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在沖米軍基地による環境問題解決に向けての市民参加型システム作り



グループ名 沖縄環境ネットワーク 調査研究の概況[pdf511kb]
調査研究の概況[pdf511kb]
調査研究の概況[pdf511kb]
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代表者氏名 砂川 かおり さん
URL http://homepage1.nifty.com/okikan/
助成金額 60万円

研究の概要

2002年12月の助成申込書から
 この研究は、在沖米軍基地の環境問題が、日米両政府だけで非公開で議論されている現在の制度を改め、米国における地域レベルの環境回復諮問委員会(関係者が参加して議論する協議会)をモデルにして、米軍基地周辺で発生している環境問題の解決に向けての市民参加型システムづくりを目指します。  具体的には、具志川市在沖海兵隊キャンプ・コートニーのクレー射撃による鉛汚染問題を事例として、地域住民との勉強会や各種環境調査を行い、その結果をもとに、米軍や政府と話し合う場を設定し、鉛汚染問題の解決を政府と米軍に求めていきます。  その対話のプロセスを通して、米軍基地周辺で発生している環境問題解決に向けた市民参加によるシステムづくりの可能性や問題点を研究します。  さらに、同じ問題を抱える米国、ベトナム、韓国、フィリピンのNGO等と協力して、米軍の活動や基地による環境問題の情報交換や国際ワークショップを開催します。 【 この助成先は、2002年度にも同様のテーマで助成を受けています → 2002年度の助成事例 】

中間報告

中間報告から
 本研究は、在沖米軍基地の環境問題を日米両政府だけで非公開で議論している現在の制度を改め、米国における地域レベルの環境回復諮問委員会(市民を含む関係者が参加して議論する協議会)をモデルにして、沖縄県において、米軍基地周辺で発生している環境問題の解決に向けての市民参加型システムづくりを目指しています。調査研究の方法は、具志川市在沖海兵隊キャンプ・コートニーのクレー射撃による鉛汚染問題を事例としてとりあげ、地域住民との勉強会を通して、各種環境調査を行います。そして得られた調査結果をもとに、米軍や政府と話し合う場を設定し、鉛の分布調査や包括的な環境影響調査、鉛の除去作業を政府と米軍に求めていきます。そしてその対話のプロセスを通して、米軍基地周辺で発生している環境問題解決に向けて市民参加によるシステムづくりの可能性や問題点を研究します。進捗状況は以下の通りです。  4月に、在沖海兵隊に対して、旧クレー射撃場の鉛散弾の影響地域(米軍施設内)に自生するヒジキ中の鉛濃度調査のため、立入りを申請。在沖海兵隊より「必要性が認められないの許可できない」との回答があったため、4月と5月に、鉛散弾の影響地域周辺の沿岸域に自生するヒジキを採取し、ヒジキ中の鉛濃度を測定しました。その結果、影響地域に隣接する内湾側の岩礁域に自生するヒジキ中の鉛濃度が、影響地域のヒジキ中の鉛濃度と同レベルの値であることが確認されました。私たちは、6月に地域勉強会を開催し、この結果を住民の方々と共有しました。また、この件に関して、沖縄県独自の環境調査の実施を求める陳情を沖縄県議会に提出したところ、全会一致で可決されました。世論の盛り上がりを受け、沖縄県は、9月1日に環境調査のための立入りを日米合同委員会に申請しました。 計画の変更 【勉強会】 6月:第1回勉強会(問題の背景について、周辺海域の底生生物相調査結果、周辺海域のヒジキ中の鉛濃度調査結果 発表) 10月:海水中の鉛の溶出実験実施、第2回勉強会(「沿岸域の鉛の化学」についての講演、 海水中の鉛の溶出実験方法及び結果発表、地域住民のヒジキ消費量調査方法説明) 11月:地域住民のヒジキ消費量調査実施 12月:第3回勉強会(地域住民のヒジキ消費量の調査結果発表、影響地域のヒジキと底質の鉛濃度調査方法説明) 1〜2月:影響地域のヒジキと底質の採取(地元住民へ協力を依頼する。) 2月:底質とヒジキの鉛濃度分析 3月:第4回勉強会(調査結果まとめ、政策提言まとめ)

