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高木仁三郎市民科学基金
2014年度 国内枠調査研究助成
書類選考通過者の調査研究計画概要(受付番号順)


(下記は、それぞれの応募者の助成申込書から概要のみを転載したものです。)

グループ名
代表者名
放射能市民測定室・九州 (Qベク)
大木 和彦さん
応募金額 65万円
テ ー マ 市民が自らの環境を調べるためのエアーサンプラーの開発・改善
概  要

 私たち、放射能市民測定室・九州(以下Qベク)は2012年6月に設立されました。福島第一原発事故後、食べ物や飲み物の放射能汚染による内部被曝を心配し、食の安全を求める市民に支えられながら、食品を中心に放射能検査を行ってきました。しかし、2012年9月から北九州市で開始された震災瓦礫の焼却は、私達に、放射性浮遊塵という、もうひとつの内部被曝源について考えさせるきっかけとなりました。
 食べ物だけでなく、空気についても調べてゆく。そのために独自の安価なエアーサンプラーを開発し、市民が生活する空気環境を市民自らが調べられるようにする事を決めました。当初は、段ボール箱に小加工したものが考案されましたが、研究の結果、市販の樹脂製規格建材を応用し、強力なブロアーとの組合わせで基本形が完成しました。
 その後、ブロアーの回転数を無段階に調整する回路を組込む事で、稼動時の騒音に対処して、より多くの市民が利用出来る様に改善をしてきました。
 今後、流量計を組込み、吸引量を連続表示する事で、より精確な汚染濃度を割り出せるように改善を計画しています。Qベクエアーサンプラーの構造に最適な流量計の調査研究から着手したいと考えています。
 又、PM2.5など特定の粒径の浮遊物を捕捉するためのプレフィルターを装着できるように工夫する計画です。更に、シンチレーションカウンターでのフィルター計測手法の研究や、複数のエアーサンプラーを適切に配置した市民による空気環境調査の働きかけなどを予定しています。これらの計画を通して、Qベクエアーサンプラーを市民が空気環境を監視するツールとして育ててゆきたいと考えています。


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グループ名
代表者名
リリウムの会
岡本 孝枝さん
応募金額 77万円
テ ー マ 東海第二原発廃炉にむけての活動
概  要

 私たちは東海村に住むごく普通の住民だが、3.11震災後に、原発を取り巻く真実に気づき、安心して住み続けられる故郷を未来に残すために、東海第二原発の廃炉に向けて活動している。活動内容としては、昨年に引き続き、原発関係の映画を自主上映会や講演会を企画している。
 一方、昨年提出した請願に関して村会議員全員に公開質問状を送り、その返答を全村配布した。この請願は5月に不採択となったため、再びすぐに新たな請願を出した。
 また「脱原発をめざす首長会議」の東海村での開催を陰で支えた。こうした活動を通して、常にどうしたら原発立地自治体が原発依存から抜け出られるかを模索している。その一環として、行政にも意識を向け、4月に「ミニ村政懇談会」を開き、村の行政の姿勢に迫った。また村議会議員との面談、議会傍聴などの行動も積極的にしている。
 9月の東海村長選挙には村上氏(前東海村長)に再出馬を要請したが、結果として村上氏は出馬を断念するに至った。村民がもっと原発の危険性にも関心を向けてほしいとの考えから、村上氏と共に住民参加型の塾を新たに立ち上げ、今後も脱原発・脱被ばくの意識を広める活動を続けていく。
 また、村民に積極的に情報提供をしようと、チラシ配布活動(「リリウム通信」や「核のゴミマップ」)にも取り組んでいる。 


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グループ名
代表者名
もっかい事故調
田中 三彦さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島第一原子力発電所の事故原因と推移過程に関する、運転データと客観的事実にもとづく詳細検討
概  要

