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高木仁三郎市民科学基金
2013年度 国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

グループ名
代表者名
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
天笠 啓祐さん
応募金額 99.6万円
テ ー マ 隠れ遺伝子組み換え(GM)ナタネおよび交雑種の拡大調査
概  要

 遺伝子組み換え(GM)作物は、日本では作付けされていませんが、輸入される形が種子であることから、こぼれ落ちなどによって輸入港周辺や搾油工場周辺、その輸送経路などで自生しており、その汚染が拡大しています。
 2005年以来、GM作物の中でも、最も汚染の広がりがひどいナタネを対象に、毎年全国各地の市民が検査キットを用いてその実態を調査し、引き抜きなどを行っています。
 GMナタネはすでに、在来ナタネやセイヨウカラシナ、ブロッコリー、ハタザオガラシなどと交雑を起こし始めており、野生植物や農作物への広がりが懸念される事態になっています。しかも、最近になって、一次検査の簡易検査(たんぱく質)では陰性を示すが、二次検査のPCR法(DNA)による検査では、組み換え遺伝子が検出されるという「隠れGMナタネ」が増加してきました。
 しかし、その実態は見えてきません。そのため、汚染の拡大とその進行具合を調査するため、昨年に引き続き、隠れGMナタネと交雑種にターゲットを絞った特別の調査を行いたいと考えます。


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グループ名
代表者名
泊原発の廃炉をめざす会
樋口 みな子さん
応募金額 70万円
テ ー マ 泊原発の廃炉を実現させるための研究
概  要

 私たちは、2011年11月11日、泊原発の廃炉を求める訴訟を札幌地方裁判所に起こしました。訴訟では、活断層による地震動、津波の評価がもっとも重要な争点となることから、高木基金の助成をいただき、昨年度は、これまでに得られている活断層に関する資料をすべて収集し、私たちなりに活断層の評価を行うとともに、これまでほとんど調査されてこなかった奥尻島や積丹半島での過去の津波堆積物や、地震性隆起を示す地形を調査しました。
 その成果は『北海道電力<泊原発>の問題は何か』にまとめ、2012年11月に出版することができました。
 昨年度の研究により、(1)泊原発にとってもっとも問題となる活断層は、泊沖15kmにある活断層と、岩内堆周辺の活断層、およびFB−2断層と呼ばれる活断層であることを明らかにすることができました。また、(2)地震動だけでなく、地盤隆起や津波が大きな問題であることも明らかにできました。
 そこで本年度の研究は、これら3つの活断層に焦点を絞り、それぞれの活断層がもたらす地震動、地盤隆起、津波について具体的な検討を行いたいと思います。
 また、この1年間、高木基金の助成を受けて全道各地で行った講演会・学習会を通じて、原発を廃炉にしたあとのエネルギー問題や、地元の雇用の問題が、市民にとっては、速やかな廃炉をめざすうえでのネックになっていることがわかりました。そこで、本年度は、これらの問題についても調査・研究を行い、その成果を裁判に生かすとともに、広く市民に伝えていきたいと思います。  


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グループ名
代表者名
いわき放射能市民測定室たらちね
織田 好孝さん
応募金額 100万円
テ ー マ 放射能汚染・低線量被ばく地における放射能測定の活動と記録
概  要

 広大な面積のいわき市は避難準備区域に匹敵する地区を含め、すべてが低線量被ばくにより汚染されている。そこで暮らす30余万の市民の健康を守るために「たらちね」は継続的放射能測定を行い、汚染地帯で被ばく量を抑えながら暮らすための日常食生活の安全基準の目安を導き出す。
 また、外部被曝を避けるために空間・土壌・海水・水・砂浜などの環境測定を行い、汚染の実相を明らかにする。
 さらに福島県内で子どもを育てている保護者が最も心配しているヨウ素被ばくによる甲状腺ガン検査を市民レベルで実施する。
 これらの測定結果はWebで公開し市民に安全に暮らすための資料として提供する。
 私たち大人が残してしまった負の遺産を、未来を担う子供たちに可能な限り残さないように継続的に活動を続ける。
 以上の活動を通じて、国の現在の放射能対策では、県民の健康を守れないことを明らかにする。そして安全神話の下に進めてきた原発推進政策の誤りを認めさせ、核エネルギーから自然エネルギーへの転換を要求しその実現を目指す。


