくさせたこと 3.湧水・地質など新たな研究チームの参加で、現在進行している詳細調査によるダメージを検証する新しい分野が得られ、また詳細調査のデータ改ざんを監視する役割も果たせるようになったこと 4.神社地が入会地として利用されてきたことを植生調査によって明らかにし、弁護団が物的証拠として提出するデータを提供したこと 5.生態学会地区会報No.60の発刊・学会発表・シンポジウム開催や原水禁‘ひろば’・アースデイへの出展などで上関原発の現状と詳細調査による自然破壊の告発の普及に寄与したこと などである。  一方、詳細調査による現地の自然環境・生態系の破壊は日々刻々と進んでおり、また、詳細調査終了のめどが立った時点で中国電力は埋め立て許可申請に入ると予想され、予断は許さない。  そんな折、あらたな鋼製櫓を設置した海域で、2007年6月10日、会員の現地調査でクサフグの産卵シーンの撮影に成功した。その影響か中国電力は6月12日に予定していた2機めの鋼製櫓設置を急遽延期している。山口県では光市室積海岸が県の天然記念物に指定されており、産卵地が海域ボーリング調査予定地の真っ只中であることから、緊急に中国電力・山口県に海域ボーリング調査中止を申し入れる。  2007年度は地元祝島と連携したあらたな局面での闘いを計画しており、そのため 1.基礎データの収集・集約作業を行う。 2.あらたな知見による詳細調査のダメージを検証し、告発・中止への圧力をかける。 3.海水汚濁度・自然放射線測定など、埋め立てという最悪の事態も予測し、すでに埋め立て予定地周辺の基礎データを収集しているが、今後もより広範囲に予備調査を行う。 4.ビデオ・パネル写真に続く広範な普及活動に活用できる書籍の刊行―などを準備中である。 調査研究・研修の成果  中国電力の原子炉設置許可のための詳細調査による自然破壊が日々刻々と進む中、詳細調査を中止に至らせることができなかったのは非常に残念である。しかし、環境面からの追及の手を緩めず、中国電力に種種の追加調査をさせ、ホームページ上にも自然環境調査結果を掲載せざるを得ないところまで追い込んだ。こうした成果の蓄積で現地祝島との連携強化・運動面での機能的な分担が進み、あらたな局面が開けつつあることは今後の戦いに展望を与えるものである。  また、ビデオをはじめ新たな媒体を作成し、全国でのシンポジウム開催など運動の普及面で新たな拡がりを得たことは会の今後の活動にとり、有意義である。  2006年度の調査研究の主な成果は以下の点に集約される。 1.現地の貴重な自然環境・生態系の新たな解明による事業者や行政の追及  国の天然記念物であるカラスバトの鳴き声の録音に成功し、テレビ局に報道させたり、瀬戸内海では貴重なスギモク群落を発見するなど、長島の自然環境・生態系の新たな解明をし、中国電力や行政に詳細調査の即時中止を迫った。 2.ヤシマイシン近似種調査の不備追及で事業者が生息確認を公表  環境アセスメントで通産大臣(当時)から追加調査を指示されているヤシマイシン近似種につき、長島の自然を守る会調査や生態学会調査では数度にわたり生貝や卵塊を確認しているのもかかわらず、中国電力の調査では1個体も確認できていないことを追及し続けてきた。2006年11月の中国電力に対する申入れの席上、事業者が7月に1号機炉心付近で生貝を確認していたことを公表した。現在、保全措置につき、追及中である。 3.湧水・地質など新たな側面からの調査研究の展開  湧水・地質など新たな研究チームの参加で、現地の貴重な生態系をより多面的に調査できた。その結果、長島田ノ浦の岩盤は固いが、壊れやすく水の浸透度が高いこと、豊富な広葉樹林から供給された地下水が湧水となって湾内に還流し、希少な生物層の生息基盤となっていることが解明されつつある。このことは、現在進行している詳細調査によるダメージを告発するあらたな側面になると共に、詳細調査のデータ改ざんを監視する役割も果たすものと考えている。 4.神社地裁判での植生調査からの物的証拠提出  神社地が入会地として利用されてきたことを植生調査によって明らかにし、弁護団が物的証拠として提出するデータを提供した。 5.生態学会地区会報No.60の発刊・学会発表・シンポジウム開催や原水禁‘ひろば’・アースデイへの出展などで上関原発の現状と詳細調査による自然破壊の告発の普及に寄与した。 6.ビデオやパネル写真・ポストカードなど長島の自然が直面している危機を広く宣伝する媒体作成ができた。

