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福島原発事故による放射能汚染地域に住む住民の尿検査による内部被ばく実態調査



グループ名 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
代表者氏名 青木 一政 さん
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助成金額 50万円

本図は今回のプロジェクトで得られた南相馬在住被験者のデータに加 え、大崎市放射能ゴミ焼却住民訴訟で得られた同種データ(大崎玉造 周辺および対照群の仙台石巻住民)をプロットしたもの。 放射能汚染木チップを燃やすバイオマス発電事業は、ほ とんどが福島県外で行われてきていました。しかし福島第 一原発事故による汚染の影響が比較的軽度であった田村市 大越町に、「汚染がほとんど出ないフィルターを装備した施 田村バイオマス発電所の稼働開始による周辺への放射性物質汚染の計測と その記録結果の拡散 たまあじさいの会 古澤省吾さん助成金額30万円

図1. ハウスダスト(掃除機のごみ)中のCs濃度と その住民の24時間尿セシウム排泄量(Cs24ex)の関係 右縦軸は左縦軸を体内Cs量に換算したもの

研究の概要

2022年5月の助成申込書から
 我々は2017〜2020年にかけて南相馬20ミリ基準撤回訴訟原告を対象者として尿検査による内部被ばく実態調査を行った。この結果、南相馬市原町区北西部に住む住民は比較対象である西日本住民と比べ明らかに内部被ばくをしている実態が明らかになった。しかし該当調査から既に2年以上経過している。同被検者を対象として、その後の状況を明らかにする。  前回の調査の結果、特に高い値(数Bq/kg)を示した被験者はキノコ、山菜、イノシシ肉など食品からのものであることが明らかになった。一方で、比較的低濃度(1Bq/kg以下)で上下を繰り返す被検者が多く、これらが食品からの摂取によるものか、大気中粉じんからの吸引によるものかは不明で課題として残っている。  そこで今回の調査では、同被検者の家屋のハウスダストをおよび、被験者が常食するコメの精密測定も同時に行う。ハウスダストを大気中粉じんのセシウム濃度の指標値とし、コメを食品からの摂取の指標値として、低レベルでのセシウム体内蓄積の経路を明らかにすることを試みる。  今回の尿検査においては被検者の尿中セシウム濃度ではなく、24時間尿中セシウム量(Cs24ex)を測定する。これは、前回の調査の論文化の過程で、同種の研究が海外で複数存在し、それらが Cs24exを体内セシウム蓄積量(ホールボディカウンタ値)と比較する際の指標値として用いられていることが判明したことによる。

中間報告

中間報告より
 私たちは2017〜2020年にかけて南相馬20ミリ基準撤回訴訟原告を対象として尿検査による内部被ばく調査を行いました。この結果、南相馬在住者は対照群の西日本住民と比べ内部被ばくをしている実態が明らかになりました。しかし当該調査から既に2年以上が経過しています。そのため、同じ被検者を対象として、その後の状況を明らかにすることを計画しました。前回の調査では、特に高い値(数Bq/l)を示した被験者はキノコ、山菜、イノシシ肉など、食品の摂取によるものであることが明らかになりました。 一方で比較的低濃度(1Bq/l以下)で上下を繰り返す被検者が多く、これらが食品の摂取によるものか、大気中粉じんからの吸入によるものかは不明で課題として残っていました。  今回の調査では、同被検者の家屋のハウスダストおよび、被験者が常食するコメの精密測定も同時に行うことにしました。ハウスダストを大気中粉じんのセシウム濃度の指標値とし、コメを食品からの摂取の指標値として、低レベルでのセシウム体内蓄積の経路を明らかにしたいと考えています。  現在のところ南相馬住民からは予定の約半数の28名からの協力が得られました。この結果、南相馬住民は前回と同程度の内部被ばくが続いていることが明らかになりました。またコメは全て不検出(検出限界0.5Bq/kg)でした。これまでの結果からはバラつきが大きいものの、大気中粉じんの吸入によるセシウムの取り込みとの相関を伺わせる傾向も見られます。南相馬以外の被験者を増やし、個人の生活パターンも考慮に入れたセシウムの体内摂取要因を分析したいと考えています。

結果・成果

2023年8月の完了報告より
 2017〜20年にかけて、南相馬20ミリ基準撤回訴訟原告を対象として尿検査による内部被ばく調査を行いました。この結果、福島原発事故発生から6〜9年後においても、南相馬在住者は西日本住民と比べ、内部被ばくをしている実態が明らかになりました。この調査で特に高い値(数Bq/l)を示した被験者は、キノコ、山菜、イノシシ肉など、食品からの内部被ばくであることが明らかになりました。一方で比較的低濃度(1Bq/l以下)で上下を繰り返す被検者が多く、これらが食品からの摂取によるものか、大気中の粉じんからの吸入によるものかは不明で、課題として残りました。この調査から既に3年以上経過しています。同被検者を対象として、その後の状況を明らかにすることを計画しました。  今回の調査では被検者の家屋のハウスダストおよび、被験者が常食するコメの精密測定も同時に行うことにしました。ハウスダストを大気中粉じんのセシウム濃度の指標値とし、コメを食品からの摂取の指標値として、低レベルでのセシウム体内蓄積の経路を明らかにすることを大きな狙いとしました。  結果として南相馬住民28名からの協力が得られました。その他の高汚染地域として伊達市住民や、比較対象として仙台・石巻市住民など合計76名の被験者の協力が得られました。この結果、南相馬市住民では同程度の内部被ばくが継続していることや、個人によるバラつきが大きいものの、大気中粉じんの吸入によるセシウムの取り込みとの相関関係が見られ、コメからのセシウム摂取の影響は少ないことが判りました。

その他/備考


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