高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

これまでの助成研究・研修

トップページ  > これまでの助成研究・研修 > 助成事例の詳細


日本型エコツーリズムの自然科学・社会科学的研究



グループ名 助成研究の完了報告書[pdf15kb]
助成研究の完了報告書[pdf15kb]
代表者氏名 奧田 夏樹 さん
URL
助成金額 40万円

研究の概要

2005年12月の助成申込書から
 エコツーリズムは近年急速に普及しつつあるが,その効果とされる,1)持続可能な自然利用,2)環境教育,3)地元経済の振興,はいずれも未整備で,利用実績のみが先行している。  このため西表島のような自然豊かな地域では,むしろ自然破壊要因となっているのが実情である。  またエコツーリズムは元来発展途上国向けの方法論で,自然資源を直接利用すること(森林伐採など)に比べ,観光資源として利用する方が消耗度が低く,より持続的利用が可能で,且つ同様の現金収入が得られる条件で成立する。  だが日本などの先進国では社会的背景が大きく異なるため,本来の意味のエコツーリズムは成立し得ない。  従って,極力導入すべきではない方法論であると言える。  2005年度の助成により,西表島における観光の現状,特にエコツーリズムによる自然利用のモニタリングと聞き取り調査などは進展しつつある状況である。  またこの間,林野庁西表森林環境保全ふれあいセンターとの意見交換により,ヒナイ川流域における自然体験型ツアーの保全利用協定締結のための取り組みも始まった。  さらに進行中の研究成果は,日本生態学会53回大会における自由集会「市民としての生物学者と自然観 −自然環境の保全・再生で求められる自然観とは−」にて発表することが決定している。  本研究では,前回申請時の当初計画からは洩れた,小笠原諸島における自然体験型観光の実態調査を,自然科学および社会科学的アプローチで実施する。  なお,本研究ではエコツーリズムを主たる対象とするが,エコツーリズムを名乗らない自然体験型観光全般も含むものとする。 【 この助成先は、2005年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2005年度の助成事例 】

中間報告

2006年10月の中間報告から
 前年度助成を受けた「エコツーリズムが自然環境に及ぼす影響についての研究」では、沖縄県八重山諸島の西表島をフィールドとして、自然を利用する新たな観光産業以上の取り組みではない日本のエコツーリズムの実情について、ガイドツアーが現地で自然環境にどのような悪影響を与えているかについて、主として自然科学的アプローチによって、具体的に状況を把握することを試み、一定の成果を得ることができました。  エコツーリズム問題は自然・文化の地域性を扱うので、問題の背景や詳細は、当然地域によって多様であることが予想されます。  そこで本研究では、西表島とは歴史的背景、自然が大きく異なる小笠原諸島を対象に、社会科学的視点もより取り入れながら、エコツーリズムについて調査を実施し、日本におけるエコツーリズム問題をより多面的に明らかにすることを目的としていました。  当初申請では、夏期に現地調査を予定しておりましたが、まだ実施できない状況です。  その理由は、夏期頃の前国会時に、与党から“エコツーリズム推進法”が提出される動きとの情報を得たため、急遽上京し、永田町でのロビー活動等をしていたためです。  関連法案は本国会に持ち越しになったので、引き続き啓蒙活動を続け、状況が落ち着いてから現地調査に取りかかる予定です。

結果・成果

2007年4月の完了報告から
A:自然体験型観光による自然環境の利用実態調査  計画では、小笠原諸島で約2週間の日程で実施する予定であったが、沖縄から東京に移り住むなど、一身上の都合により実現しなかった。 B:エコツーリズムに対する導入地域の行政,業界,地域社会による具体的取り組みの調査  Aと同様、諸事情により実施できなかった。 C:成果の公表  新規の研究成果はないので、公表していない。  昨2006年度に助成され行なった研究の主要成果は、2007年3月に発行(5月印刷)された、沖縄大学地域研究所紀要「地域研究」第3号に、論文:「日本におけるエコツーリズムの現状と問題点―西表島におけるフィールド調査から―」として掲載された。 D:申請外だが助成課題に関連した活動  日本では、近年観光立国の動きが顕著であるが、本来はそこで生まれ育った人々が、地域的アイデンティティを形成するよすがとなる、風土や物産などを、いわゆる近現代の経済的視点からのみ評価する「観光資源」というものの見方は、風土や物産が育まれてきた歴史過程では経験しなかった、地域のテーマパーク化や物産の持続不可能な過消費をもたらす、マス・ツーリズムを含めた大量消費に繋がる懸念が大変強い。  産業としてのエコツーリズムを含む近年の政府、与党による観光立国傾向はこの流れで行なわれていると考えられる。  そこでこうした近年の動きに対し、2006年夏に、永田町で議員、政党を訪れ啓蒙活動を行なった。

その他/備考


HOME助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い高木基金について
ENGLISHサイトマップお問い合わせ 個人情報の取り扱い