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Didid Haryadi さん | |
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USD5,000=50万円 |
2021年9月助成申込書より
ゴミ問題はどの国でも課題であるが、グローバルノース(先進国)は、原料を求めるグローバルサウス(途上国)に輸出するかたちで部分的に問題に対処してきました。インドネシアと中国は、まさにその主要なマーケットでしたが、2018 年、中国は環境汚染を防ぐ目的で、公式に海外からの廃棄物受け入れを中止したため、インドネシアの受入れ量が急増しており、国内の社会的、環境的懸念が高まっています。
インドネシアでは、ジャカルタや東ジャワ州スラバヤの国際港を経由してゴミが輸入されていますが、スラバヤに近いモジョケルト県ラカルドウォ村では民間企業のPRIA社がその受入れ先として操業しています。しかし、地元住民は、有毒物質や有害物質を含む可能性がある廃棄物を処理することについて問題視し、PRIA社の輸入廃棄物の取り扱い認可に異議を唱えています。住民らは、同村の土壌、空気、水は汚染され、子供も大人も、呼吸器症状や皮膚の炎症などを引き起こしてきたとして、住民らは、企業や政府への抗議活動を始めました。地元住民は、運動を強化するために、歴史のある環境NGOのECOTONの支援を受け有害物質のことを学び、社会運動に活かせるよう、Lakardowo Bangkit、Green Women という市民科 学グループを立ち上げました。ECOTON も同様に、特に女性を対象にしたWADULI(女性は環境を気にする)というグループを立ち上げ、人々が問題を理解し、環境管理に対する知識を身につけられるように取り組んでいます。
本研究では、そうした地元のグループがどのようにして有害廃棄物に関する知識を獲得したか、そして、科学者と地元グループがどのようにして得た知識を環境正義のために貢献できたかについて検証していきます。本研究では、現地グループや科学者、PRIA社、政府関係者、映画製作者、学者などへのインタビュー、観察、フォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)、コミュニティ参加型研究などの定性的手法でデータを収集していきます。データは、政治の専門家、市民科学、社会運動、環境正義を含む科学技術研究(STS)の文献で議論が展開されていきます。成果は研究報告書、査読付き論文集、地域?世界レベルで発行される市民科学の報告書に発表していく予定です。最終的に、廃棄物輸入の許可が企業に与えられることが再検討され、地域の焼却炉の拡大が止まることにつなげていきたいと思います。
※助成先より、PRIA社に輸入廃棄物取り扱いがなかったことが確認されたとの報告があり、半期で助成終了となった。