高木基金について助成応募の方法これまでの助成研究・研修高木基金の取り組みご支援のお願い

高木基金の取り組み

トップページ > これまでの助成研究・研修 > 2012年度国内枠調査研究助成 公開プレゼンテーション発表者の調査研究計画概要

高木仁三郎市民科学基金
2012年度 国内枠調査研究助成
公開プレゼンテーション発表者の調査研究計画概要


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

グループ名
代表者名
熱帯プランテーション問題研究会
原田 公さん
応募金額 100万円
テ ー マ 熱帯プランテーションにおける紛争と人権問題の調査研究・提言
概  要

 東南アジアの熱帯林は、木材生産のためにその多くが伐採され、比較的良好な二次林として残されてきた所も近年ではアブラヤシ農園やアカシア植林地への転換が進んでいます。二次林は森林としての利用が可能ですが、農園に転換されると、生物多様性が激減し、住民による利用もほぼ不可能になるため、地域住民と農園開発側との間で多くの軋轢が生じています。また、一部のプランテーションにおいては、移住労働者の人権問題や、児童労働の問題が指摘されています。
 日本は、これらのプランテーションで生産される産物の消費国ですが、社会的にプランテーションと熱帯林開発、そこでの人権問題については、ほとんど知られていません。またユーザー企業の中には問題を認識しているところもありますが、具体的なの取り組みはほとんど見られません。
 熱帯林の保全と持続可能な利用の問題に取り組んできた6団体(熱帯林行動ネットワーク、国際環境NGO FoE Japan、サラワク・キャンペーン委員会、地球・人間環境フォーラム、メコン・ウォッチ、レインフォレスト・アクションネットワーク)は、共同で熱帯プランテーション問題の調査研究・提言活動を行い、2011年度は地球環境基金の助成(メコン・ウォッチ申請)を得ていますが、助成金の性質上、住民との軋轢、人権問題などに関しては扱えません。しかしこれらは最も緊急性の高い問題であるため、本調査・研究は、特に住民との係争事例や移住労働者、児童労働の問題に焦点を当てて実施します。調査結果は、日本の市民社会に向けて発信していくほか、主なユーザー企業とダイアローグを行い、調達方針の策定や改善を求めるなど、消費側として問題への責任ある対応を求めていきます。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
モペッ・サンクチュアリ・ネットワーク
畠山 敏さん
応募金額 100万円
テ ー マ アイヌ民族の権利回復に根ざした海と陸(おか)をつなぐ
持続可能な地域づくりに向けての調査研究〜北海道・紋別〜
概  要

 当ネットワークの代表である畠山敏(北海道アイヌ協会紋別支部長)は、長年の漁師としての経験をもとにアイヌ民族の捕鯨の復活に向けての動きをすすめるとともに、紋別におけるアイヌ文化の復興につとめてきた。しかし現在、その活動の拠点でもあるモベツ川の支流水源域に産業廃棄物最終処分場が建設され、2012年度から操業が予定されている。
 当ネットワークは、代表である畠山敏の環境保全や民族の権利回復に向けての思いを共有したメンバーが、地域の豊かな自然環境と結びついたアイヌ民族の権利回復と、それに基づく持続可能な地域づくりをすすめるために結成されたネットワークである。当ネットワークでは、この産業廃棄物処分場の建設・操業がモベツ川の河川環境、とりわけ遡上・産卵するサケ・マスに与える影響を明らかにするために、2011年度に高木基金の助成を得て河川環境調査を開始した。
 本年度は、この市民による河川環境調査を継続し、産廃処分場の建設・操業がモベツ川水系の河川環境に与える影響について明らかにするとともに、聞き取り・文献調査などを通じて、古くからアイヌ・コタン(集落)が形成されてきたこの地域のアイヌ民族にとっての歴史的、文化的価値を明らかにしたい。
 同時に、長年求めているアイヌ民族の捕鯨権や、モベツ川におけるサケ・マスの資源管理権の獲得に向けての根拠や課題、その獲得プロセスについて調査研究を行い、具体的なアイヌ民族の先住権獲得に向けての動きを加速させていきたい。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
市民と科学者の内部被曝問題研究会
澤田 昭二さん
応募金額 150万円
テ ー マ 福島原発事故による内部被曝問題の研究と市民科学者の育成
概  要