結果・成果

完了報告から
(1)キャンプ・コートニーのクレー射撃による鉛汚染問題に関する研究  4月に、在沖海兵隊に対して、旧クレー射撃場の鉛散弾の影響地域(米軍施設内)に自生するヒジキ中の鉛濃度調査のため、立入りを申請しました。在沖海兵隊より「必要性が認められないの許可できない」との回答があったため、4月と5月に、鉛散弾の影響地域周辺の沿岸域に自生するヒジキを採取し、ヒジキ中の鉛濃度を測定しました。その結果、影響地域に隣接する内湾側の岩礁域に自生するヒジキ中の鉛濃度が、影響地域のヒジキ中の鉛濃度と同レベルの値であることが確認されました。私たちは、6月に地域勉強会を開催し、この結果を住民の方々と共有しました。また、この件に関して、沖縄県独自の環境調査の実施を求める陳情を沖縄県議会に提出したところ、全会一致で可決されました。世論の盛り上がりを受け、沖縄県は、9月1日に環境調査のための立入りを日米合同委員会に申請しました。  一方で、私たちは8月に、沖縄県知事に対して、キャンプ・コートニーのクレー射撃影響地域等における沖縄県独自の鉛の環境影響調査について提言を行いました。しかしながら、沖縄県は、鉛の分布調査等は沖縄県が既に国に要請している項目であるという理由から、私たちが提言した、現状把握のための鉛分布調査等を調査項目には加えませんでした。そのため、私たちは11月に、日米合同委員会に対して、「在具志川市米軍キャンプ・コートニーのクレー射撃場跡地、並びに周辺海岸域における沖縄県当局におよる、鉛の環境影響調査実施のための立入許可の要請並びに、沖縄県の環境影響調査にかかわる意見書」を提出しました。  沖縄県がどのような調査項目を国に要請したのかについても、日本政府への配慮から、沖縄県は情報公開をためらい、11月の第2回沖縄環境審議会での説明資料において、調査項目は初めて明らかになりました。 沖縄県が選択した調査項目の採択根拠が乏しいと判断した私たちは、沖縄県の情報公開条例を利用して、沖縄県が日米合同委員会に申請したキャンプ・コートニ内の環境調査の項目について、決定された経緯がわかる公文書の開示を12月に請求しましたが、1月に沖縄県から該当する公文書は不存在と回答されました。  米軍の鉛汚染問題について、国の説明責任が不十分であってもなお、沖縄県は国との摩擦を避けるために、最も重要な調査項目を省いて申請しました。本来、沖縄県民の健康と安全を守るための沖縄県の主体的な調査が必要であったはずですが、科学的な根拠も示さずに、国との対立が生じない枠組み内で要請項目を限定していく沖縄県当局の姿勢は当然のことながら問題にされるべきですが、この国と県のもたれあいの仕組みは、文書を残さないという方法によって不文律化され、議会の監視も十分に機能していません。このような状況の中、独自の調査結果をもとに、適切な環境調査の実施についての提言を、第3者団体である沖縄環境ネットワークが、日米合同委員会に提出できたことは、現場の状況を政策決定者へ伝えるという点から非常に意義ある活動であったと思います。今後も、本件については引き続き検証していきたいと思います。  そのような中、平成15年度第2回沖縄県環境審議会において、沖縄環境ネットワークの活動などを参考に、「米軍に対する環境保全に関する要請」のあり方が議論されました。特に、キャンプ・コートニーの鉛汚染問題で、沖縄県が米軍及び日本政府に対して電話による照会が多かったことから、国の説明責任はもちろんであるが、沖縄県当局の説明責任を果たす意味でも、米軍に対する環境保全に関する要請や申し入れ、及びその回答が文書に記録として残す、文書主義を徹底することなどが委員から指摘されたことは、公的機関が現状を認識したという点で評価できるものでありました。さらに、平成15年度第3回沖縄県環境審議会において、「基地環境問題の情報公開等に関する四提言」が沖縄県知事に提案さました。その提言の一つに、「4.情報公開等に関する調査研究?基地環境問題に関する情報開示、意思決定への県、市町村、住民の参加の仕組みづくりの調査研究を沖縄県は関係機関との連携のもとに実施することが求められます」が入ったことは、私たちが2年間かけて行ってきた活動が、沖縄県の政策として必要であることを公的な諮問機関が認めたという点においては、大きな前進であったと思います。  また、これまで、日米地位協定によって、キャンプ・コートニーのクレー射撃の影響地域において、ヒジキなどの試料を入手することはできませんでしたが、2004年2〜3月に試料が入手できたことは非常に大きな前進であります。これによって次年度は、試料中の鉛濃度の分析などを行って、独自に環境影響を評価することが可能になりました。 (2)「関係者間の技術的サポートシステム構築可能性調査」  2001年度の助成事業で未完了になっていた本調査の結果は、別紙の高木仁三郎市民科学基金 2002年度助成事業報告書で報告いたします。

