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沖縄県におけるPFAS曝露と腎癌・精巣癌の関連性



グループ名 沖縄京都PFAS研究グループ
代表者氏名 徳田 安春 さん
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助成金額 40万円

研究の概要

2023年5月の助成申込書から
 PFOS、PFOA、PFNAなどのPerfluoroalkyl substances (PFAS)への曝露と発癌性との関連性を示す研究はいくつかある。PFAS曝露は日本人においてすでに広がっているが、血中PFAS濃度と発癌性の関連について日本人を対象にした研究はまだない。PFASは地域住民の生活にとって重要な飲料水に含まれる残留性環境汚染物質であり、健康影響を調べることは大切である。中でも、悪性腫瘍の発生数は近年増加しており、この物質の関与を調査することで、曝露を減らすなどの予防対策をとる必要性が明らかになる。今回の研究は、症例対照研究を行い、外来受診時に得られた採血検体を用いて、腎癌と精巣癌の患者の血中PFAS濃度の測定を行う。データ解析については、多変量ロジスティック回帰モデル分析を行い、交絡因子を調整した上で、PFAS血中濃度と癌の既往との関連を解析する。PFAS血中濃度と発癌性との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うよう自治体や政府等へ働きかけを行うエビデンスとして研究結果を活用する。

中間報告


 本研究は、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物の略)の人体内での血中濃度と発癌との関連をみる目的で行われています。PFAS は、水や油をはじく、熱に強い等の特性を持ち、消火剤等に用いられる化学物質です。飛行場で使われる泡消化剤にも用いられていることから、沖縄県内の米軍基地でも使われています。PFAS 曝露は健康への有害性が示唆されており、基地内で使用後のPFAS が付近の地下水や河川に流れ、飲水などで地域住民の体内に取り込まれていることが危惧されています。この物質はForever Chemical とも呼ばれているように分解されにくく、体内に長年留まるので、すでにさまざまな健康問題をきたしている可能性があります。昨年度までの2年間の研究では、445人の対象者で採血を実施、PFASのうち、いくつかの物質の血中濃度と沖縄県民の血中善玉コレステロール濃度低下との相関を認めました。
 一方、PFAS濃度と新型コロナワクチン接種後の中和抗体価との関連は認められませんでした。今回は、PFAS血中 濃度と発癌との関連のなかで最も可能性が示唆されている腎癌と精巣癌との関連を検討しています。PFAS血中濃度と発癌性との関連を認めた際には、PFAS曝露を最小限にするための政策介入を行うよう自治体等へ働きかけを行う予定です。近年、沖縄の人々では癌が増えてきており、沖縄県での調査研究が必須と考えています。現在、共同研究者である中部徳洲会病院の職員との打合せを重ね、今回の研究対象としている患者さんからインフォームドコンセントを取得したうえで、院内で採血しています。これらのサンプルについて、京都大学の共同研究者に依頼し、PFAS濃度の測定・分析をすすめているところです。2024年4月にはデータ解析を開始して、5月には結果が得られる見通しです。

結果・成果


 我々は、血中の残留性有機汚染物質perfluoroalkyl substances (PFAS)濃度の増加と腎がんとの関連をみる研究を行いました。PFAS曝露によって免疫機能が低下し、腎臓での発がんに至ったかを調べる研究です。研究対象は沖縄県の医療機関(中部徳洲会病院泌尿器科)に通院する患者さんです。研究を行う際に立てた仮説は「腎がんを罹患した人々ではPFAS血中濃度が高い」でした。研究デザインは症例対照研究です。研究参加に同意した人々から採取した血液検体を用いて、PFAS濃度の測定は京都大の共同研究者のラボで実施しました。対象者は腎がん患者100人と対象者398人でした。合計498人でPFAS12種類を測定しました。年齢と性別を調整した多変量解析を行った結果、12種類のPFASの血中濃度増加と腎がんの罹患には関連を認めませんでした。以下に要約を示します。
  研究目的: PFAS濃度の増加と腎がんの関連を調査。
  研究対象: 沖縄県の医療機関に通院する腎がん患者100人と対照者398人。
  方法: 症例対照研究で、京都大学のラボでPFAS濃度を測定。
  結果: 12種類のPFASの血中濃度増加と腎がんの罹患には関連なし。
 2025年度は、引き続き他の健康影響について検討する予定です。

その他/備考


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