 私たちの調査研究の目的は、東電福島原発事故由来の被曝について、未だに苦しむ広島・長崎・ビキニの被爆者の姿を再現させてはならないということである。彼らの苦しみの根源は内部被曝にある。それは、内部被曝を無視もしくは軽視する日本政府・放射線防護の各組織の施策を改めさせることによって初めて達成できる。
 そのためには、彼らの非科学性を歴史的・学問的に告発し、各種の「基準」の誤りを指摘し、原発由来の放射能被害者始め、市民の命を危険にさらさせないよう、具体的対応を取らせなければならない。
 また、政府や政府系各機関・学者らによる圧倒的宣伝に組み込まれているメディアも含め、市民へ事実を知らせる活動が必要である。
 私たちは、あらゆる市民と共同し、科学的知見を共有できるよう、さらなる工夫を必要とする。政府への機敏な勧告、的確な批判・反論、建設的提言、記者会見、論文・著作の発表や紹介、シンポジウム、一般市民を対象とした市民セミナーの開催など、あらゆる機会をとらえて活動する。
 内部被曝・低線量被曝を正当に評価させる戦いは、相手が国内外とも強大であるがために平坦ではない。だからこそ、市民と科学者は共同する。科学者は点の存在ではなく、線となり、面となって市民とともに戦わなくてはならない。国内だけでなく、国外の意を同じくする団体・個人とも連携しなければならない。
 私たちが「市民と科学者の内部被曝研究会」を結成したのは、唯一そのためだけである。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
神奈川母乳調査ネットワーク
入澤 牧子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 神奈川県における乳幼児への放射能汚染の実態調査
概  要

 わたしたち「神奈川母乳調査ネットワーク」は、神奈川県における乳幼児への放射能汚染実態の調査とその継続をすることにより、今後の健康への影響、地域としての特異性等を把握していくために、2011年4月に立ち上げた「母乳調査・母子支援ネットワーク」と共に、神奈川県内在住の母子の母乳・尿の検査を実施することとした。
 3月11日以降、すでに10ヶ月にならんとしている今、やっと福島県内での公的な母乳調査が行われているが、検査技術の向上により検出下限が、0.1Bq/Kg、それ以下も検査可能となり、関東近辺での影響調査のデータの集積の意味合いが、より重要度を増していると考える。
 放射能汚染の内部被ばくは、ICRPやECRRの国際機関によっても判断基準が異なり、未だ、実態の調査とその継続による多種のデータの集積、今後への有効な研究に導く道筋が明らかにされていない。
 将来に向けた研究成果を得るためにも、基礎的なデータが必要であり、市民による母乳・尿の放射能汚染について調査し、データの集積が必要と考え、この事業を進めていくこととする。これは以下のような目的を持つ。
1.母乳の放射能汚染のデータを市民レベルで調査・集積する。
2.母乳による乳児の内部被曝の実態を把握する。
3.放射性物質の移行経路を推定することで内部被曝を避ける。
4.将来子どもや成人に起こりうる健康障害の原因解明と治療に役立てる。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
高知県太平洋核実験被災支援センター
山下 正寿さん
応募金額 100万円
テ ー マ ビキニ事件の実相と福島原発被災との関連調査・研究
概  要

 「ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査」にこれまで取り組んできた。次年度も、この取り組みを続け、福島原発被災の今後の健康対策に活かしたい。また、海洋汚染が長期化する中で、ビキニ事件のように汚染魚検査が打ち切られる可能性もあり、ビキニ事件の歴史的検証が改めて重要になっている。
 ビキニ事件時に問題となった台湾や情報コントロールされた韓国での事件対応を追跡し、現在の福島原発事故をどのようにとらえているかの情報収集を行う。
これらの調査・研究とともに、ビキニ事件の再認識のため、DVD上映、学習・講演会開催、書籍の普及を同時に広げたい。そのために高知県太平洋核実験被災支援センター、平和資料館・草の家、安芸平和教育研究会、幡多高校生ゼミナールなど、研究協力者の協力を得て調査・研究とともに、ビキニ事件と福島原発被災を結ぶ学習活動にとりくみたい。
 その上で、被災者に可能な支援策を民間と政府双方にわたって専門家の意見を集約し、提案する。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
六ヶ所再処理工場放出放射能測定プロジェクト
古川 路明さん
応募金額 100万円
テ ー マ 六ヶ所再処理工場からの放射能放出に関する調査研究
概  要