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グループ名
代表者名
FoE Japan
満田 夏花さん
応募金額 100万円
テ ー マ 被ばくと健康に関する市民・専門家委員会の設立と運営
概  要

 福島原発事故に起因する健康被害の未然防止に関しては、未だその体制が構築されていない。
 福島県の「県民健康管理調査」は、目的が「不安解消」となっており、放射線の影響は「極めて少ない」ことが前提となっている上に、小児の甲状腺調査のみ照準をあてたものとなっている。調査内容や手法についても多くの批判がある。

 また、福島原発事故後に採用された「年間20mSv」という避難基準についての検証は行われておらず、原発の再稼働に向けて、緊急時放射線防護の基準が現在、原子力規制委員会で議論されているところである。

 本事業においては、住民の健康管理の在り方や、被ばく基準などに関して、独立した検討を行うことを目的とした市民・専門家委員会を設置する。委員は放射線影響の専門家や医療関係者、弁護士、福島の被災者、市民団体の代表などで構成する。
 本委員会は、県民健康管理調査や原子力規制委員会の議論や検討結果をレビューし、下記の提言を行うものとする。
1)現行の福島県県民健康管理調査に対する緊急提言
2)福島原発事故における被ばく・医療問題の検証
3)原子力規制委員会による防災指針や緊急時モニタリング、被ばく防護などに関する議論・決定の検証および対案の提示

 また、この検討プロセスや結果を発信することにより、広く社会全体に対して問題提起を行う。


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グループ名
代表者名
リリウムの会
岡本 孝枝さん
応募金額 100万円
テ ー マ 東海第二原発廃炉にむけての活動
概  要

 私たちは東海村に住むごく普通の主婦や住民だが、3.11震災後に原発を取り巻く真実に気付き、安心して住み続けられる故郷を未来に残すために、東海第二原発の廃炉に向けて活動している。
 活動内容としては、原子力開発機構(JAEA)労組の岩井委員長の村民向け講演会を企画したり、近隣市町村の主婦グループと協力して、鎌仲ひとみ監督作品の『ミツバチの羽音と地球の回転』や『内部被ばくを生き抜く』という原子力問題を扱った映画を自主上映したりしている。こうした活動を通して、常にどうしたら原発立地自治体が原発依存から抜け出られるかを模索している。
 その一環として、地元商工会の有志が集まる会への参加をはじめ、行政にも意識を向けて村議会議員との面談、議会傍聴などの行動も積極的にしている。2013年9月の東海村長選挙には村上現村長に再出馬を要請し、脱原発宣言をしている村上村長を支えていきたい。
 その他、村民がもっと原発の危険性にも関心を向けてほしいとの考えから、村民があまり知らない事実などを分かりやすい形で表現したチラシ配布活動もしている。
 さまざまな活動をしていく中で、資金的な問題がネックになるので、貴基金の援助により、もっと様々な形で地域に貢献したいと考えている。


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グループ名
代表者名
メコン・ウォッチ
土川 実鳴さん
応募金額 49.6万円
テ ー マ ビルマ(ミャンマー)における日本の投資・開発援助事業とその現場における地元住民のニーズ、環境社会影響、人権侵害に関する調査研究・提言
概  要

 国際社会の経済制裁が解除され、ビルマ(ミャンマー)への「投資・援助ラッシュ」が始まろうとしている。日本政府も2013年早期の円借款実施を発表し、官民連携でビルマ進出の準備をするなか、日本が真っ先に関与を決めた2案件は、地元住民のニーズ、環境社会影響、人権侵害が軽視されたまま、実施されようとしている。  都市ヤンゴンへの電力供給を目的とした「バルーチャウン第2水力発電所補修事業」では、少数民族が数十年にわたり、施設警備のため駐留中の国軍による強制労働や地雷被害等に苦しんできたが、これらの問題は未解決のまま、補修が行なわれようとしている。また、「ティラワ経済特別区開発事業」では、長年、地元で生活を続けてきた農民等のニーズや環境社会面の懸念には目もくれず、「開発ありき」の状態で、日本の官民主導による経済特区開発(約2,400 ha)の準備が進行中である。  本調査では、上述2案件に関し、既存の問題の解決と問題の事前回避を目標とした提言活動につながるよう、事業に伴う問題が生まれた/生まれる要因・背景、現地の人権状況、住民の生活状況、住民のニーズ、住民の各事業への懸念等について、ビルマでの情報収集・聞き取りを行なう。また、同2案件に関する政府機関の文献を検証し、事業に伴う環境社会影響や人権影響に係る問題点等をまとめる。  調査の結果は、ビルマのNGO・住民や日本の市民に共有するとともに、急増するビルマでの開発事業で、地元住民のニーズ、環境社会影響、人権侵害が軽視されぬよう、日本の各政府機関に警鐘を鳴らす材料にする。