その他/備考

対外的な発表実績、今後の展望
2003年 6月・沖縄環境ネットワーク通信22号で、米軍基地の環境調査プロジェクト報告(3)を発表。 8月・宜野湾市基地対策協議会で、本研究の目的や取り組みを紹介。 ・韓国京畿道議政府市ローカルアジェンダ21の招聘講演で、本研究の目的や取り組みなどを紹介。 ・沖縄県知事に、影響地域周辺の海岸域におけるヒジキ中の鉛濃度測定調査報告書と共に、「沖縄県独自の、在具志川市米軍キャンプコートニーのクレー射撃跡地、並びに周辺周辺海岸域における鉛の環境影響調査への提言」を提出した。 9月・沖縄環境ネットワーク通信23号で、米軍基地の環境調査プロジェクト報告(4)を発表。 11月 アジア太平洋の平和・軍縮・共生のための国際会議(PDSAP)の分科会で、本研究の成果などを報告。 ・日米合同委員会に対して、「在具志川市米軍キャンプ・コートニーのクレー射撃場跡地、並びに周辺海岸域における沖縄県当局におよる、鉛の環境影響調査実施のための立入許可の要請並びに、沖縄県の環境影響調査にかかわる意見書」を提出した。参考資料として、影響地域周辺の海岸域におけるヒジキ中の鉛濃度測定調査報告書を添付した。 2004年 1月 ・沖縄環境ネットワーク通信24号で、米軍基地の環境調査プロジェクト報告(5)及び、フィリピンの米軍基地跡地視察報告を発表。 ・世界社会フォーラム(インド、ムンバイ)の国際反米軍基地会議及び、軍事基地の環境問題に関するワークショップへ参加報告。 “Environmental Problems Caused by US Military Base ”by Kaori Sunagawa, ”Report on US Base & Military Presence in Asia” 9p, prepared by Asia Peace Alliance, January 2004 3月 ・「けーし風」42号(新沖縄フォーラム刊行会議 発行)で、世界社会フォーラム参加報告を発表。 今後の展望   初期の目的に向けて、下記のとおり、事業を継続します。 (1)キャンプ・コートニーのクレー射撃による鉛汚染問題に関する研究  【1】2004年2〜3月にキャンプ・コートニーのクレー射撃の影響地域のヒジキの試料を入手し、4月に分析を行いました。近日中に報告書を作成します。  【2】2004年3〜4月に、キャンプ・コートニー周辺住民のヒジキ消費量調査を実施しました。現在、結果を分析しており、近日中に報告書を作成する予定です。  【3】【1】、【2】の調査結果がまとまった時点で、第3回地域勉強会を実施し、地域住民の皆さんと今後の活動について議論していきます。  【4】引き続き、沖縄県議会や環境審議会等へ調査結果を提供し、行政の取組みを促していきます。  【5】沖縄県環境審議会から沖縄県知事に出された「基地環境問題の情報公開等に関する四提言」(米軍基地環境問題に関する情報公開等の調査研究事業の実施など)を具体化できるように沖縄県議会等へ働きかけます。 (2)国際的なネットワークの強化  【1】第2回軍事活動と環境に関する国際ワークショップ(韓国)の開催支援及び、参加。  【2】国連環境計画が実施する「軍事活動への環境法への適用に関する調査」へのNGO意見の提出。 (3)関係者間の技術的サポートシステム構築可能性調査  【1】宜野湾市民対象のアンケート調査結果の英文翻訳(宜野湾市長訪米行動に資するため)  【2】労働組合との協働した、基地従業員対象のアンケート調査の実施  【3】県内自治体を対象にしたアンケート調査の実施  【4】これまでの調査結果と提言をまとめた報告書の作成  【5】政策提言と関係団体への働きかけ

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