その他/備考

対外的な発表実績
1.シンポジウムやイベントの開催 06.6.11 スナメリウォッチング&ビワ狩りツアー 06.6.25 広島シンポジウム 06.8.5 原水禁世界大会 06.10.14 東京シンポジウム 06.11.25 下関シンポジウム 07.11.26 田布施シンポジウム 07.1.8 里山再生に向けた現地交流 07.3.10 京都シンポジウム 07.3.11 岡山シンポジウム 2.学会発表等 06.9.29 ベントス学会自由集会:上関原発計画の現状報告 07.3.20 日本生態学会分科会:大規模開発につける薬 06.12.13 県立大非常勤講師:長島と上関原発 3.寄稿原稿 06. 9 反原発新聞 詳細調査の強行による自然破壊の告発 07. 2 環瀬戸トラストニュース 詳細調査による自然破壊を阻止する闘い 07. 2 週刊「新社会」 長島の貴重な自然環境と詳細調査のダメージ 07. 2 中国五県反原発共闘 詳細調査の強行とダメージの告発 4.申入れ 06.4.10 山口県 環境監視の強化(海底浮泥堆積etc.) 06.10.13 環境省、経済産業省 カラスバト・オオコノハズクetc.保全要求、スギモク群落の保全要求、詳細調査中止 06.10.23 山口県 カラスバトの保全要求、スギモク群落の保全要求、詳細調査中止 06.11.27 山口県 詳細調査中止、ヤシマイシン近似種調査不備追及、会が実施した地盤調査に基づく脆弱性の告発と詳細調査によって損なわれる環境負荷と安全性を追及 06.12.5 山口県・中電への抗議声明 ヤシマイシン近似種の保全追及、スギモクの瀬戸内海における希少性を公表 06.12.22 山口県 ヤシマイシン近似種の保全について事業者への指導、詳細調査中止 07.1.29 環境省 ヤシマイシン近似種の保全について事業者への指導、詳細調査中止 07.3.5 中国電力 カラスバトの調査&保護要望、アキザキヤツシロランの保全について伐採即時中止要望、詳細調査(特に陸域ボーリング)即時中止 07.3.12 山口県 アキザキヤツシロランの保全について伐採即時中止要望、カラスバトの調査&保護要望、詳細調査中止 5.ビデオ・ポストカード・パネル写真の作成 1)ビデオ‘瀬戸内の原風景 長島’の完成  現地の自然環境・生態系の貴重さをビジュアルな形で伝えると共に、詳細調査による環境破壊の進行を告発するため、会の発足以降、撮りためて来た映像をビデオに集大成した。シンポジウムや各種集会などで上映し、多くの反響を呼んでいる。 2)ポストカードの作成  アサギマダラやジュウニヒトエなど生物の写真と田ノ浦の風景を組み合わせ、上関原発の中止を間接的に訴えるポストカードを作成。 3)パネル写真の作成  ビデオという動画媒体と組み合わせる形で25枚セットのパネル写真を作成し、現地の自然環境・生態系の貴重さと上関原発の中止を訴えている。東京・兵庫・山口のアースデイや宮城などでも展示が予定されている。 今後の展望  2006年度の調査研究による新たな知見で、詳細調査の中止に追い込みことは出来なかったが、詳細調査は2006年度末終了予定であったのが、5月30日現在陸域29本、海域24本(予定は海陸各60本)と全体の半分しか終了していない。これは、地元祝島を中心とする実力阻止闘争や私たちの告発の成果とも言える。中国電力は工事の遅れを取り戻すため、海域調査に日本で最大級のボーリング台船など4機もの台船を投入するなど工事の遅れを取り戻すのに躍起であり、戦いは熾烈さを極めている。  そんな折、あらたな鋼製櫓を設置した海域で、2007年6月10日の会員の現地調査でクサフグの産卵シーンの撮影に成功した。その影響か中国電力は6月12日に予定していた2機めの鋼製櫓設置を急遽延期している。山口県では光市室積海岸が県の天然記念物に指定されており、産卵地が海域ボーリング調査予定地の真っ只中であることから、緊急に中国電力・山口県に海域ボーリング調査中止を申し入れる。  一方、詳細調査による現地の自然環境・生態系の破壊は日々刻々と進んでおり、また、詳細調査終了のめどが立った時点で中国電力は埋め立て許可申請に入ると予想され、予断は許さない。  2007年度は地元祝島と連携したあらたな局面での闘いを計画している。  こうした観点に立って、以下の調査研究及び活用を行う予定である。 1.あらたな知見による詳細調査の告発・中止への圧力をかける。 2.埋め立てという最悪の事態も予測した予備調査などを行う。   海水汚濁度・自然放射線測定など、すでに埋め立て予定地周辺の基礎データを収集しているが、今後もより広範囲に予備調査を行う予定である。 3.地元祝島との連携した闘いへの基礎データの収集・集約作業を行う。 4.これまでの成果を一般市民にもわかりやすく編集した書籍を刊行する。   ビデオ・パネル写真に続く広範な普及活動に活用できる書籍の刊行を準備中である。

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