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第3回(2003年度)助成選考の講評

 第3回(2003年度)助成先一覧

2001年にスタートした高木基金の助成選考も今年で第三回目となりましたが、国内から51件、アジアから9件の応募を受付け、最終的に国内15件、アジア2件、合計985万円の助成を決定いたしました。

応募件数等につきましては、昨年と同等の状況となりましたが、中には、高木基金の趣旨をご理解いただけていない向きも見受けられ、助成対象になりにくい応募も少なからずありました。

また、巨大科学技術に切り込んでいくものが限られていたのは残念でした。

高木仁三郎は、市民科学の問題意識とそのアプローチについて次のように述べています。

(1)

国家や各種の体制を維持運営するための支配的な仕組みとなっている現代科学技術(および科学的知)は、常に人々の生存を脅かしたり自然を傷つけたり、人や自然の共生的関係を妨げる方向に抑圧的に働きかける傾斜をもつから、これを市民(それらの支配的システムと独立な立場)の側から批判し、対抗的な評価を提起していく必要があること。

(2)

自分の専門分野内の価値判断や利害のみしか考えない「たこつぼの専門家」の感覚でなく、実際に生きる生活者の感覚や視線の高さでものを見ることをいつも基盤において、科学技術の問題にアプローチしていくこと。

(3)

最終的な政策決定者は市民であるはずだという立場に立って、市民の判断材料となるような情報を提供しつづけること。
(朝日選書「市民の科学をめざして」、七つ森書館「高木仁三郎著作集第9巻市民科学者として生きるIII」所収)


国家の目の高さからの評価ではなく、一人一人の市民の安全、人権、環境、経済、平和にどう寄与するかという観点から、市民の側からの対抗的評価・専門的批判をおこなえる市民科学者を一人でも多く輩出し、支援するのが高木基金の目的です。

このような立場から、高木基金は下記の点を、選考の重要なポイントとし、その調査研究や研修そのものが、市民科学とは何かを示すようなものであることを期待しています。

1.市民科学にふさわしい研究・研修テーマか?
  (市民社会に対する脅威に立ち向かうものか? 緊急性は高いか?)
2.研究方法が具体的で実施可能なものか? 必要な専門性を備えているか?
3.研究・研修成果を、実際の政策や社会へ還元するためのビジョンが明確か?

 特に、研修奨励枠では、将来、市民科学の担い手となる可能性を重視しています。 なお、高木基金としては、他の助成財団等からの助成を受けることが困難であるものを優先しました。また、キャンペーンや管理費への助成は、おこなっていません。
 上記の1〜3にかなう応募でも、安定した研究職や、大きな組織に属する応募者にはできるだけ他の助成金獲得の道を追求していただきたいと考えています。

 独立した専門的批判の組織化をめざすことは困難ではありますが、その重要性はますます大きくなっています。市民の立場に立ち十分に専門的な検証に耐えられるような知を市民の側から組織していく一端を担えるよう、高木基金会員・寄付者をはじめ多くのご期待に沿えるよう高木基金の活動を今後とも充実していきたいと思います。

高木仁三郎市民科学基金
事務局長 高木久仁子

【第3回助成 応募・選考のまとめ】


・助成予算 

 2003年度 国内向け 800万円 アジア向け 200万円

・募集期間 

 国内向け  2003年11月1日〜12月31日   アジア向け 2003年8月より随時

・応募件数 

 国内から51件       応募総額 6,197万円     内 個人の調査研究     20件 1,481万円   個人の研修           4件  564万円   グループの調査研究      27件 4,153万円   アジアから9件(問い合わせのみのものを含む)

・書類選考 

 2004年2月7日、選考委員会にて書類選考を実施。

・最終選考 

 2004年2月28日、江戸東京博物館にて   公開プレゼンテーションを開催。   その後の理事会で、助成先を決定。

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