 2011年3月11日発生した福島第一原子力発電所のメルトダウン事故は、現在も継続し、いまだ収束のめどもない状態である。福島第一原発の事故原因については、今日までいわゆる「政府事故調」、「国会事故調」、「民間事故調」が、調査を行い報告書を作成しているが、三者の原因究明の結果は一様ではなく大きく論点が食い違っているものもある。原子力利用によって福島第一原発事故という史上最大級の大過酷事故を起こした国として、日本政府には徹底的な事故原因の究明と検証を行う義務がある。国会事故調の報告書では、その点に関していくつも重要な提言が行われている。しかし、その提言は今日まで、ほとんど実行されていない。
 このような状況の中で、2013年5月から原子力規制委委員会は、「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」を開催し、当事者である東京電力からのヒアリングを中心に事故原因の分析作業を行っており、対立する有力な意見を持つ識者(国会事故調関係者ら)には接触交渉さえない。このような手法では、真に科学的、客観的な事故原因の究明は期待できない。さらにこの検討会の内容が、国際原子力機関(IAEA)への日本政府の報告書の中心的役割を果たす可能性も高く、事故原因が事実と異なったり、ゆがめられた内容となることに大きな危惧を覚えるのは、私たちだけではないだろう。「3/11 に何が起こったのか」、真実を明らかにすることは、日本の市民科学者としての使命でもある。
 私たち「もっかい事故調(もう一回事故調)」は、限られたデータや不十分な情報による困難性を抱えながらも、福島第一原発の本当の事故原因を解明するための作業を行う。この調査研究活動は、放射能放出の実態や、汚染や被曝の状況を解明する作業とも密接に関連するものであり、事故の全体像を明らかにする第一歩である。本年度は主として、1号機の挙動と水素爆発の原因ならびに津波と全交流電源喪失の関連性について調査・検討する。
 調査・検討には、おおむね、重要な情報を共有している元国会事故調の委員(田中三彦)と協力調査員が当たるが、アメリカ、ドイツ等の科学者らと協力し、グローバルな意見交換を同時に行いながら、作業をすすめる。全体の調査・検討には相当な月日が必要と考えている。
 報告書は、日本語版、英語版を作成する。


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グループ名
代表者名

鈴木 真奈美さん
応募金額 50万円
テ ー マ 日米共同の最初の原子力輸出事例である台湾第4原発に関する社会学的研究
概  要

 日本政府は原子力プラント輸出の実現に向けて強力な取り組みを進めている。本研究は輸入した側の社会がその原発建設計画にどう反応し、それが当該計画の行方にどのような影響を及ぼしうるかを、台湾第4原発ケースを事例に、社会学的視角から考察するものである。
 同原発は1996年に台湾電力から米・GE社が受注し、同社の下請けとして日本の日立・東芝が原子炉(ABWR)本体を供給した。これは日本の原子力産業にとっては最初の、そしてこれまでのところ唯一の原子炉輸出例であり、歴史的に重要な意味を有する。しかし日本ではこの事例に関する社会科学的研究はほとんどなされてこなかったようである。そこで本研究は、同計画のあらまし、日米連合が受注した経緯とその後の経過、そして同計画をめぐる世論や市民運動の展開について、一次資料や台湾人研究者による先行研究、利害関係者への聴取などに基づき論述し、さらに今日的(とくに世界と日本の)視点から分析と考察を加える。
 同計画が打ち出されたのは30年以上前の戒厳令下であった。民主化の進展につれて世論の趨勢は建設中止を求め、福島原発事故後は同計画を推進してきた国民党内部でも意見が分かれるようになった。日本政府は原子力輸出を通じて世界に「貢献」するとしている。しかし同事例が示す現実は「貢献」とはかけ離れたものである。本研究はその実態を明らかにし、原子力輸出政策をめぐる国内議論を高める一助になることをめざす。


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グループ名
代表者名
原子力規制を監視する市民の会
阪上 武さん
応募金額 100万円
テ ー マ 市民による原子力規制行政の監視活動
概  要