 本調査研究は、六ヶ所再処理工場の周辺の環境試料の放射能測定と評価を行う。調査・測定は2005年以来継続し、松葉、米、海砂、海水等のガンマ線、炭素14等について測定データを蓄積してきた。また米、松葉については、対照資料として、千葉〔三里塚〕、新潟(刈羽村)等の試料も測定する。
 六ヶ所再処理工場のめぐる状況は、2010年9月に「本格稼働予定を2012年10 月へ延期」と公表して以来、ガラス固化体製造試験を中断したままである。2011年3月11日M9.0の東北地方太平洋沖地震による東北電力の電力不足のため、大量の電力を使用するガラス固化試験が実施できない状況が続いている。また福島第一原発苛酷事故を契機とする原子力安全への国民的不信を受けて、原子力政策大綱改訂作業等エネルギー政策をめぐる議論の中で、核燃料サイクルの必要性を抜本的に見直す機運が高まっている。
 本調査は、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験前、さらに本格稼働前の基礎的測定データ蓄積を目的としてきた。しかしながら3/11福島第一原発事故による大量の放射能放出は東日本全体を覆った。2010年度の環境試料の測定を実施中であるが、共同研究者による六ヶ所村周辺での松葉のガンマ線測定において、セシウム137の沈着によると推定できる測定値が確認されている。いままでの測定データ等と比較検討し、福島第一原発による放射能拡散の実態を明らかにする作業にも取り組む予定である。
 昨年度の測定作業の一環として、福島県内の警戒区域(大熊町) での空間線量測定・試料採取(土:測定中)を行った。その報告(マップ)を参考資料として添付する。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
長島の自然を守る会
高島 美登里さん
応募金額 100万円
テ ー マ 上関原発予定地周辺の生物多様性の解明と普及活動
概  要

 上関原発計画をめぐる情勢は3月11日の福島第一原発事故を受けて大きく変化した。直前の2月21日には中国電力が埋立予定海域(放水口)に土石を投入し、海域埋立工事を再開するという緊急事態にあった。3月16日以降、山口県知事の要請を受け中国電力は埋立工事を中止している。しかし、中国電力も上関町内の推進派も、1日も早い工事再開を目指している。3学会の研究者(日本生態学会・日本ベントス学会・日本鳥学会)が“奇跡の海”と称賛する生物多様性のホット・スポットは依然、存続の危機にある。
上関および周辺地域は海洋保護区やユネスコの自然・文化遺産として登録されるべき価値を有している。そのため、2012年度は以下の調査研究や普及活動を行う予定である。
1.生態系の調査を行い、生物多様性の価値の科学的検証を行う。
@カンムリウミスズメ(国の天然記念物・IUCN指定絶滅危惧種)やオオミズナギドリ(瀬戸内海における繁殖を世界初確認)の集中調査、繁殖可能性や生息条件(移動範囲・採餌・海水温との関連etc.)をより深く解明する。
A2011年度は新たに魚類調査や長島周辺島嶼部の調査に着手し、海洋公園、ユネスコの生命圏リザーブや世界遺産登録に向けてデータを収集する。
2.DVD「長島の自然」改訂版の作成
3.ユネスコの生命圏リザーブ登録に向けた学習会&シンポジウムの開催
4. 2011年度調査で未利用海藻(クロモズク・フトモズク・アカモクetc.)の生育が明らかになった。2012年度は実用化に向けた生態把握調査により、商品化を手がけ、町の活性化に貢献する。
 この調査研究結果を活用し、今こそ上関原発を中止し「将来に向けて持続可能な人と自然が共生」する地域のモデルとして次世代に残す歴史的責任がある。将来に禍根を残す原発建設によって貴重な財産を失わぬように世論喚起を行う。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
市民科学者放射線防護ネットワーク
隅田 聡一郎さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島第一原発事故による放射能汚染と「低線量」被ばくによる健康影響を検証するプロジェクト
 ―国内外の市民・科学者を結集し、日本政府による放射線防護対策を検証する―
概  要

