子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会 | ||
南波 久 さん | ||
http://kakugomi.no.coocan.jp/ | ||
80万円 |
2023年5月の助成申込書から
2020年8月13日の北海道新聞第一面において、寿都町の片岡春雄町長が高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査への応募を考えていると報じられた。その報道によると、国から核のゴミの深地層処分方法とその進め方について説明を受け、第一段階の文献調査応募で最大20億円、第二段階の概要調査の受け入れで70億円、合計90億円の交付金を受けられるので、町財政の将来を見据えて応募する考えだという、驚くべき内容であった。その後、2020年9月3日の鈴木直道北海道知事との会談においては、道の「核抜き条例」に反すると主張する鈴木知事に対して、町長は最終段階の精密調査まで進めたいとの意向を表明し、会談は平行線で終わった。
私たちが暮らす寿都町は、人口約2700人の小さな町である。この小さな町に暮らす私たちは、国の原子力の政策と片岡町長の独断により、国レベル国際レベルで検討すべき大きな課題を突き付けられた。この課題は私たちだけで解決できない課題であり、また私たちだけで話し合うべき課題ではないと考えている。これは寿都全町民、北海道民、国民全体ひいては国際的な課題であり、目先の交付金を得るという考え方ではない議論が必要である。そのような場を作りたいと考えているが、既に寿都町内ではと町民同士の分断が起きているのが現状である。私たちは、この分断を少しでも和らげ、本当の対話の場を作るために、土を耕すような活動をしたいと考えた。何も話さない、話したくない、話せないと考える寿都町民の心と対話を引き出す場づくりを行いたいと考えている。
本調査は、寿都町民である私たちが、片岡町長の独断により応募された「高レベル放射性廃棄物(以下、核ごみ)最終処分場の文献調査」が進む寿都町内で、町民同士の分断を少しでも和らげ、本当の「対話の場」を作るための調査研究とその活動です。分断が続く寿都町民同士の議論の場を持つことが、市民科学の在り方を模索することにつながると考えています。そのための「くっちゃべる会」(北海道弁で話すの意)は9月16日に実施し、19名の参加者でした。参加者の感想は、「またやってね、しゃべりたい人はいっぱいいる」、「議員と開催」「地方の会館単位で」などの意見がありました。過去の開催も含めて、意見を一覧にし、町役場と協働の対話企画などが出来ないか?という働きかけもしています。12月10日には橋本大二郎氏の講演会を開催し、74名の参加者でした。アンケートでは「賛否関係ない議論の場を作ってほしい」「学べる機会と自分の考え(分からないも含めて)を話す場を、あちこちでいろいろな主体が作ってほしい」などの意見が出ました。また会報を発行し、新聞折込と有志による全戸配布に尽力しており、本調査期間では3 回の発行を実施。当初は町内のみの発行が、他団体との連携強化により、現在は道内各地へ郵送されるようになりました。
他には、神恵内村民への聞き取りを実施しました。神恵内村は寿都から車で約1時間半の距離にあり、700 人程度の村です。自ら応募した寿都町と、国からの依頼で文献調査を受け入れた神恵内村という違いはありますが、受入後の村内の雰囲気や村民同士の関係性は?など、現状把握とネットワーク形成に努めています。今は冬で道路状況が不安定なので、寿都町民への聞き取りに切り替えています。これらの聞き取り行動と調査結果から、対話の場づくりへの打開策が見つけられればと思います。
文献調査報告書の取りまとめへ向けて、資源エネルギー庁やNUMOが大きく動いている現在、町民シンポジウム(賛成派と慎重派の専門家などの登壇。NUMOや町長の同席を実現したい)の開催へ向けて、努力しています。