 福島原発では、汚染水が深刻な事態を招いている。対応に国が乗り出すとしているが、原子力規制委員会・原子力規制庁は、多くの人的資源を原発の再稼働に向けた適合性審査に裂いており、十分な対応を取っていない。
 適合性審査は、加圧水型原子炉で先行しているが、事業者のシナリオでは、炉心溶融事故が発生した場合に水蒸気爆発を引き起こすおそれがあるなど、問題点が多々ある。また、東電が行った柏崎刈羽原発の再稼働申請に対し、当初は、汚染水対策を優先すべきだとして、審査に入らなかったが、ここへ来てなし崩し的に審査に入った。このままでは安易な再稼働が進められる恐れがある。
 原子力規制を監視する市民の会は、市民の立場で、井野博満氏、後藤政志氏ら独立した立場の専門家と協力しながら、新規制基準や防災指針の批判を行ってきた。さらに再稼働のための適合性審査よりも汚染水対策を優先すべきだとして様々な活動を行ってきた。再稼働審査や汚染水対応について、立地地域や周辺地域の住民の不安を可視化することや、専門家を交えた批判的な検討結果を住民と共有することなどが求められている。本事業では、下記の活動を行う。
・再稼働問題について、立地地域や周辺地域の住民の意識を可視化するため、地域フォーラムや個別訪問、シール投票や意識アンケート調査などを実施する。
・審査の中で浮かび上がった問題点を、消費地の首都圏や新潟など立地地域・周辺地域の住民と共有するための集会や公開討論会の実施。
・原子力規制委員会の検討状況の継続的監視と要請活動・政府交渉の実施。
・原発再稼働の適合性審査及び原子力防災計画についての議論の内容・資料のレビュー、専門家と協力して声明や提言の発表。


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グループ名
代表者名
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
石丸 初美さん
応募金額 100万円
テ ー マ 玄海原発事故時における自治体の避難計画の実効性の検証
概  要

 東京電力福島第一原発事故が起きたにもかかわらず、脱原発を願う国民世論と逆行して、政府・電力事業者は原発再稼働を推し進めている。九州電力玄海原発も再稼働へ向けた動きを加速させている。
 地方自治体は、原発政策についても、国まかせにせず、独自に検証した上で、住民を守る立場から国に対してものを言っていく必要がある。原発そのものへの賛否を別にしても、原発は「今そこにある」ので、実効性のある避難計画の策定は、喫緊の課題である。
 事故時の放射能の拡散を予測し、住民を放射能被曝から守るためにはどういう手立てが必要か具体的に準備しておかなければならない。
 佐賀県原子力防災・避難訓練を見学したが、課題山積で、事故が現実のものとなった時に、大混乱は必至である。実効性のある防災・避難計画がなければ、再稼働は絶対に認められない。
 佐賀県内全10市10町と、福岡県糸島市と長崎県松浦市の原子力防災・避難計画について以下の点などを明らかにしたい。
<避難計画・訓練の有無、説明会の開催状況、要援護者1人1人の避難計画、避難経路や避難手段、避難方向の判断、責任の所在>
 担当者の見解、住民の声を聞きながら、具体的に検証し、また新潟県など他の原発立地地域の事例を検討したり、福島原発事故で避難を強いられた方のお話も聞いたりすることで、住民を被曝から守るために必要なことは何かを提言したい。
 調査研究の成果を、1.報告書作成、2.県市町への要請、3.講演会・報告会の開催、4.市民への広報等を通じて社会に還元する。
 以上を通じて、自治体にも、住民一人ひとりにも、避難問題から原発について「わがこと」として考えてもらう契機としたい。


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グループ名
代表者名
新外交イニシアティブ
猿田 佐世さん
応募金額 100万円
テ ー マ 米国政府・政界・学界等における原子力エネルギー政策:連携の可能性を求めて
概  要

 米国は日本の原発政策に大きな影響を与える。例えば、福島原発事故後、日本の世論では脱原発支持が過半数となり、2012年9月には民主党政権(当時)が2030年代に原発稼働ゼロを目指す閣議決定を行おうとしたが、この決定は「米国」の要請により見送られた。しかし、米国内には原発に慎重な立場を取る国民・研究者はもとより連邦議会議員等も存在する。また、使用済み核燃料の再処理についてはホワイトハウスの大統領補佐官を含む政府関係者・研究者等多くの人々が反対の立場にあり、日本の六ケ所村の再処理施設についても多くの懸念が継続的に示されている。そもそも、米国自体、スリーマイル島事故以降、長期間原発の新設を行わず、潤沢なシェールガスの発見にも伴い今後原子力エネルギー依存を急速に低下させていく方針に舵を切っているとされている。しかし、米国の声として大きく日本に伝えられるのは、日本に原発の再稼働を求め、原発推進を求める声ばかりである。
 本研究は、米国の現在の原子力政策の方向性について調査し、原発推進以外にどのような立場が米国にあるのか、特に米国政府の政策決定に影響を与えうる米国連邦議会・米政府関係者、シンクタンク・大学研究者等を中心に調査を行う。また、日本の原発に慎重な立場を取る人々がそれらの米国のカウンターパートとどのような連携を持ちうるのか、具体的働きかけも行いながら、アプローチ方法・連携する可能性・方法についても調査・分析を行う。