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グループ名
代表者名
フクロウ・ FoEチャンネル
青木 一政さん
応募金額 100万円
テ ー マ 脱原発に向けた市民の情報発信 -フクロウ・FoEチャンネルの開設
概  要

(1) 福島原発事故からわずか2年にも満たないが、原発推進を謳う政治勢力の台頭や原子力規制委員会の再稼働に向けた諸施策の推進など、ポスト福島事故の新たな原発推進に向けた状況が生まれている。
(2) このような状況の中で、反原発を目指す運動体はこれまで以上に多面的な活動を迫られている。被ばく最小化や健康管理問題、福島原発事故の深刻な被害実態を明らかにしてそれに向き合う課題に加えて、大飯原発停止、再稼働反対、原子力政策転換など、反原発運動の課題は極めて多面的になっている。
(3) このような多面的な活動を推進するためには、活動主体がさまざまな課題や行動提起などをタイムリーに発信し、運動体の連携、世論構築を効率的に行うことが必要である。
(4) ユーストリームなど簡単な機材で動画配信ができる環境が可能になった。反原発の情報分析、解説、課題や行動提起などを配信する専門インターネットテレビチャンネルを構築する。
(5) インターネットテレビチャンネル構築は、あくまでも効率的に告知、世論形成を行うための手段である。反原発運動に要求されている多面的な活動を進め、反原発・脱原発への転換を確実なものとすることに主眼があることを改めて強調しておきたい。


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グループ名
代表者名
内部被曝問題研究会 汚染・環境実態調査検討部会
矢ヶア 克馬さん
応募金額 100万円
テ ー マ 放射能モニタリング検証による被曝実態の解明と市民の被曝防護
概  要

 日本全国の市民の命を守り、子供のいのちを保護する目的で、モニタリングポストの検証を行うと同時に、真の放射能汚染の実態を明らかにする。
(1)原発事故以来、国や福島県は、放射能汚染をできるだけ少なく見せようとしてきた。これは、モニタリングポストの表示を実際の半分程度にしていること、空間線量率を年間被曝線量に換算する係数を、実際の60%にしか評価しない環境庁省の指導などにより、放射能汚染は、現実の30%以下に評価されているのが実態である。
我々は既にモニタリングポストの網羅的な測定を開始していて、政府設置の測定システムによる過小評価の現実を暴き出した。他方、チェルノブイリ周辺国では年間1mSv以上を「移住権利ゾーン」、5mSv以上を「移住義務ゾーン」とする住民保護を行っている。これに対し、我々は、文科省の実施した航空モニタリングを根拠に、日本の汚染ゾーンの広さはチェルノブイリ周辺を凌駕することを暴き出している。このことは爆発規模の違いで理解できる。チェルノブイリは上空6000mに達する大爆発で世界中に放射性物質をまき散らしたのに対し、東電福島の爆発は狭い範囲にまき散らす小規模なものであった。
(2)本申請課題の目的は、汚染の実態を福島県内中心として明らかにし、チェルノブイリ法と同じ精神で、住民の保護を打ち出す基礎データの確認を、可及的速やかに行い、真の汚染マップを描くことである。 (3)市民へ事実を知らせる活動と放射能の危険を知らせる教育活動を幅広く展開する。
(4)政府への勧告、福島県に対する警告など、政府・行政を動かし、具体的で実質的な住民を被曝から保護する施策を実施してもらうことである。


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グループ名
代表者名
「原発事故子ども・被災者支援法」市民会議
河崎 健一郎さん
応募金額 100万円
テ ー マ 「原発事故子ども・被災者支援法」市民会議の運営
概  要