 この調査研究は、福島県各地に設置されている市民放射能測定所を拠点とし、日本政府による放射線防護対策や福島県と福島県立医科大学による「県民健康管理調査」を検証するプロジェクトである。
 日本政府による放射線防護対策は@「福島第一原発事故による健康影響は極めて少ない」A「低線量被ばく(年間100mSv以下)は安全である」を前提とし、「予防原則」「防護」よりも「安心」を目的とした不十分なものとなっている。ゆえに、政府から独立した、市民・科学者による環境汚染分析や放射線測定(空間、土壌、食品、人体内)によって、「放射線感受性」の高い子どもや妊婦などの弱者、とりわけ福島県民の健康を守るための被ばく低減化措置が求められている。
 このプロジェクトは以下の課題に取り組む。@「県民健康管理調査」、環境汚染(低レベル放射性廃棄物、除染対策)、放射線測定(土壌、食品)を検証するため、日本政府にあらゆる情報を公開させるA放射線防護に関する市民版報告書を作成・英訳し、国内外の科学者・専門機関にプレスリリースするBそれらの成果をもとに、国内外の科学者・市民・市民団体を招いた「市民科学者国際会議」を開催する(報告書を出版予定)。
 チェルノブイリがそうであったように、今後、健康影響を過小評価する観点から、国際原子力機関や世界保健機関、国際放射線防護委員会がフォーラムを開催していくと考えられる。4月末に開催予定の「市民科学者国際会議」を契機とし、長期的にはそのフォーラムに対抗するための市民・科学者ネットワークを国内外で整備し、第三者機関を設置する。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
泊原発の廃炉をめざす会
小野 有五さん
応募金額 80万円
テ ー マ 泊原発の廃炉を実現させるための研究
概  要

 福島第一原発の事故を受け、これまで、どんな地震がきても、多重防御によって安全とされてきた原発の安全神話は完全に破たんしました。泊原発の位置する北海道の日本海側では、1993年の北海道南西沖地震(M7,8)によって30mの津波が奥尻島を襲っており、泊原発はきわめて危険な場所に設置されているといえます。このため、私たちは、11月11日、泊原発の廃炉を求める訴訟を札幌地方裁判所に起こしました。
 北海道の日本海側での活断層とそれによって引起こされる地震や津波についての研究は、太平洋側に比べて著しく遅れており、北電は、これまでに活断層研究会(1991)などで認定された活断層の一部しか認めていません。そこで、本研究では、これまでに得られている海底の音波探査記録を詳しく分析し、活断層の評価を行うとともに、ほとんど調査されていない奥尻島や積丹半島での過去の津波堆積物や、地震性隆起を示す地形を調査し、それらがどのような活断層でもたらされたかを、断層のモデリングを行うことで明らかすることを目的にしました。 泊原発の訴訟では、活断層による地震動、津波の評価がもっとも重要な争点となることから、本研究は、そのためにきわめて重要な資料を与えることになると思います。
 私たち、「泊原発の廃炉をめざす会」は、原告団・弁護団を支援することはもちろんですが、このような調査研究の成果や、裁判を通じて得られた「原発の真実」を広く人々に知らせ、廃炉をめざす世論をつくっていくことを大きな目的としています。今回の調査・研究の成果も、わかりやすいパンフレットにまとめ、それを使って、道内の多くの場所で講演会を開催して、一人でも多くの方がたに伝えていきたいと思っています。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
福島原発震災情報連絡センター
中山 均さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島原発震災による放射能汚染被害者援護策の策定に向けた課題に関する調査研究
概  要

【背景と目的】
福島原発事故は未だ収束の目途が立っておらず、原子炉からは大量の放射性物質が大気中や海洋へ放出されている。構内では被ばく労働も深刻化し、子どもたちや県民は汚染地域に留め置かれ、長期にわたる低線量被曝が強いられている。政府が棄民化政策を続ける中で、被曝を受けた、あるいはその可能性のあるすべての人々の命と健康を守ることは今、極めて重要であり、事故後やがて1年を迎えようとする中で、その具体的な施策の実現は緊急の必要性がある。
【研究手法】
@チェルノブイリ事故被害地域における被害の実態、旧ソ連下で展開された被害対策の実情とその成果・課題・問題点等に関する調査を行ない、
A福島原発事故による放射能汚染実態調査をおこない、
Bまた、1945年の広島・長崎原爆の被爆者を対象にした被曝者援護法とその成果や課題について、日弁連担当者と協議しながら整理し、
Cこれらの実態調査の成果を、福島原発震災被曝者を対象にした「福島原発震災被曝者援護法(仮)」をはじめ、被曝した可能性のあるすべての人たちの生存権を守るための制度設計や法案整備に役立てる。
D本研究の遂行に当たっては、自治体議員政策情報連絡センター(代表:上原公子・前国立市長)、日弁連(担当:秋元理匡・日弁連原子力問題プロジェクトチーム事務局長)、木村真三(独協医大准教授)氏等の協力を得る。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
泡瀬干潟を守る連絡会
前川 盛治さん
応募金額 68万円
テ ー マ 泡瀬干潟・浅海域での埋立工事による「濁り(SS)」「濁度(FTU)」の調査
概  要