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グループ名
代表者名

田中 雄二さん
応募金額 100万円
テ ー マ 砂浜の消失が何をもたらすか? ウミガメが教える砂浜の自然の役割
概  要

 私たちは、本州中部、愛知県の渥美半島に位置する開放的な砂浜海岸の表浜で、アカウミガメの産卵生態に関する調査を続けている。調査内容は、本種の産卵すべてに関わる事で、上陸地点や産卵場所のポジショニング、胚発生、そして、GPSを用いたタートルトラックの追跡である。調査の過程で、ウミガメの産卵が、浜に設置されたブロック消波堤によってしばしば妨げられている様子を確認した。そこで、私たちは、調査結果を基に、海岸行政に対して改善案を積極的に提案してきた。
 北太平洋に分布するアカウミガメにとって日本の砂浜は唯一の産卵地なので、表浜は同種の生存にとってとりわけ重要な場所である。私たちは、良好な砂浜環境を後世に残して行くにはどうしたら良いか模索してきたが、もっとも良い方法は、ウミガメを環境指標種として利用することだということを考えた。
 海岸構造物は、しばしば沿岸漂砂の様相を変え、それによって浜と浅海域の間の自然の連続性を損なうことがある。これまで、沿岸開発によって砂浜生態系がダメージを被ってきたが、今、私たちがすべきことは、他の砂浜生物と同様、ウミガメの生息地の自然について深く考えることである。そこで、本研究では、表浜の広域にわたってタートルトラックを取得し、併せて、砂中温度、地形、上陸地点の水質、生物分布などを調べ、ウミガメの産卵生態と砂浜環境との関連性を検討するための基本的なデータを収集することを目的とする。


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グループ名
代表者名
太平洋核被災支援センター
山下 正寿さん
応募金額 100万円
テ ー マ ビキニ事件・福島原発被災と青年期教育研究
概  要

 「ビキニ水爆実験による第五福竜丸以外のマグロ船と貨物船などの被災の実態と乗組員の健康状態追跡調査」にこれまで取り組んできた。本年度も、この取り組みを続け、福島原発被災の今後の健康対策に活かしたい。また、海洋汚染が長期化する中で、ビキニ事件のように汚染魚検査が打ち切られる可能性もあり、ビキニ事件の歴史的検証と反核運動を若い世代に継承することが改めて重要になっている。
 ビキニ事件・福島原発被災の再認識のため、特に青年むけにDVD上映、学習・講演会開催、書籍の普及をしたい。
 その上で、被災者に可能な支援策を民間と政府双方にわたって専門家の意見を集約し、提案する。


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グループ名
代表者名
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
青木 一政さん
応募金額 100万円
テ ー マ 福島原発事故に伴う子どもの生活環境の放射能汚染実態調査と被ばく最小限化
概  要

 福島原発は事故発生後2年半たった現在においても、汚染地下水の海洋流出が止められず、タンクからの汚染水漏れの頻発など、極めて深刻な状況にある。
 一方、「除染」の限界が明らかになる中で、政府は最近「除染から帰還へ」と方向転換を行い、個人線量計の配布による被ばくの自己管理を言いだしている。既に伊達市などにおいては特定避難勧奨地点が解除され、住民は帰還するか、自己負担での避難継続をするかをせまられる状況になっている。
 子どもを持つ親にとっては、子どもの生活環境の汚染状況や子どもの被ばくに対する不安は重大であり、その実態を把握することや被ばくを最小化するための方策を明らかにすることは大きな関心である。
 このような状況を踏まえて、本調査研究は下記の二点を目的として行う。
@ 市民自身が 「子どもの被ばく最小化」の観点から、子どもの生活環境の汚染実態を測定、分析する。
A 子どもたちの被ばく量を最小化するための課題を明確化する。
 またこの調査研究は、「子ども被災者支援法」の実施内容の拡充、自主避難者支援、避難の推進、保養や健康管理の充実など、子どもの被ばく影響の最小化のための市民の実践活動と一体の活動として行う。実践活動からの要求に応える形で調査研究活動の具体的課題を修正しながら進める。


