遺伝子組換え食品を考える中部の会 | ||
河田 昌東 さん | ||
http://gm-chubu.sakura.ne.jp/ | ||
40万円 |
2023年5月の助成申込書から
本調査・研究では、輸入ナタネの運搬経路である国道23号沿道(三重県四日市市-松阪市)における遺伝子組み換え(GM)ナタネおよび、GMナタネとの交雑が懸念されているアブラナ科雑草(イヌカキネガラシ・ハタザオガラシなど)の自生状況を定期的に調査し、なるべく多くの検体を検査することによって自生ナタネの分布状況・GM率等を把握する。
当会から製油会社へのはたらきかけによって四日市港穀物サイロの出庫ユニットにエアシャワーが設置されており、運送車両へのナタネの付着が軽減されていることが予測されているが、この調査によってその効果を把握する。
また、新型コロナ感染対策のために大規模抜き取り調査が数年にわたり実施できなかったが、その影響についても考察する。
これらの調査・研究結果を当会のウェブサイトやさまざまな報告会での公開を通じて一般市民と共有し、当該地域でのGMナタネに関する啓発運動、自生拡散防止・交雑防止活動に役立てる。
さらに、この調査・研究結果を地方自治体および環境省・農林水産省等へ提出し、遺伝子組み換え作物の与える影響を提示し、カルタヘナ国内法の改正への足がかりをつくる。
ナタネ油(キャノーラ油)の原料であるナタネの国内自給率は0.1%以下であり、ほとんどを輸入ナタネに依存していますが、その9 割以上が遺伝子組み換え(GM)ナタネです。輸入ナタネは製油工場へと運搬されますが、その経路でこぼれ落ち、自生しています。当会では毎年、自生GMナタネの調査・抜き取り活動を継続するとともに、アブラナ科植物との交雑状況も調査しています。
これまでに、2024年春に実施予定の大規模調査(抜き取り隊)の準備を進めるとともに、調査対象地区で小規模調査を2回(2023年10月/ 同12月)実施しました。
2023年10月の小規模調査は、三重県四日市市?津市間(約27km)で実施しました。自家用車で走行しながら目視でナタネの自生状況を確認しつつ、四日市港港湾合同庁舎付近および鈴鹿市白子付近で検体を採取しました。セイヨウナタネの検体6本のうち、遺伝子組み換え簡易検査でRR(除草剤ラウンドアップ)に陽性反応を示したものが2検体、LL(除草剤バスタ)陽性が1検体でした。また、この日の調査でブロッコリーに似た外見の検体(検体番号:20231001-05z)も採取しましたが、簡易検査でLL 陽性であったため、交雑が疑われます。
また、2020年に採取した、外見がブロッコリーに似た検体から採取して保管してあった種子を、プランターに播種・栽培して、観察しています。
2023年12月にも小規模調査を実施し、鈴鹿市白子付近で17検体を採取。10検体がRR陽性、2検体がLL陽性でした。
これら、GMナタネとアブラナ科植物との交雑が疑われる検体については、PCR検査で遺伝子組み換え配列を確認するとともに、DNA量を測定するためにフローサイトメトリー* を実施しました。こうした検査結果の考察については、今後検証していく予定です。
*フローサイトメトリー:細胞にレーザーをあてて蛍光シグナルなどを検出することによって、複数の細胞の物理的かつ科学的特性を同時に分析する手法
菜種油(キャノーラ油)の原料であるナタネの国内自給率は0.1%以下であり、ほとんどを輸入ナタネに依存しているが、その9割以上が遺伝子組み換え(GM)ナタネである。輸入ナタネは輸入港から製油工場までトラックで運搬されるが、その経路でこぼれ落ち、自生している。当会では2004年から名古屋港・四日市港周辺の自生GMナタネの調査を開始し、2006年からは自生拡大を防ぐために、市民ボランティアを募集して抜き取り活動を毎年実施し、アブラナ科植物との交雑状況も調査している。
今年度の助成期間中には、輸入ナタネの輸送経路である三重県国道23号沿道を中心に、小規模調査を5回実施。その調査で、これまでGMナタネが発見されていなかった地域での自生を確認した。
2024年3月の大規模調査では、市民ボランティアの協力の下、519本のナタネの抜き取りを行った。うち65本を簡易検査したところ、51.3%がGMナタネであることが確認された。
また、小規模調査では、ブロッコリー様の外見の検体を採取し、簡易検査・PCR検査などでGMであることを確認した。当会では、GMナタネとアブラナ科の雑草(イヌカキネガラシ・ハタザオガラシ)や農作物(ブロッコリー、キャベツ、ダイコンなど)との交雑が起きているのではないかと懸念しているが、PCR検査では交雑の確定が難しいことがわかっている。そのため、種の同定を行うために、DNA量を測定するためにフローサイトメトリーを行ったが、今回の検査では交雑を証明するには至らなかった。今後は、交雑を科学的に証明する手法の確立を行っていきたい。