 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下、「原発事故子ども被災者支援法」)が2012年6月21日、国会で成立した。
 しかし、理念法であるため、内容が具体的に詰められていないこと、議員立法であるため、政府側の主体性が欠けていること、関連する省庁が多岐にわたることなどにより、法律の実施は遅々として進んでいない。
 一方、原発事故の被災者は、十分な賠償金も支払われておらず、在留者、避難者ともにさまざまな困難に直面している。とりわけ、@被ばく低減のための具体的な措置(保養・移動教室など)、A避難に当たっての支援(住宅・雇用・移動)、B医療・健康管理支援−−などが急がれている。
 「原発事故子ども被災者支援法市民会議」は、同法の十分な実施のため、被災者や支援団体等が効率的な活動を行うために設立された。上記の問題解決のために国会議員や政府に対して、具体的、継続的な働きかけを行うことが求められている。
 本事業では、下記を実施し、原発事故被災者の権利確立のための活動を行う。また、事故を風化させないために、原発被災者の置かれている状況を広く社会に発信する。
1)被災者・支援団体・専門家のネットワーキング:定例会合や集会の開催
2)避難者、在留者など幅広い原発事故被災者の状況およびニーズの把握
3)被災者支援に関して先進的な取り組みを行う自治体に関する調査
4)院内集会、市民・国会議員・政府の対話集会、地域集会などの開催


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グループ名
代表者名
グリーンピース・ジャパン
佐藤 潤一さん
応募金額 150万円
テ ー マ 原子力損害賠償法改正プロジェクト
概  要

 原発を即時廃止し、省エネ・自然エネルギーに切り替えるエネルギー政策を実現するための必須要件のひとつとして、原発事業の存続を支えている経済的な構造に変化をおこす必要がある。
 原子力損害賠償法4条は、原子炉メーカーの過失責任を免れさせているため、事故が起きても法的に責任を追及される可能性がなく、原子炉を作り続けることができている。しかし、たとえば自動車など一般のメーカーが無過失の製造責任を負わされることに比し、原子炉のような、ひとたび事故が起きれば人々の生命、健康、財産、環境に甚大な被害をもたらす製品にメーカーが責任を免れているのは、明らかに不均衡であり、むしろより厳しい製造責任が問われるべきである。
 そこで、原子炉メーカーの責任を問題にするキャンペーン活動を展開することによって、原子力損害賠償法が2013年8月に改正(見込み)される機会に、原子炉メーカーの製造責任を追及できるように改正させる活動を展開する。

 具体的には、原子炉メーカーが過失責任を免れている法律の不合理を広く一般人に広め、国際的な問題にするグローバルキャンペーンを行う
●原子炉メーカーによる原子力損害賠償法改正阻止のロビー効果を弱める
●原子力損害賠償法にかかわる政治家、官僚に原子炉メーカーの責任追及を認識させる
●東京電力(ユーザー)が原子炉メーカーも福島原発事故の賠償責任を負うことを東京電力株主から求めるようにさせる


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グループ名
代表者名
市民が学ぶ甲状腺検査の会
荘司 信行さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島県の子供たちの甲状腺予備検診プロジェクト
概  要

甲状腺がん等に関する治療研究で信頼の置ける西尾正道氏を中心に、地元医師会の有志にお願いし、子供たちの甲状腺を中心とする予備検診を行い、今後における治療及び補償のデータ保存をしてゆきたい。


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グループ名
代表者名
原子力規制委員会を監視する市民の会
阪上 武さん
応募金額 100万円
テ ー マ 原子力規制監視市民委員会
概  要

 2012年9月原子力規制委員会および原子力規制庁が発足した。原子力規制委員会は、旧来の原子力規制機関である原子力安全・保安院や原子力安全委員会と比べ、強大で広範囲の権限をもつことになった。
 原子力規制委員会には、田中俊一委員長をはじめ、これまで原子力の推進にかかわっていた人がその任についており、個別テーマごとに設置されている検討チームの有識者も、原子力推進側の専門家が多い。
 再稼働の前提となる新安全基準については、来年7月を期限とし、ストレステストの意見聴取会で委員を務めていた井野博満氏や後藤政志氏ら、批判的な専門家を排除し、利益相反が問題となった委員を選任し、急ピッチで作業を進めている。シビアアクシデント対策については、設計に手を付けることなく、事故前と同様に付け焼刃的な対応で済ませようとしている。
 このままでは、不十分な新安全基準により、安易な再稼働が進められる恐れがある。
 本事業では、原子力規制委員会の傍聴を行ってきた市民グループが、井野博満氏、後藤政志氏ら独立した立場の専門家と協力して、市民委員会を設置し、下記の活動を行う。
・原子力規制委員会の検討状況の継続的監視
・「新安全審査基準」に関連した検討チームの議論の内容・資料のレビュー
・レビュー結果の発信
・原子力規制委員会に対する要請活動
・集会、公開検討会などの開催
・原発立地地域の市民団体の協力し、地域フォーラムの開催


