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諫早湾干拓事業に伴う「有明海異変」に関する保全生態学的研究



グループ名 諫早湾保全生態学研究グループ 調査研究の概要[pdf38kb]
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代表者氏名 佐藤 慎一 さん
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助成金額 30万円

研究の概要

2004年12月の助成申込書から
 日本や韓国など東アジア各国では、近年大規模干拓工事により広大な干潟・浅海域が急速に失われつつある。  有明海の諫早湾奥部では、1997年4月14日に諫早湾干拓事業による堤防の閉め切り(潮止め)が実施された。  そして翌1998年には赤潮による漁業被害が出始め、2000年に海苔養殖が大打撃を受けた。  2004年8月には漁業者の求めた干拓工事の差し止め請求を佐賀地裁が認め、干拓工事が中断したが、その後の福岡高裁と最高裁判所での原告敗訴および公害等調整委員会の裁定により、干拓工事は再開されて現在もまだ問題は残されたままになっている。  しかし、今後もし水門を解放して海水を導入することがあれば、再び泥干潟が形成される可能性は十分に残されている。  本研究グループは、一貫して諫早湾干拓事業と「有明海異変」の因果関係の究明を行い、水門開放の必要性を訴えている。  これが実現すれば、有明海は再び「宝の海」として蘇るに違いない。  本研究では、干拓堤防閉切り前から行われている採泥調査を今後も継続して行うことで、将来、行われるべき中長期開門調査に向けて検証可能な実証データの蓄積を目的としている。  本研究により得られた成果は、中長期開門調査の実施をせまる理論的根拠として用いられるとともに、水門開放後に行われる調査に対して、共通した精度で比較可能な水門開放以前の基礎データを供給することができる点で非常に重要である。

中間報告

中間報告から
 諫早湾奥部では,1997年4月14日の潮受け堤防の閉切りにより,3,550haの広大な干潟・浅海域が一度に失われ,その影響は有明海全域の環境や生態系に及んでいる.しかし,現時点では前面堤防が未完成であり,今後に水門を解放して海水を導入することで,再び干潟が形成される可能性は十分に残されている.本研究では,潮受け堤防の内側と外側の海域約80定点を対象にして,採泥調査で得られた試料を分析することにより,諫早湾干拓堤防閉切り後の継続した水質・底質・底生生物相のモニターを行なっている.2005年度の前半では,6月1-2日に有明海奥部50定点における採泥調査行った.同様の調査は,1997年6月から毎年連続で行っているが,本年は昨年と同様に島原沖でビロードマクラ(二枚貝類)のマットが見られるなど,底生生物相に大きな変動はなかった.これは,1997年から2000年にかけて底生生物が急激に減少した後、わずかな種だけが極端に増殖しては消滅を繰り返す状態が続いていることを示しており,有明海奥部の底生生物相は、依然として多様性が低く,不安定で貧弱な群集の状態で推移していることが明らかになった.一方,8月17-18日には,諫早湾干拓堤防の内側と外側において,それぞれ15-16定点の採泥調査を行った.干拓堤防内側の調整池では,2000年以降はほとんど底生生物が見られない状態となっているが,今年も同様の「死の湖」状態であった.干拓調整池の大部分にアオコが発生するなど,水質条件も悪化したままであるとの印象を受けた.また,8月19-20日には長崎大学でソーティング研修を行い,参加者全員が高度なレベルで高次分類群の仕分けができるようになった. 調査研究・研修の進捗状況・計画の変更などについての特記事項  助成金の全額を,本年6月と8月の採泥調査およびソーティング研修で使用した.できれば,さらに本年11月と翌年3月にも同様の採泥調査を行いたいと願っているが,残念なことに,現時点では資金の目処がつかない状態である.今年度の後半は,主に2004年11月と2005年6月に採集した試料のソーティングおよび各分類群の種の同定・計数などを行い,データの分析を集中的に行う予定である.

結果・成果


その他/備考


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