沖縄県沖縄市の東海岸にある泡瀬干潟・浅海域で、埋立工事が再開された。今年度(2011年度、2011年10月〜2012年3月)の工事は、おおよそ次の通りである。
国(沖縄総合事務局)の工事
1.新港地区東埠頭の浚渫工事
2.東埠頭の浚渫土砂を泡瀬干潟・浅海域の第1区工事区域に「空気圧送船」で流し込む。
3.第1区工事区域の護岸の嵩上げ
沖縄県の工事
1.第1区工事区域の人工ビーチ突堤の延長工事
以上示したように、今年度の国の工事は、「空気圧送船」での浚渫土砂(ヘドロ状のシルト質の土砂)のパイプでの流し込みであり、濁りの発生、外海への拡散が懸念される。事業者は、護岸の下に「汚濁防止膜」を敷設してあるので、外海への影響はない、としているが、外海の干満と同時に護岸内の干満も起こっており、海水の出入りはあることから、護岸内の「濁り(SS)」「濁度(FTU)」は外海へも拡散すると思われる。
泡瀬干潟・浅海域は、環境省がラムサール条約登録湿地の候補地に選定しているところであり、工事による影響が懸念される。現に、環境省は2012年のラムサール条約COP11の国別報告書案に「沖縄県の泡瀬干潟において、人工島を作る大規模な埋立計画が進んでいる等、一部において生態学的特徴の部分的な喪失が懸念されている。」と記載している。
以上のような理由から、第1区埋立工事区域の周辺の10箇所のポイント(埋立区域の南側5ポイント、北側5ポイント)で、月1回海水を採取し、「濁り(SS)」「濁度(FTU)」のデータをとり、工事の影響を調べる。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
情報公開クリアリングハウ
三木 由希子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島第一原子力発電所事故に関する情報公開制度を利用した政府の持つ一次情報の収集・分析
概  要

 この調査研究は、福島第一原子力発電所の事故に関する政府の情報の全体像が見えないこと、事故に関するコストは様々な意味で市民の負担になるにもかかわらず、事故に関する情報は一向に市民のためのものにならなっていないという現状認識のもと、事故に関する情報を情報公開制度で求め、公開された情報を分析、公表していくものだ。とりわけ、放射性物質や放射線量に関して、政府がどのような前提でどのような検討を行い、どのようなデータの収集をしているのか、あるいはしていないのかについて、情報公開制度を利用して情報の収集を行う。
 情報公開制度を利用する意味は、政府の情報の全貌の一端を明らかにする唯一の手段であること、制度を利用することで政府が公文書を廃棄できなることから、廃棄の防止ということである。また、国だけでなく自治体も検査・計測を行っており、一定の情報を保有している。自治体の判断、考え方によって対応に差があり、どのような対応が行われているのかを比較することは、今後の地域での取り組みに有用である。そのため、各地で情報公開請求への参加を呼び掛けて、地域参加的に調査研究を行う。この取組によって、市民が情報を手にする手段としての情報公開制度の利用等に関するノウハウを提供する機会とする。
 公開された情報は、整理し広く提供しやすい形態に変換する。また、情報の分析は専門家に依頼し、意味、意義について明らかにするとともに、何は調査・検査が行われていて、何が行われていないのかについても整理を行う。調査研究の結果は報告書のまとめるほか、シンポジウム等で報告をする。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
天笠 啓祐さん
応募金額 99万円
テ ー マ 隠れGMナタネ及び交雑種の拡大調査
概  要

 遺伝子組み換え(GM)作物は、日本では作付けされていないものの、輸入される形が種子であることから、こぼれ落ちなどによって輸入港周辺や油工場周辺、その輸送経路などで自生しており、その汚染が拡大しています。
 これまで毎年、全国で市民がGM作物の中でもっとも汚染がひどいナタネを対象に、検査キットを用いてその実態を調査し、引き抜きなどを行ってきました。
 しかし、最近になって、簡易検査(蛋白質)では陰性を示すが、PCR法(DNA)による検査では組み換え遺伝子が検出されるという「隠れGMナタネ」が増加してきました。
 また、すでにGMナタネはセイヨウカラシナやブロッコリー、ハタザオガラシなどと交雑を起こし始めており、野生植物や農作物への広がりが懸念される事態となっています。しかし、その実態はなかなか見えてきません。
 そのため、今回の調査では、その隠れGMナタネと交雑種にターゲットを絞った特別の調査を行いたいと考えています。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
土井 麻記子さん 応募金額 100万円
テ ー マ 製鉄所由来の粉塵を解決するための保健調査及びリスクコミュニケーションの土台を作る
概  要

