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内モンゴル沙漠化防止に取り組む日本の植林団体に関する調査研究



グループ名 内モンゴル沙漠化防止植林の会 完了報告書[pdf211]
完了報告書[pdf211]
代表者氏名 ボリジギン・セルゲレン さん
URL http://www2.neweb.ne.jp/wd/sergelen/desert.html
助成金額 100万円

研究の概要

2003年12月の助成申込書から
【背景】  内モンゴルの砂漠化防止に取り組む日本の植林団体の緑化計画や実施方法について、疑問を投げかける現地政府関係者や住民は少なくない。  現地の緑化環境に配慮しない植林協力は現地住民に支持されない。  計画が適切でなかった場合、地下水位の低下、土地のアルカリ化など多くの問題を今後長い年月にわたって引き起こしていくのである。  しかし、支援そのものに対する現地からの点検が難しく、団体自体による自己点検も殆ど行われていないのが現状である。 【経過】  2004年5-7月にかけて、対象となる日本の植林団体への聞き取り調査を実施した。  2004年8月に、内モンゴルで、植林活動を受ける側への聞き取り調査の準備を行ったが、聞き取り調査自体は、次年度に持ち越した。 【成果】  日本の植林団体は、砂漠化防止活動において一定の規模をなし、着実に成長していると言える。  一方で、明確なビジョンと、ビジョンを達成するための戦略に欠ける、助成金を獲得する役割だけが強調される傾向がある、植林計画立案に現地住民の参画が不足している、団体内部での評価制度が確立されていないなどの課題も明らかになった。 【今後の展望】  昨年度までの調査結果を、それぞれの植林団体での自己点検に活用されるように、それぞれの団体に配布する。  2005年度も高木基金の助成を受けて、完了しなかった現地側への聞き取り調査などを実施する。 【 この助成先は、2005年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2005年度の助成事例 】

中間報告

中間報告から
 日本の植林団体の殆どが非営利的な活動団体として内モンゴルの砂漠化防止植林活動している。これらの団体は、その組織形成からNGOに分類される。しかし、日本においてNGOは最近でこそ多くが組織されているものの、関連法制度や行政の支援体制などは未整備の状態にあり、世間一般におけるNGOに関する認識は必ずしも高くない。したがって、このような発展生成地上にあるNGOの活動状況を調査研究することは、実に複雑で困難な作業である。また、調査研究の基準が定まらず、研究に際しての評価や検証にも各種の問題が生じる。  本調査研究では、上記の問題点を踏まえて、内モンゴルにおける日本の植林団体が掲げる植林に対する考え方を、主に聞き取り調査を通じて把握し、それを活動地域の関係者や住民に照合することで、当該団体がどの程度その目標を達成したのか、また当該団体の活動が現地においてどの程度理解されているかなどを検証することを目的とした。  調査研究はボリジギン・セルゲレンと奥田進一(拓殖大学)が分担し、2004年7月末までに日本国内の植林団体への聞き取り調査を完了させ、8月より現地調査を実施した。奥田は内モンゴル西部の植林地は奥田が、東部の植林地はセルゲレンがそれぞれ担当した。  植林地までの移動と植林地間の移動は困難を極め、また十分連絡取り合いながらも、現地協力者を探し出すのに予想外の時間を要したため、調査には当初の計画を遥かに上回る時間を必要とした。しかし、多くの植林団体が調査に協力的で、その成果を期待していた。

結果・成果

完了報告から
調査研究・研修の経過  下記の通り研究調査を行なった。  2004年05?06月 調査対象団体への聞き取り調査の願いを送付  2004年06?07月 各団体への聞き取り調査  2004年08月 内モンゴル自治区フフホト市において、調査研究における現地関係者との合同勉強会  2004年08月 各団体現地協力者、植林地、緑化地域への聞き取り調査  2004年末 高木基金への中間報告 調査研究・研修の成果 研究調査を通じて、下記のような成果を得た。  まず、日本の内モンゴルにおける沙漠化防止緑化団体の基本的な状況を把握することが出来た。  次に、各団体が行なう砂漠化防止対策の多様な活動を一定の基準を設け、この基準に基づいて評価することを可能とした。  この調査研究に基づいて、下記のように各団体の現状をまとめることが出来る。 各団体の基本状況  一、各団体は、90年代初期や設立間もない頃を比べて、現地事情への把握が進んでいる。それは最近になって、長期を含む現地駐在員が増え、現地社会への浸透と理解が増していることを物語っている。  二、植林を行なう独自の方法と能力を備えるようになった。以前は政府頼みだった技術や住民の動員には、現在独自の植樹技術や苗つくりを試み、また現地住民の間に独自のネットワークを作り、動員できるようになっている。  三、植樹や苗つくりにおける技術開発が現地政府、団体などの植樹活動に活用されることも多く、現地住民や政府における影響力は増している。  よって、各団体は植林など砂漠化防止活動において一定の規模を成しただけではなく、現地に根ざした沙漠化防止の草の根運動が確実に成長していると言えよう。 各団体の問題点、疑問点 1.明確なビジョンとこのビジョンを達成するための明確な戦略に欠けているといえる。4割りの団体はなんらかに現地関係者の要請に応じるための組織で、日本から助成金を獲得する役割だけが強調される傾向にある。 2.現地住民など沙漠化の直接原因で、また直接被害者である主体への接近が不足していると言える。植林実施の動機に、2割の団体は技術移植をメインに、4割の団体が政府または特定の個人の要請などによる支援で、その立案過程に住民の参加は基本的に認められていない。 3.各団体共通の問題だが、リーダーの養成が遅れ、7割の団体において担当者、責任者が70歳以上で、後継者の養成が急務になっている。 4.資金調達で公的な助成や企業寄付に頼っている傾向が高い。全体事業費、事務費の7割以上が助成金によって補っている団体は7割もあり、事業費の助成金頼りは自由な現地主導の事業立案に影を落としている可能性が高い。 5.普遍的に存在する深刻な問題はこれらの団体内部において評価制度が確立されてないということである。非営利的であるからこそ事業実施の効率化が図られなければならない。そのためにも自己評価制度の実施、確立化を期待したい。 6.NPO法人化など正規な活動法人への登録なども比較的消極的で、開かれた組織というイメージ作りの必要性を感じる 7.各団体の主旨、活動、経験を社会一般や政府、企業への提言、PR活動は少なく、多くの団体に見られない。

その他/備考

対外的な発表実績
2004年11月06 内モンゴルにおける砂漠化防止団体の土地所有に関する考察 セルゲレン 拓殖大学草原保護法に関する国際シンボ。 今後の展望   今後、今回の調査研究の結果を下記のように社会、関連組織に返還する。まず、調査研究に用いた調査項目を改修し各団体に配布する。調査項目は団体の自己適正診断に用いられることを望みます。次に、報告書の作成、配布を通じて、団体間の相互理解、把握を促進する。

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