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グループ名
代表者名
柏崎のみらい調査団
飯塚 寿之さん
応募金額 100万円
テ ー マ ドイツの原発廃炉後の地元自治体に関する調査研究
概  要

 福島第一原発によって明らかにされたことは、「安全な原発はない」、ということであった。この不幸な大事故によって日本社会は、2020?2030年代に向けて「脱原発」へ舵を切ろうとしている。
 新潟県柏崎市は、東京電力の7基の原子炉、約830万キロの電気を生産する世界一の原発基地である。原発に依存した市財政、地域経済、雇用、産業構造を抱えながら生活しているが、「原発がなくなったら、将来どうなるの?」と多くの市民が不安を抱いている。例え一時的な原発の再稼働の可能性があったとしても、全7基が運転停止を迎え、廃炉になることは時間の問題であり、「柏崎のみらい」である。
 原発がなくなった町は、どうなっているのか、どのように運営されているのか、柏崎市議会の議員である私たちは、脱原発をいち早く決定したドイツに多数の先例があることを知った。現地調査を実施しその実状・問題点等を調査し、「柏崎のみらい」の方向性を探り、市民の中で「脱原発後」のための議論を起こしたい。
 現在予定している調査地点は、
 グライフスヴァルト原発跡地:(1990年閉鎖決定:廃炉措置中)
 ルブミン(原発の西4kmの町)
 ユーンデ村(100%再生可能エネルギーの自治体と地域)等。
 これらの現地調査のために、共同研究者(原子力資料情報室)の協力を得て、ドイツの原子力事情の研究会開催、情報収集を行い知見を得るともに、市民にも発信する予定である。


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グループ名
代表者名
茨城市民放射能測定プロジェクト / つくば市民放射能測定所
藤田 康元さん
応募金額 77万円
テ ー マ 霞ヶ浦の放射能汚染の実態調査と対策
概  要

 2011年3月11日に始まる福島第一原子力発電所事故によって霞ヶ浦流域に大量の放射性物質が降下した。それにより放射性セシウムを含んだ土砂が、56本ある流入河川へと流れ込み、河川の流れに沿って徐々に霞ヶ浦へと移動している。霞ヶ浦は、河川側の水が逆流しないように設置された逆水門によって閉鎖された湖である。このまま湖の放射能汚染が進めば取り返しのつかないことになる。それを避けるための対策としては逆水門の開放が考えられるが、下流の利根川や沿岸域への影響も懸念される。十分な調査をもとに、陸域の除染、陸域から水域への流出防止、河川対策等を含め何が最も有効な対策なのか検討し、流域で生きる多様な人々の合意の形成がはかられなければならない。ところが行政はこれまでに十分な調査を行なっておらず、有効な対策を実施する姿勢も見せていない。本調査研究は、霞ヶ浦の放射能汚染問題に対する有効な対策を実施するうえで必須となる、流域全体での継続的な放射能モニタリングを行なう。具体的には、流入56河川の底泥、霞ヶ浦の底泥、流域の森林・農地の土壌の放射能測定、および、河川と湖の水中・水底の放射線測定を定期的に行なう。この調査結果を踏まえ、逆水門の開放をはじめとする対策の有効性・問題点を明らかにする。


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グループ名
代表者名
  
豊田 直巳さん
応募金額 100万円
テ ー マ 映画『遺言〜安全神話の果てに〜』制作・上映企画
概  要

 2011年3月11日の東日本大震災の翌日から福島に入って、原発震災の調査と記録を一年半続けてきました。その間の映像記録は200時間以上に及びます。これらは単行本やテレビ番組として、また写真展や講演で随時、公表してきました。
 しかし、それらは調査の一部であるばかりでなく、日本語による日本人のみを対象とした公表に過ぎません。そこで以下のようなタイトルとテーマの映画の製作と、国際的な規模での上映活動をしたいと考えています。それを通して、福島に集中的に現れたような原発震災を、日本はもとより、世界のどこでも二度と引き起こさないために、世界中で原発を廃止していく国際的な市民社会の取り組みの一助としたいと考えています。