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グループ名
代表者名
NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね
織田 好孝さん
応募金額 100万円
テ ー マ 放射能汚染地域における甲状腺検診事業
概  要

 2011年3月11日に起きた、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故により、大量の放射能が放出し、福島県および近隣県に降り注いだ。
 その結果、土壌や河川、海洋の汚染は言うまでもなく、子どもを中心に多くの地域住民の健康にも被害を及ぼしたことが考えられる。
 事故直後のサーベイメーターによる測定で、体内に放射性物質を取り込んでいる人が多い測定の結果から予測されることである。

 本事業は、それら初期被曝、および汚染地帯での生活の中で被爆を重ねる子どもたちを中心とした地域住民の健康を守るため、早期の病気の発見と治癒につながることを目標とし甲状腺の検診を行うものである。


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グループ名
代表者名
NPO法人 化学物質による大気汚染から健康を守る会
森上 展安さん
応募金額 100万円
テ ー マ 地域環境における有害性VOC発生源と分布の探求
概  要

 1990年代の終わりごろから重大な被害が広範な街々で現れてきた新しい大気汚染物質による健康影響汚染物質がある。臭いもなく、非意図的に生成する場合もあり、住民の身近な環境からひそかに攻撃している。外国で開発され、分析で検出することも困難であったため、日本ではその存在が無視されて対策は放置されているので、用途と使用量は急増し、潜在的だった健康被害はすでに重症被害者が多発し原因不明のまま立証を求めている。
 当会では、かねてから揮発性有機化合物による空気汚染の実態を、「クロマトグラフ型VOCモニター」で調査してきたが、新たに「比色式有毒化合物モニター」を輸入し、また最も問題な「イソシアネート専用の輸入サンプラーでの精密分析」も試み始めた。これら新しい技術を活用して、この問題に総合的な調査研究を計画した。
 具体的には、フィールド調査と発生実験研究で、新建築・土木関係で多量に使われるようになった合成樹脂材料から、現場作業中の原材料および完成材料からの非意図的生成(放射線・日射・暖房、機械的作業など)から、空気中に発生する揮発性有機化合物(イソシアネート、ヒドラジン、シアンなど)について、温度などの環境要因との関係を見ながら居住環境汚染の実態を把握する。これにより、新建築・土木材料起源の揮発性有機化合物によって、揮発性有機化合物が関与する疾病を抑制する対策に役立てたい。


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グループ名
代表者名
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
天笠 啓祐さん
応募金額 64.1万円
テ ー マ 隠れ遺伝子組み換えナタネ及び交雑種の拡大調査
概  要

 遺伝子組み換え(GM)作物は日本では商業栽培されていませんが、大量に輸入されています。輸入される形が種子であるため、こぼれ落ちなどによって輸入港周辺や搾油工場周辺、その輸送経路などで自生しています。
 GM作物の中でも、もっとも自生の広がりがみられるGMナタネを対象に、2005年以来毎年全国各地で、市民が検査キットを用いて、汚染の実態を調査しています。GMナタネの自生が多く確認される地域では調査と共に、引き抜き作業を行っています。
 2011年に、検査キットを用いた1次検査では陰性であるにもかかわらず、PCR法(DAN)による2次検査では組み換え遺伝子が検出されるという「隠れGMナタネ」が見つかりました。組み換え遺伝子をもったナタネが知らないうちに広がり、汚染が潜行拡大することを恐れて、どのような地域、条件のもとでこのようなナタネが見つかるか実態調査を2012年から行っています。
 また、カラシナ、ブロッコリーなど同じアブラナ科の近縁種との交雑種と思われるものも確認され、農作物への汚染が危惧されます。そこで、GMナタネの自生の広がりとともに、「隠れGMナタネ」及び「交雑種」の実態調査を行います。