 千葉市では現在、製鉄工場の原料ヤードにある野積みコークス原料が、製鉄所周辺および、風に運ばれて遠方まで飛散しているという声が多数上がってきており、粉じん対策が新しい課題として浮上してきた。その背景として、近年住宅需要に伴い、マンションや宅地が製鉄所周辺にの増加したことが挙げられる。対策や予防の情報を市民に提供するとともに、行政や企業に課題を提示することが本研究の目的である。千葉市を広域的にサンプリング調査し、そのデータを解析して大気汚染物質拡散モデル(サットンの式等)により総飛散量などのパラメータを推定する。また、飛散エリアにおける呼吸器系への違和感の有無を疫学的に評価する。
 粉じんの問題はデリケートで扱いにくい問題とされ、社会的に排除されている傾向があるが、行政、市民、企業で認知し、積極的な情報共有をすることが重要である。企業や行政のみならず、市民も積極的に対策を行うことで、健康被害を予防することができると考える。三者それぞれでの取り組みにより、地域全体で積極的な取り組み、市民と企業、そして行政がそれぞれが自立して、解決に取り組むことで、はじめて円滑なリスクコミュニケーションを行う土台ができあがる。紛争によって要望や糾弾を行うだけでは、周囲も参加しにくく、事態が泥沼化するので、避けなければならない。紛争回避の策を提示して問題解決の進展を図るものとして本研究は重要である。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
国際環境NGO FoE Japan
満田 夏花さん
応募金額 100万円
テ ー マ 低線量被ばく回避のための調査研究および原発事故被害者救済政策の形成
概  要

 現在、日本政府は20ミリシーベルトを基準とした避難区域を設定しており、来年初頭には現在の避難区域を見直し、帰還準備区域などを設ける予定であることが報じられている。
 福島県、福島市は、避難よりも「除染」を優先させ、めどがたたない除染を言い訳に、子どもや妊婦も含め、住民たちは高い線量にさらされている状況にある。
 本調査活動は、特にチェルノブイリにおける経験を踏まえ、低線量被ばくの影響、当時の周辺国の政策およびその効果などの情報を収集整理し、わかりやすい形で発信する。
 また、現在、形成されつつある、避難・保養を促進するための全国ネットワークや市民・科学者・法律家などのネットワークを活用して、現在の政策の問題を改善させることをめざす。
 さらに、「原発事故被害者救済法」など、原発事故の被災者救援を行うための包括的な法的枠組みや政策を提言し、その実現に貢献する。


【一覧へもどる】

グループ名
代表者名
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
吉田 明子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 原発事故被害への対応と脱原発への方向転換を目指す政策提言と社会ムーブメントづくり
概  要

 福島第一原子力発電所事故は、計り知れない被害をもたらし、今後の解決の見通しも不透明のままである。特に汚染地域ではいまだに深刻な状況が続いている。被ばく被害を最小限に抑えるために、引き続き避難疎開政策の維持・拡大、適切な賠償を実現するために大きな市民運動が不可欠である。同時に、原発事故を経験した日本こそ、今すぐに脱原発に大きく舵を切らなければならない。小さな変更にとどまり従来の原子力・エネルギー政策が引き継がれる可能性に対し、市民の声を結集していかなければならない。
 eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)は、これらの大きな課題に向き合うために、各団体の長所を活かして連携し、従来以上の力となって政治と市民に働きかけていくことを目指している。
 2012年度も引き続き、放射能汚染被害、原子力損害賠償、原発運転再開、原発輸出、エネルギー政策見直し等の各課題に対しワーキンググループで課題を分析、提言の作成等を行い、ネットワークを通じて政策提言、情報発信、市民の巻き込みを行う。セミナーやシンポジウム、ワークショップの開催、ウェブサイトやソーシャルメディアを通じた情報発信などを通じてムーブメント作り、世論形成を目指す。また、海外専門家を招いてセミナー等を開催し、日本の政策変更につなげる。


【一覧へもどる】

HOME | 助成応募の方法 | これまでの助成研究・研修 | 高木基金の取り組み | ご支援のお願い | 高木基金について
ENGLISH  | サイトマップ | お問い合わせ 個人情報の取り扱い