タイトル
 『遺言〜安全神話の果てに〜』

テーマ
 「2011年3月11日から日本を覆った原発事故の放射能は、日本の安全神話を崩壊させたはずだった。しかし、事故直後から、原発を推進する人々によって、新たな安全神話の創造が始まっている。これに真っ向から異を唱えるものがある。原発事故によって死を強要された自殺者の残した「遺書」だ。その「原発さえなければ」の言葉は、今でも原発の安全神話を信仰しようとする人々へ警鐘であり、3・11後の世界に生きる私たちへの遺言である。」


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グループ名
代表者名
安心安全プロジェクト
吉田 邦博さん
応募金額 99.9万円
テ ー マ 生活環境の放射能汚染−実態調査と健康防護衣類、頭髪放射能汚染状況調査及び、人体への影響勉強会
概  要

 2011年3月11日の、東日本大震災とそれに続く、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染は、福島から広範囲に広がり、生活環境の目に見える全てのものを汚染されてしまいました。
 私たちは身近な物から、もっと市民に生活を科学的にとらえ、放射線への関心を持ってもらうため、次のことを調査し研究をしたいと考えています。

・各エリアの衣類、頭髪に付着した放射線の調査
・空気中にある放射性物質が衣類に日にどれくらい増加していくのか
・洗濯によって他の衣類がフィルターのようになり、放射性物質が移動することは確認されているが、どれくらいの割合が服に移動しているか
・ズボンなど地面に近い物のほうが汚染度は高く、その分布状況の調査
・地表面の舗装が多い地域と少ない地域での数値の差は
・衣服、頭髪での放射能汚染状況を調べる
・アンケートによる放射能汚染の意識調査をする。
これらで得たデータを作成し、より安全な生活を目指して頂きたい。


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グループ名
代表者名
たまあじさいの会
濱田 光一さん
応募金額 80万円
テ ー マ 日の出町ゴミ最終処分場・エコセメント工場からの有害な化学物質や重金属、及び放射能による周辺環境への汚染の実態調査
概  要

 私たちが、現在継続的に取り組んでいる調査研究には大きく3つに分けられる。
 第一は、既に埋め立てられた谷戸沢処分場(約40ha、1984年から14年間で埋め立て)と現在埋め立てている二ツ塚処分場(約60ha、1998年より埋め立て開始、現在は三期区分の二期区分埋め立て中)からの有害な化学物質や重金属による地下水を主とする汚染の実態調査研究。
 第二は、新たな処分場の開設が困難な情勢から、処分場の延命策として2006年度から操業を開始したエコセメント(ゴミ焼却灰を主原料とするセメント=事業者である行政は資源循環とPR)工場を発生源とする有害な重金属や化学物質による大気などを主とする汚染の実態調査研究。
 第三は、2011年3月の福島の原発事故以来、東日本に降り注ぎ続けている放 射能汚染の影響である。東京多摩地区に降り注がれた放射性物質は、様々な廃棄物にも付着し、ゴミ焼却炉で燃やされ濃縮されてゴミ焼却灰の中に含まれる。3月の事故直近の焼却灰に含まれる放射性物質のデータはない(公表されない)が、7月のデータでは3400Bq/kgという数値を示しているものもある。
 エコセメント工場に運び込まれる焼却灰は300t/日で年間約300日である。この膨大な焼却灰が1600℃前後の高温で焼成されセメント化されていく工程で、バグフィルターなどで捕捉できない放射性物質が大気へ放出されている。
 エコセメント工場を発生源とする放射性物質の汚染の実態調査研究。


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グループ名
代表者名
長島の自然を守る会
高島 美登里さん
応募金額 100万円
テ ー マ 上関原発予定地周辺の生物多様性の解明と普及活動
概  要