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グループ名
代表者名
国際環境NGO FoE Japan
満田 夏花さん
応募金額 100万円
テ ー マ 被ばくと健康に関する市民・専門家委員会の運営と「子ども・被災者支援法」のフォローアップ
概  要

 2013年10月11日、「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針が閣議決定された。しかし、追加被ばく線量年1 ミリシーベルト以上の幅広い支援対象地域を認めてほしい、実質的な避難支援を行ってほしい、県民健康管理調査を改善してほしい、福島県外でも被ばくに対応した健診をしてほしいなどの被災者たちの声は反映されなかった。また、第十三条に規定された健診や医療費減免について実現のめどがたっていない状況である。
 一方で、山形県・北海道などでは、避難者自らが当事者団体を設立し、自治体と支援団体の三者が協調しあって、避難者の支援の体制がつくられている。
 本事業においては、自治体・民間団体レベルでの避難者支援に焦点をあて、その実施例や課題を取りまとめ、他の自治体での避難者支援の実施を促すとともに、国レベルでの避難者支援を求めていく。
 また、放射線被ばくの影響や住民の健康管理の在り方に関して、政府から独立した検討を行うことを目的とした市民・専門家委員会の活動を継続する。本委員会は放射線影響の専門家や医療関係者、弁護士、福島の被災者、市民団体の代表などで構成されている。
 昨年の検討の成果を踏まえ、施策の実現のため、「原子力市民委員会」や「放射能から子どもを守ろう関東ネットワーク」などと協働し、文部科学省や自治体との対話により、自治体レベルでの健診の実現や学校の健診への被ばくに対応した項目の盛り込みなどをもとめていく。
 また、この検討プロセスや結果を発信することにより、広く社会全体に対して問題提起を行う。


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グループ名
代表者名
たまあじさいの会
濱田 光一さん
応募金額 100万円
テ ー マ 日の出町のエコセメント工場から公共下水道へ放流される放射性物質による多摩川流域汚染の実態調査
概  要

 2011.3.11の福島原発事故以来、各地で放射能汚染が問題になっている。東京都民や川崎市民の水源である多摩川の放射能汚染も例外ではない。多摩川にある東京都羽村取水所から上流約5kmの水源地に東京都の日の出町ゴミ最終処分場とエコセメント工場がある。
 エコセメント工場では、毎日約300tのゴミ焼却灰がセメント化されている。この焼却灰には、三多摩地区に降り注いだ放射性物質が高濃度に濃縮されている。毎日運び込まれるゴミ焼却灰には、福島事故で多摩地区に降り注いだ放射性物質も含まれている。また、被災地瓦礫の広域焼却処理という名目で引き受けた瓦礫焼却灰の中にも放射性物質が含まれる。
 それらの放射性物質の処理は、エコセメンと工場としては想定外の物質のはずであり、バグフィルターで捕捉できず大気へ放出されるものもある。バグフィルターで捕捉されたものや重金属回収時に捕捉されたものは、公共下水を通して大量に多摩川に放流されている。
 流域住民の水源である多摩川の放射能汚染の実態調査活動に取り組んでいきたい。


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グループ名
代表者名
上関の自然を守る会
高島 美登里さん
応募金額 92.4万円
テ ー マ 上関原発予定地周辺海域における希少海鳥の生態解明と温排水による影響予測の試み
概  要