 長島の自然を守る会は上関周辺地域が生物多様性のホット・スポットであることを生態学会等の研究者と解明し、環境面から2年3ヶ月計画を延期させてきた。
 上関原発計画をめぐる情勢は2011年3月11日の福島第一原発事故後、埋立工事が中止され動きが止っていた。しかし中国電力が2012年10月5日に延長申請を出したことから埋立て・建設の再開が危惧される。また、原発計画が中止されても他の大規模開発計画が浮上する恐れがあり生態系の科学的検証が急務である。
@カンムリウミスズメ(国の天然記念物・IUCN絶滅危惧種)の海外研究者との共同調査/オオミズナギドリ(瀬戸内海における繁殖を世界初確認)の個体群調査/カラスバト(国の天然記念物・IUCN絶滅危惧)の調査充実 Aバイオロギング手法によるスナメリ個体群調査B周辺島嶼部への調査範囲の拡大。

 調査研究の成果を活かし、2013年度は以下のことを実現する。
1.上関原発計画の不当性の告発
@環境アセスメントのずさんさの追及A海外研究者とのカンムリウミスズメ調査に基付き上関原発計画に反対する国際世論を高める。B新たな手法を取り入れたスナメリ調査により、瀬戸内個体群の生態を解明し保護と普及活動に役立てる。
2.未利用資源の活用
産直を利用しワカメ・クロモズク・アカモクなどの定量調査をし、商品化する。
3.ポスト上関原発を見据えて以下の普及活動を行う
@DVD「長島の自然」改訂版の作成A学習会&シンポジウムの開催
ポスト上関原発に向けた海洋公園、ユネスコの生命圏リザーブや世界遺産登録を実現するための運動の出発点とする。


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グループ名
代表者名
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
吉田 明子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 脱原発を含むエネルギー・原子力政策実現に向けた政策提言と社会ムーブメントづくり
概  要

 2012年、政府のエネルギー・原子力政策見直しは山場を向かえ、夏にはエネルギー・環境会議から提示された3つの選択肢に基づき「国民的議論」が行われた。
 これに対し、eシフトなどが中心的に「パブリックコメント」の提出と「自主的意見聴取会」の開催を呼びかけ、多くの「脱原発/即時脱原発」の声を届けた。こうした様々な市民活動の成果として「過半の国民が脱原発を望んでいる」とまとめられ、「革新的エネルギー・環境戦略」に曲がりなりにも「原発稼働ゼロ」が書き込まれるにいたった。
 しかしながら、その後のゆり戻しの力も大きく、総選挙によってできる新しい政権下での今後の見通しは不透明な状況である。本研究では、2012年夏の市民提言・アクションを継承し、新体制下においても、この戦略に書き込まれた「脱原発」を、そして「国民的議論」に示された多数の市民の声を、さらに打ち出して具体化していくために、各団体の連携した活動を行っていく。
 一方で、脱原発・エネルギーシフトにむけた具体的な動きがすでに地域の市民から始まっている。各地の実践事例・情報をセミナーや交流会などを通じて共有し、脱原発・エネルギーシフトに関わる市民の裾野を広げる。
 加えて、多様な市民団体や個人が参加するネットワークとして、継続的な情報交換・意見交換を行い、上記に加え、様々な課題の共有とアクションの提案を行う。


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グループ名
代表者名
カネミ油症被害者支援センター
石澤 春美さん
応募金額 100万円
テ ー マ カネミ油症被害者調査(未認定者、死亡者、次世代被害)
概  要

 1968年に西日本一帯に発生したカネミ油症事件は日本最大の食品公害事件である。カネミ倉庫(北九州)が製造販売した食用油(カネミライスオイル)の製造時にPCBが混入し、加熱により強毒性のPCDF(ダイオキシン類)等が生成していた事件である。
 知らずに購入し食した人々にクロルアクネ(塩素ニキビ)や多量の目脂、嘔吐、しびれ等の症状が顕われ14000人以上の届出があったという。しかし、現在に至り被害者としての認定者は1966人のみである。未認定のままの死亡者も多く、生存者は重篤な病態となっている。また、聞き取り調査では次世代被害も各地で見られた。
 支援センターではダイオキシン被害としての国の救済を求めて被害者と共に活動を続け、今年8月「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」が制定された。
 しかし未認定家族も次世代被害も強く要求してきたにも拘わらず救済の道すじが含まれていない。未認定者は認定者よりも重病な例も多い。制定した法律には附則があり3年後の見直しが定められている。その時期に問題点を提起出来るように、未認定者、死亡者、次世代被害の聞き取り調査を実施したい。
 また、故・原田正純医師が残してくれた医師団に呼びかけ自主検診を再開し、診断基準の根本的な見直しにつなげたい。


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