 上関原発計画をめぐる情勢は福島第一原発事故後、埋立工事は中止している。しかし中国電力が2012/10/5に提出した延長申請を山口県知事は国のエネルギー計画が不確定であるとして2014年4月まで判断を先送りしている。国のエネルギー基本計画(原案)で原発が重要なベース電源であるとの位置付けがなされ、埋立再開や建設への動きも予断を許さない。以下の調査活動で温排水が生態系に与える影響など新しい分野で上関原発中止を訴える科学的論拠を構築する。
@上関周辺海域はカンムリウミスズメの世界で唯一の周年生息域である。今後、内海繁殖地の可能性/海水温やプランクトン/魚類調査による温排水の影響予測などを行う。
A宇和島のオオミズナギドリは親鳥の採餌域が世界最小であることなど個体群の特異性を立証してきた。 一方、繁殖失敗/親鳥の死亡率の高さなど宇和島個体群の維持が危惧されるので、原因を究明するため体内蓄積物質などの化学分析を行う。
 調査結果に基付き中国電力に対し環境アセスメントの不備を追及し申し入れなどを行う。
 また、上関原発の不当性を訴える普及活動を行う@DVD「奇跡の海と上関原発」への反映A2014年8月に山口市/京都府/東京都で海外のパネリストを招き、国際シンポジウムを開催するので調査結果を反映する。B2014年度のユネスコの未来遺産登録を目指す。


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グループ名
代表者名
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
吉田 明子さん
応募金額 100万円
テ ー マ 脱原発・新しいエネルギー政策実現に向けた提言活動と社会ムーブメントづくり
概  要

 2013年、政権交代により、「国民的議論」を経て決めたはずの原発ゼロの方針が覆され、原発維持・推進が打ち出された。特定秘密保護法の成立にも見られるように、現政権下では、国民の声を伝えるプロセスと反映の可能性が極めて限られている。
 しかし、市民の声や市民運動は、継続し、多様性を増しているとも言え、よりいっそうの情報共有や連携強化が不可欠である。eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)では、原子力市民委員会ほか、様々な動きと連携し、政策提言やロビー活動、市民の声を可視化するアクションを実施する。
 月1回を基本とする定例会合やメーリングリスト等での情報共有・意見交換をもとに、原子力・エネルギー政策に関わる重要テーマについて、アクションやイベントの企画実施を行う。また、特に若い世代など新しい層への働きかけとして、原発のコストや経済性、地域経済をテーマとした「原発ゼロノミクス」キャンペーンを展開し、情報のまとめや発信を行う。
 また、脱原発に関わる多様なテーマについて、コンパクトにまとめたブックレットを編集・発行し、一般に伝えるとともに、脱原発運動での活用を目指す。さらに、ソーシャル・キャラクター「ゼロノミクマ」を活用し、脱原発、脱被ばくからエネルギーシフトまで幅広い活動をサポートするとともに、子どもや若者をはじめさらに広い層の巻き込みをはかる。


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グループ名
代表者名
泊原発の廃炉をめざす会
樋口 みな子さん
応募金額 50.0万円
テ ー マ 泊原発の廃炉を実現させるための研究
概  要

 私たちは、2011年11月11日、泊原発の廃炉を求める訴訟を札幌地方裁判所に起こしました。初年度は、泊原発周辺の活断層に関する資料を収集、私たちなりに活断層の評価を行うとともに、これまでほとんど調査されてこなかった奥尻島や積丹半島での過去の津波堆積物や、地震性隆起を示す地形を調査し、その成果を『北海道電力<泊原発>の問題は何か』にまとめ、2012年11月に出版することができました。
 昨年度は、泊原発にもっとも脅威となる3つの活断層に焦点を絞り、それぞれの活断層がもたらす地震動、地盤隆起、津波について具体的な検討を行いました。また、原発を廃炉にしたあとのエネルギー問題や、北電の電気料金値上げについて調査を行い、電気料金の値上げが、電力会社の言うように燃料費の増大にあるのではなく、原発の維持管理費・減価償却費によることを明らかにしました。これらの成果については、初年度に引き続き、各地で学習会を開いて市民にその結果を伝えたほか、パンフレットをつくり、広く道民に知ってもらうようにしました。
 しかし、北電は依然として再稼働を目指しています。再稼働を阻止するうえで、事故が起きたときの避難体制を問うことが重要であることがわかってきました。そこで、来年度は、これまでに得られた地震・津波などの資料にもとづき、泊で原発事故が起きた時に住民の避難が可能なのかどうか、避難するにはどのような対策が必要なのかを明らかにし、北海道や地元自治体にその成果を伝え、避難計画の確立や、それが不可能なら、やはり原発は廃炉にすべきことを訴えていきたいと思います。


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